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光石七さん

光石七(みついしなな)です。 子供の頃から空想(妄想?)が好きでした。 2013年から文章化を始めました。 自分では気付かないことも多いので、ダメ出しを頂けるとありがたいです。

性別 女性
将来の夢 可愛いおばあちゃん
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小さなサーカス

13/03/18 コンテスト(テーマ):第二十六回 時空モノガタリ文学賞【 サーカス 】 コメント:12件 光石七 閲覧数:1973

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 僕の名前はシルバ。小さなサーカスの団員だ。特技は綱渡り。命綱など全くつけず、高く張られた1本の綱の上に僕が足を踏み出すと、客席が静まり返る。僕は颯爽と真ん中まで歩いてみせる。そこでジャンプをしたり、逆立ちを見せたり。宙返りを披露することもある。観客は大きな拍手を送ってくれる。渡り終えるまであと5分の一というところで、わざと足を踏み外すふりをする。すると観客は息をのむ。しっかりバランスを取って綱の上に立ち、逆立ちで最後まで渡る。これで大歓声、拍手喝采だ。
 生まれた時から僕はこの世界にいた。綱渡りに大車輪、火の輪くぐり等、仲間たちと一緒にお客を楽しませることに生きがいと誇りを感じてきた。きっとこれからもそれは変わらない。
 食事をしていると、団長がため息をついた。最近経営がうまくいっていないらしく、団長も副団長も沈んだ表情を見せることが多い。
「昔と比べて客の入りが少ないし、あまり受けもよくないな」
「演目が代わり映えしないからでしょうか。ぱっと目を引くようなものを取り入れたらどうでしょう?」
団長と副団長の会話に、僕も耳を傾けた。確かにこのサーカスには華が足りないと、僕も常々思っていた。
「俺もずっと気になってはいたんだ。サーカスの代名詞ともいえる、空中ブランコがうちにはないことを」
団長、それです! 僕の目は輝いた。
「空中ブランコですか。確かに派手だし、サーカスの花形ですね。でも、うちにできる奴がいるでしょうか?」
副団長、僕がやります! 高いところはへっちゃらだし、バランス感覚にも自信がある。僕は二人の前に進み出た。
「シルバ、お前がやるって?」
団長が僕を見た。はい、ぜひやらせてください。必ず満足のいく結果を出しますから。
「じゃあ、ちょっとやってみるか」
 さっそく空中ブランコが用意された。僕はブランコにぶら下がった。思ったより揺れが大きい。綱とは感覚が違う。でも、これくらい僕の運動能力で――
「うわあぁぁっ!」
手が滑り、真っ逆さまに落ちていくのがわかった。そして僕の意識はそこで途絶えた。

「やっぱり、空中ブランコは無理だったか」
「ネズミですからね。人間みたいにペアで手を取り合って……というのも難しいでしょう」
「綱渡りの代わりの奴は?」
「いくらでもいますよ。ちょっと仕込めば、すぐ客の前に出せるはずです」
「それならいい。だが、どうやって客を呼び込む?」
「天敵のネコと共演させるというのはどうでしょう?」
「面白そうだが、ネコに芸を仕込むのは難しそうだな」
「華を出すために、一匹一匹色付けしますか?」
「そういう手もあるな」
団長と副団長はシルバの亡骸をさっさと処分し、新たな経営策を相談し始めた。


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このストーリーに関するコメント

13/03/18 泡沫恋歌

光石七 様。

拝読しました。

何んと、意外なオチでしたね。
正しく真っ逆さまに落ちましたよ(笑)

皮肉なオチでしたが面白かったです。

13/03/18 光石七

泡沫恋歌さん

コメントありがとうございます。
サーカスという言葉で真っ先に思いついたのが「ノミのサーカス」で、そこから話を考えました。
シルバ君の冥福を祈ってあげてください(笑)

13/03/18 yoshiki

可愛いシルバ。ところで団長は人間?

色々想像できて楽しいです。華をどうしましょう(*^_^*)

面白かったです。

13/03/18 光石七

yoshikiさん

団長と副団長は人間です。
わかりづらかったですね、すみません。
華は…… どうなるんでしょうね(笑)

13/03/19 そらの珊瑚

光石七さん、はじめまして。

救いのないブラックなオチにシルバに同情してしまいました。
悪徳に徹する団長たちはどこかニンゲンの持つひとつの顔という
気がしないでもありません。
夜店のひよこに色をつけてかわいい、と言ってしまうような。

13/03/19 光石七

そらの珊瑚さん

そこまで深く捉えてくださるとは、感激です。
団長と副団長の会話は思いつくままに並べただけだったので……
感受性が豊かなんですね、尊敬します。

13/03/19 W・アーム・スープレックス

団長と副団長がすずしい顔で経営作を話しあっているところがじつにおもしろいですね。光石さんの柔軟で自由な発想に、拍手。

13/03/19 光石七

W・アーム・スープレックスさん

お褒め頂きありがとうございます。
嬉しさのあまり昇天寸前です(笑)

13/03/19 四島トイ

拝読しました。
話の筋もさることながら、展開がとても滑らかに感じられました。ただ『ちょっと仕込めば』という副団長の台詞があるだけに、前段で、特訓した過去を示唆する箇所がなかったことが私には少し物足りなく感じられます。ですが、団員としてのネズミに気づかせない巧みな誘導はお手本にしたいほどです。身勝手な意見ではありますが御容赦ください。

13/03/19 光石七

四島トイさん

コメントありがとうございます。
文章の詰めが甘かったですね。
自分ではなかなか気づかなかったりするので、具体的なご意見はありがたいです。
これからもよろしくお願いします。

13/03/19 草愛やし美

光石七さん、拝読しました。

えっ! そうだったんですか。なんという奇想天外なオチなのでしょう。いじらしいくらい懸命なシルバを、可哀想に思いながら、団長たちのやり取りが、面白くて、夢チューになって読み終えました。

歯切れのいい文章で一気に読みました。

13/03/20 光石七

草藍さん

楽しんでいただけて何よりです。
私も書きながらシルバがいじらしくて、だからこそいじめました(笑)
「夢チュー」、上手いですね。座布団1枚!

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