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酒呑シゲさん

主に伝奇小説を書いている半人前物書きです。 作家目指して日々執筆に磨きをかけています。

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受験生

13/02/05 コンテスト(テーマ):第二十四回 時空モノガタリ文学賞【 受験 】 コメント:0件 酒呑シゲ 閲覧数:1331

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 大学受験の頃の話だ。
 私は勉強があまり出来なかった。
 というのは、特に学校での成績が低いわけではなく、ただ勉強をすることが出来なかったのだ。
 それは受験生としては致命的だった。
 自習学習が出来ないのは、即ち受験勉強が出来ないと同じようなものだから。
 それに私は予備校や塾には行ってなかったから、受験への危機感や焦燥感などは遠い場所にあった。
 そういった感情を抱き始めたのは、公募受験が迫った時期だった。
 受験日まで二ヶ月を切って、殆ど何もしていなかった。
 流石に勉強をしなければと思い、行動を起こそうにも、今まで受験勉強とは無縁だった私は何をすれば良いか分からなかった。
 取りあえず参考書を買うことにした。
 英単語、英文法、長文読解、一通り揃えたはいいが、やはり何をすればいいか分からない。
 家に居ると、思考の先はつい楽な方向に行ってしまう。
 これは受験生なら誰しも経験していると思うが、家――かつ自室などに居ると、漫画であったり小説であったり、ゲームであったり、パソコンであったり、娯楽へと逃げてしまう。
 そして同時に、そいつらは時間泥棒だ。
 少しだけ、と思っていると、いつの間にか何時間も経っている。
 その何時間を勉強、仮に英単語に費やせば、脳内蓄積単語が百は増えた事だろうと、終わった後に後悔する。
 そう言った事を繰り返すうちに、どうでもよくなってくるのだ。
 明日やればいいや、明日一日やれば今日の分を補って、三百個覚えればいい。
 そんな風に言い訳を考えて、逃げに逃げに徹してしまう。
 個人差はあれど、誰しもが経験したのではないだろうか。
 そしてその解決策を模索すると、必然的に家から離れることになる。
 図書館であったり、ファストフード店であったり、地域の公民館であったり。
 すると、驚くように勉強がはかどるのだ。
 今まで、どうしてここに来なかったんだろう。
 と、更に後悔を重ねる。

 気付けば一ヶ月、ひたすらに公募推薦試験に向けて勉強を繰り返していた。
 そして当日、やれることをやった。
 結果は、不合格。

 落ち込みはしなかった、勉強の仕方を知ったから。
 次は一般入試。もう迷わなかった。
 滑り止めは合格、本命の結果はまだ来ない。
 もし仮に、これが落ちていても、後悔はない。
 安っぽい言葉かもしれないが、努力は裏切らないから。
 不合格だろうと、数ヶ月を以てした努力は、私の糧となり力となる。
 合格発表は明日。
 きっと、不合格だろう。
 分からないけれど、分かる。

 私は、確かに受験生だった。


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