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汐月夜空さん

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時の事業 タイムレター

13/04/18 コンテスト(テーマ):第二十九回 時空モノガタリ文学賞【 手紙 】 コメント:0件 汐月夜空 閲覧数:1946

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 タイムレターというものが存在する。
 それは今より幾何か先の時代、一人の男が立ち上げた郵便事業のことを指す。
 簡単に言えばタイムレターとは誰もが経験出来る時間跳躍法のことであり、それはつまり、人類は未来においてタイムマシンの開発に成功していることを物語っている。
 しかし、現代においてタイムトラベラーはその男の他にただ一人として存在しない。タイムマシンが存在する時代を守るために、未来の住人はタイムマシンが存在しない時空に干渉することを原則として禁止されているからだ。
 だから、タイムマシンを使った数多くの事業が生まれる中、タイムレターのように現代に対して干渉を許されている事業は極めて稀であり、異例中の異例であるとされている。
 今日はそんなタイムレター事業を立ち上げた本人である、未来人のKさんに話を伺ってみたいと思う。

 *N:当局のインタビュアー K:未来人のKさん

N:本日はよろしくお願いします。
K:よろしくお願いします。この時代において対談することは本来重大な違反行為ですので、映像なしで失礼します。
N:いえいえ、無理を言って申し訳ありません。
K:気にしないでください。本日は皆様にタイムレターのことをお伝え出来るということで、楽しみにしております。


N:それではさっそくではありますが、一つ目の質問に移らせていただきます。
K:はい、どうぞ。
N:未来人が現代に干渉するのは禁止されているんですよね。それなのになぜKさんは渡来されることを許されているのでしょうか?
K:あはは、難しい質問ですね。そうですね、簡単に説明いたしますとその理由は2点ございます。一点は、この時代において既にタイムマシンの開発が実現間近まで及んでいること。
N:と、言いますと、今この時代においてタイムマシンの原型が既に存在しているということですか?
K:ええ、そうです。そして、その開発の根幹を担ったのが私の直系の祖先であることも許可の要因として大きいです。タイムパラドックスを御存知ですよね。それがあるために子孫は直系の先祖に影響を与えることが出来ません。だからこそ、私がこの時代に来ることでタイムマシンが存在する未来が揺らぐことはありえないのです。タイムマシンさえあれば、世界を都合よくやり直すことも出来る。現に未来の世界はまるでゲームのようにリセットされることもあるのです。
N:……なるほど、にわかには信じられないお話ですね。リセットされる世界、ですか。
K:そうです。だから未来には、間違い、という概念がないんです。すべてやり直すことで、理想の世界を組み立てられるのですから。
N:理想の世界。なんだか不思議なお話ですね。


N:もう一つ理由があるのですよね。お話いただいてもよろしいでしょうか。
K:ええ、もう一つの理由は極めて簡単です。この世界の道筋を変えることは非常に容易なことですが、その現象は手紙では引き起こせないこと、それが大きいです。
N:手紙では未来の変化を引き起こせない。それはなぜでしょう?
K:なぜか、と聞かれれば手紙の優先順位がこの世界において低いから、でしょうか。奇跡、運命、そのどちらでも良いですが、それらが発生するのは必然的にこの時代の人と人との触れ合いからでしょう? 遥か過去の出会いや未来の知識がもとで奇跡が起きることはありえません。タイムトラベラーの干渉により未来に変化が生じるのは、それが人であり、この時代に降り立ったからです。この時代に降り立った時点で世界はその未来人をこの時代の人だと錯覚し、この時代への干渉を許可してしまう。
N:難しいですね。とにかく、その干渉が手紙では生じないと。
K:そうです。例えその手紙に死を回避する方法が書いてあったとしても、未来で既に死んでいた人は、その亡くなった瞬間に他の原因で亡くなります。亡くなる過程は変えられても、亡くなった結果は変えられないのです。


N:手紙では未来を変えられない。それならば、なぜKさんはタイムレターという事業を始めようとされたのでしょうか。私には意味がないように思われるのですが。
K:そんなことはありません。タイムレターには大きな役割があります。心を届けるという役割が。
N:心を届ける?
K:そうです。心を届けることで、後悔を無くすことが出来るのです。タイムレターには返信用の封筒が同封されており、一度に限りこの時代と未来の橋渡しをすることが出来ます。そうすることで、『心』が救われるのです。


K:最後に皆様にお願いです。もし、あなたのもとにタイムレターが届いた際には、必ず御返信下さい。それは未来人にとって何にも代えがたい希望です。不気味かもしれません、単純に面倒かもしれません、けれど、その行為は決して無駄にはなりません。どうか、よろしくお願いします。


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