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光石七さん

光石七(みついしなな)です。 子供の頃から空想(妄想?)が好きでした。 2013年から文章化を始めました。 自分では気付かないことも多いので、ダメ出しを頂けるとありがたいです。

性別 女性
将来の夢 可愛いおばあちゃん
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ロン、ありがとう

13/04/10 コンテスト(テーマ):第二十九回 時空モノガタリ文学賞【 手紙 】 コメント:4件 光石七 閲覧数:1836

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 ロンは、わたしの家でかっている犬です。ロンはとてもおりこうです。「おすわり」というとちゃんとすわるし、「お手」も「まて」もできます。知らない人にはほえるけど、小さい子どもにはほえません。わたしはまい日ロンとあそんでます。ロンはわたしのともだちです。
 でも、さいきんロンがあまりうごかなくなりました。立ち上がるときもヨロヨロします。わたしはおかあさんにどうしてとききました。
「ロンは人げんでいうと90さいのおじいちゃんなの。ナルちゃんとあそびたいんだけど、からだがいうことをきかないの」
わたしはびっくりしました。ロンがおじいちゃんだなんておもったことはありませんでした。わたしはロンのあたまをなでました。ロンは目をとじてなんだか気もちよさそうでした。
 そのうち、ロンはじぶんで立つことができなくなりました。おしっこもうんちも下にシートをしいています。わたしもシートのとりかえを手つだいます。くさいけれども、ロンが一生けんめい生きようとしているから、わたしもおかあさんも、おとうさんももんくはいいません。大せつな家ぞくだから、ロンをささえるのはあたりまえです。みんなでロンのからだをマッサージしたりします。
 ところが、とうとうロンはしんでしまいました。ロンがうごかなくて、からだがつめたくなって、わたしはたくさんなきました。おかあさんもないてました。
「おはかをつくってあげよう」
おとうさんがいいました。みんなでにわのはしっこにあなをほって、ロンをうめました。木のいたに「ロンのおはか」とかいて、土の上に立てました。
 わたしはまい日がつまらなくなりました。学こうにいったり、ともだちとあそんだりしているあいだは気もちがまぎれるけれど、すぐにロンのことをおもいだしてかなしくなってしまいます。
 ある日、学こうからかえると、おかあさんがわたしに白いふうとうを見せていいました。
「ナルちゃんに手がみがきてるよ」
ふうとうには「ナルちゃんへ」とかいてあるけれど、さし出し人はかいてありません。わたしはおもいきってふうとうをあけました。白いびんせんが入っていました。

『大すきなナルちゃんへ

  いつもいっしょにあそんでくれてありがとう。
  ぼくはとてもたのしかったよ。
  ボールもフリスビーも大すきだった。
  ナルちゃんからあたまをなでてもらうの、とっても気もちよかった。
  ぼくがうごけなくなっても、一生けんめいおせわをしてくれたね。
  からだをマッサージしてもらうと、なんだかいたいのがどこかにきえていくみたいだった。
  ほんとうはもっとナルちゃんとあそびたかった。
  ナルちゃんといっしょにすごしたかった。
  でも、ぼくのおとうさんとおかあさんが天ごくからよんでるから、いかないといけないんだ。
  ぼくがいなくなってさびしくてかなしいかもしれないけれど、いつまでもなかないで。
  ぼくはナルちゃんのえがおが大すきなんだ。
  ナルちゃんがわらってくれないと、ぼくもかなしいよ。
  おとうさんとおかあさんとなかよくね。
  いままでほんとうにありがとう。
  天ごくにいってもナルちゃんのことはわすれないよ。
  ナルちゃんもぼくのことわすれないでね。
  ずっとともだちだよ。大すき。

  ロンより』

なんと、ロンからの手がみでした。わたしはなみだがでてきました。おかあさんが
「ナルちゃん、だれからだった?」
とわたしにききました。
「ロンから。ロンが手がみくれた」
おかあさんはにっこりわらって、わたしの手をにぎりました。
「ロンはナルちゃんが大すきだったもんね。きっと、ナルちゃんのことをしんぱいしてるのよ。ないてないかなあって」
「おかあさん、ロンの気もちわかるの?」
わたしはすこしおどろきました。
「おかあさんもロンとなかよしだったでしょ? ロンがしんじゃっておかあさんもかなしいけど、ないてたらロンがあんしんして天ごくでくらせないもの。ナルちゃんもロンのためにわらってあげよう? そのほうがロンもうれしいよ」
「でも、ロンのことわすれたくない」
わたしはおかあさんにいいました。おかあさんはうなづいていいました。
「わすれなくていいの。ううん、ずっとおぼえていてあげよう? うれしかったこと、たのしかったこと、ぜんぶロンにもおしえてあげようよ。みんなげん気だよって、つたえてあげようよ」
わたしはなくのをやめることにしました。ロンのおはかに手をあわせて、えがおをつくりました。
 わたしはロンからの手がみをつくえのひきだしにしまいました。
 ロン、大すきだよ。ぜったいわすれない。ずっとともだちだからね。


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このストーリーに関するコメント

13/04/11 光石七

>メガネさん

コメントありがとうございます。
小学1年生の作文のように書いてみましたが、ひねりがないのは自分でも感じました。
両親がロンの手紙を用意したというのは伝わったようで、ホッとしました。
両親の視点か、大人になったナルちゃんの視点を最後に入れようかとも思いましたが、蛇足になりそうで省きました。
もっと吟味してから投稿すべきでしたね。
具体的にご指摘いただくのは勉強になり、ありがたいです。

16/01/22 睦月 希結

光石様拝読しました。沢山のお話を拝読して全てにコメントしたいほど名作揃いでワクワクハラハラします。家にも今、柴犬が居ます。猫も居ました。当時の人生半分共にした猫の死は悲しかったです。何度か夢に出てきてくれました。きっとロン君もナルちゃんの心の中で生き続けるでしょう。娘を思い、手紙を書いたご両親の優しさも素敵でした。

16/01/22 光石七

>睦月 希結さん
昔書いたものまで目を通してくださり、ありがとうございます。
この話はひねりが全くないことを気にしていましたが、素直に感じ取ってくださってうれしいです。

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