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沿道健児さん

こういうところで、自己紹介を書くのは好きなので、そう思うと自分のことがそこまで嫌いではないのだなと再確認する。

性別 男性
将来の夢 世界中の悩める犬たちと猫たちを救う。 まずは、犬50匹と猫50匹。 38歳までに食品関係の事業で経営ができる社長になり、そのついでに仲間達と一緒に犬と猫を少しずつ助けていく。会社に自分の犬を連れて来れるシステムを構築。イメージとしては、海外中西部の片田舎に事務所を持ちたい。
座右の銘 特にないです。

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音のジグソーパズル

13/02/27 コンテスト(テーマ):第二回 【 自由投稿スペース 】 コメント:0件 沿道健児 閲覧数:1633

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「ぱちり」と目が覚める。

エアコンのファンが空気を送る機械的な音。時計の秒針が時を刻む音。耳を澄ますと世界は小さな音で溢れている。布団とTシャツの衣擦れの音。自分の呼吸の音や、猫が喉を鳴らす音。

「返事が来てるかな。メールチェックしてみるか」

ラップトップを開く音。キーボードをたたく音。猫の小さなあくびが空気を切る音。色々な種類の音はそれぞれ音を発したり止めたりする。複数の音は自然と重なり、大きな音が小さな音を包み飲み込む。小さな音に意識を集中しチャンネルを合わせると、大きな音は一歩後ずさり、小さな音の世界が私の意識を埋める。

「コーヒーでも淹れて目を醒すかな」

キッチンに向かう足音。冷蔵庫の作動音。水道から水が流れる音。湯沸かし器が湯を沸かす音。戸棚が開く音。コーヒー粉の瓶が金属製の棚とぶつかる音。お湯がフレンチプレスに注がれる音。遠くで小鳥が鳴いている。

「あちち」

大きな音と小さな音。継続的な音と断続的な音。滑らかな音と耳元でざらつく音。人間に聞こえる音と聞こえない音。その数えきれない音達はまるでジグソーパズルのようだ。様々な形体の音のピースが互いを補完し合い、今という風景画を完成し、それに私が名前を付け、額に入れて飾る。

「今日は5時まで試験監督」

大きなピースの間を埋める小さなピース。その小さなピースの間を埋める空気のような私には見えない色のピース。 例えばそれは、 血液が血管を流れる音。コーヒーが胃に流れ込む音。 観葉植物が葉っぱに養分を送る音。 冷蔵庫の中でトマトやズッキーニが呼吸する音。

「その後は松岡さんとちーさんが来るので家に直帰」

そのあり触れた生活音で描かれた風景画を、椅子に腰掛けて、コーヒー片手に眺めてみる。或は、二階の屋根から見下ろすように遠く優しく見つめてみる。私の「今」を隅々まで埋める音を一つも残さぬように、その全体の輪郭に意識を集中する。

「外が白んできた」


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