1. トップページ
  2. 迷子の私

こぐまじゅんこさん

詩を書いたり童話を書いたりしている主婦です。 みなさん、よろしくお願いします。 MyISBN−デザインエッグ社さんから、絵本「おしえて!ねこばあちゃん」を出版しました。 アマゾンでも取り扱っていますので、よかったら みてくださいね。 ブログ「こぐまのノート」も書いています。

性別 女性
将来の夢 自分の書いた童話を孫に読んで聞かせたいです。
座右の銘 しあわせはいつも自分の心がきめる

投稿済みの作品

1

迷子の私

13/03/25 コンテスト(テーマ):第二十八回 時空モノガタリ文学賞【 浅草 】 コメント:2件 こぐまじゅんこ 閲覧数:1779

この作品を評価する

「東京に転勤になった。」
 仕事から帰るなり、主人が言った。
「えっ!東京?」

 私は、台所で洗いものをしていた手をとめ、振り返った。
 息子は、地元の大学生、娘は高校生だから、みんなで東京に行くのは無理だ。
 それに、岡山の片田舎に住んでいる私は、東京がこわいのだ。

「ひとりで行ってくるよ。」
と、主人がつぶやいた。
「うん、そうしてね。」


 それから、三月の末に、主人は東京に旅立った。
 はじめての単身赴任で、どうなるかしら?と心配していたけど、意外と平気みたいで、主人は仕事も家事も完ぺきにこなしているらしい。


 子どもたちが、夏休みになって、私は、はじめてひとりで主人の所に行った。
 浅草に行くと、三社祭をしていた。  
  
 大の祭り好きの主人は、うれしそうに人混みの中に入っていく。私は、人波にもまれて主人とはぐれてしまった。

 こんなところで、迷子になったら、どうしよう。私、地下鉄にもひとりで乗れないのに・・・。顔が青ざめる。あわてて、人混みをかきわけて、主人をさがす。軽くパニックになっている。

 雷門のところで、のんびり祭りを楽しんでいる主人をみつけた。私は、駆け寄って、
抱きついた。
「あー、よかった。」
と言って、涙ぐむ。

 まわりの人が、みんな白い目でみていく。

「どうしたの?」
と、主人が言う。

「迷子になったかと思って・・・。」
と、私。
「ケータイ鳴らせば、よくない?」
と主人が言う。

「あー、本当だ。」
と、私は、愕然とした。

 ケータイがあれば迷子になることなんてないと、若い世代は体にしみこんでいるのだろうが、五十代手前の私には、ケータイは、頭からふっとんでいたのだった。

 なんてこった。

 


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

13/03/26 泡沫恋歌

こぐまじゅんこ 様

拝読しました。
確かに知らない土地で迷子になったら、大人だって不安ですよ。

男の人って子供みたいなところがあるから、お祭りに夢中になったら
奥さんのことも忘れて見入っちゃうんだと思います。

ご主人と会えて良かったね(○^o^○)ニコッ♪

13/03/27 こぐまじゅんこ

泡沫恋歌さま。

コメント、ありがとうございます。
東京って、ほんと都会でこわいって思っちゃいます。

迷子になったっていうのは、創作ですけどね。

ログイン