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てんとう虫さん

不思議な話怖い話恋の話がすきです。読むのはたくさん経験ありますが描くのはまだまだで精進中

性別 女性
将来の夢 ほんがよめる茶店
座右の銘 石の上にも3年

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煎餅好き君に

13/03/29 コンテスト(テーマ):第二十八回 時空モノガタリ文学賞【 浅草 】 コメント:0件 てんとう虫 閲覧数:1445

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ここの浅草のせんべい屋の煎餅は美味しい。だから僕はここで修業せねばならないのだ。死ぬ気で。煎餅店のシャツタ−が上がり頑固爺・・いや亭主が顔を見せた。まるで借金取りに出くわした人間の顔になる。実にいやそうな顔になる。「おはようございます。」「おはようでも、弟子はとる気はないし息子がいるからバイトはいらん。」と顔をそむける。「金はいらないんです。ただ煎餅の「いやだ、誰が見も知らん奴に。」煎餅焼いて45年を誇る木田仁三5代目は口をへの字に曲げる。「焼き方を教えて貰えませんか?」何度も何十回も口にした言葉を煎餅屋のおやじに口にする。「買えばいいだろう、それとも何か。うちの、俺の、焼いた煎餅は食べれないというのか、お前。」じごくのそこからひびいてきそうな声で睨みつけてくる。これもなんども口にされたのだ。「わかります。よく分ってます。でも作り方と焼き方を教えて貰うしかないんです。お願いします。」いつものごとく土下座する。「お前の恋人はもしかしてかぐや姫なのか・・。無理難題をいい受けるつもりがないんじゃないのか?」木田仁三5代目。そう、それは自身でも感じていたことである。「でも、これが夢だったんだっていうんです。」正直こちらも疲れてきた。仕事を始める前や休日は全部浅草に通い1カ月定期を1枚更新して買おうか考えていた。1月通い煎餅店にも嫌われていや今の言い方を聞いてると憐れまれているらしい。迷惑そうだが可哀そうな人間を見る慈愛が浮かんできたようだ。「1枚でいいんです。1枚だけ食べれそうなものになる迄それで諦めますから。」もう疲れて来たのだ。木田5代目盛大な溜め息をつきしわがれ声が口にした。「金曜日だ。閉店後来い。」と1月通いやっと山が許してくれた。「ありがとうございます。」顔には涙が浮かんでいた。朝からわいわい騒いでいた2人を両隣の店の人間だけはみていた。木田5代目男だよなと隣の土産物店35歳は客たちにしみじみ口にしていたという。折れたといかもうこれ以上顔を見たくないからだと思うけど。金曜日今日は上司に死ぬ気な用があるといい残業も無理だといい会社を飛び出した。同僚はあいつついにとプロ−ポ−ズするのかと見送ったがその前の段階だと気がついたものはいない。今日は嬉しくて寝不足だ。しかし晴れがましい気持ちで木戸をたたく。「おう、入れ。」と墨を熾し5代目が待っていてくれた。「ありがとうございます。」「焼けるかはわからんがな。息子3年目だがまだ手伝いだよ。1000枚焼いて10枚食べれるかどうかだ。わかるか・・。」と厳しく見てくる。職人を目指すものでもまだ途中なのだ。「はいお願いします。」うちのは1枚焼きだ機械焼きの方が手間はかからんが味が違う。赤外線効果で水分を飛ばしてからりと焼切るし。1回目は正直駄目だ。「ほかりだ。」丹精込めた材料が無駄になている。正直折れそうな心がある。2,3,4回と続けてゆくが焦げた商品にならないものが増えるだけだ。10回目になる手は赤くやけどを作り水を飲みながらも申し訳ない気持ちでいっぱいになる。ここは餅米にもこだわり主自ら選別していて凄いのと言う話を恋人の桜から何度も聞かされていた。「俺もう・・・。「カグヤに1枚煎餅やるんだろう・・。お前のかぐやヘの愛情はそんなもんなのか」とぼそっと口にされる。「いえ、煎餅をあげたい僕の手作り煎餅を・・。」桜ヘの愛をこめて。「頑張ります。」朦朧としながらも桜と煎餅に想いこめて焼いてゆく。。美味しそうに食べるあの子の顔が好きでバレンタインは煎餅の詰め合わせを山ほど送った。深夜いや明け方1枚だけど今まで焼いた中で1番美味しそうなのができた。「味は食べて貰え。勝負だな。」と眠そうに見てきた。「ありがとうございます。5代目には何とお礼を言っていいのか。」こんだけ迷惑かけたんだ。嫁連れてまた来い。顔見てやる。引き出物を頼むかな。」と見てくる。朝店を出て携帯でメ−ルを送る。「あのさ、桜今日会いたい。どうかな。」いいよと言われ会うことなる。「君の好物。頑張って頼んで浅草の君の好きなお店で焼いたんだ。無理にお願いして」「馬鹿、迷惑なことして。」「食べてください。これからも君にたくさん煎餅買えるような男になるからだから結婚してほしい。」と差し出したのは煎餅だ。「手焼きホントにしてくれたんだ。」と彼手をみる。やけどのあとであかくなていた。じ-んとしていた。「じゃお礼は引き出物で大きな煎餅にしょうよ。名前入れてもらえるかな。」醤油味のしょぱい塩の味が口に広がる。桜が開いた口に割った煎餅を入れていた。噛むと今まで食べた煎餅で1番美味しく感じた。ありがとう5代目約束は果たせそうだ。煎餅を僕も大好きになった。


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