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ササオカタクヤさん

文章でササオカタクヤの世界を伝えられたらいいなと考えてます。 キャラクターたちがイキイキとした物語を書いて、読んだあと何か残れるような作品にしていきます。

性別 男性
将来の夢 自分の作品を多くの人に読んでもらうこと
座右の銘 生きているだけで幸せ

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人間レシピ

19/05/20 コンテスト(テーマ):第168回 時空モノガタリ文学賞 【 レシピ 】 コメント:0件 ササオカタクヤ 閲覧数:154

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私は神様です。この世に今まで数えられないほど人間を作り上げてきました。しかしもう作ることに嫌気がさしてしまい、作ることを止めようと考えております。仕事を引き継いでくれる方を募集しておりますので、気になる方は神様までご連絡ください。


たまたま仕事を探している時、目に止まった張り紙。ふざけて誰かが書いただけの張り紙だろうけど、俺はとにかく気になって仕方なかった。ただ連絡先が書いておらず、話のネタにも繋がらないと分かり、諦めてその張り紙から離れようとする。
「今、私のこと呼びましたよね?」
そんな諦めた私に一人の神々しい方が話しかけてくる。どうやら見た目やオーラからするに神様なのだと分かった。
「ど、どうしてここに?」
「今、あなたが私のことを呼びました。心の中で呼びましたよ?」
神様にはなんでもお見通しというのは間違いじゃなかったようだ。俺の心を一瞬で読み取り、すぐに俺の前に現れる。本当に神様なんだ。
「で、今仕事探してるから、この仕事したいって思ったんでしょ?」
「そう…ですね」
「じゃあ採用で!」
そんな簡単なやりとりだけで、俺は神様代行という仕事を始めることになった。

たった一冊のレシピ本を残して消え去った神様。とりあえずレシピ本を頼りに人間を作り上げてみることにする。
『ここで作るのは三つ。素材作り、顔のパーツ選び、そして性格構成。最後の項目である性格構成は慎重に行うこと。これらを作り上げたら対象の女性の体に投入します。』
ついこの前まで俺は普通に人間として生きていた。人間が作られるという感覚が今までなかった俺はこの作り方を見て驚きが止まらない。人間に必要な素材から人生を左右させる顔も性格も神様が決めているなんて思いもしなかった。持ち合わせたものは偶然ではなく必然なんだと思うと笑いが止まらない。
早速素材作りから始める。人間の7割必要な水をはじめ、あらゆる素材をひとまとめにする。子供だった頃、科学の本で書いてあった通り人間の素材は自然で用意できるものばかりだった。この素材はとにかく小さく作られるため、女性の体に送り込まれても気づかれないようだ。
ここまではレシピ通り作ればだいたいみんな同じものが出来上がる。ここから作るのはデータ作り。顔のパーツや性格をデータとして作り上げるのだ。これが結構難しく、十人十色に作らなくてはならない。頭をかなり使わなくてはいけない作業なのだ。ただハマるととても面白い。ブサイクな顔なのに性格も曲がったように作ったり、超絶イケメンなのにとても控えめな性格にしたり。
この仕事、正直引き受けるまで不安しかなかったけど、実は俺向いているのかもしれない。そう、俺はなんでも決めることができる神様代理。これほど有意義な仕事はあるはずがない!

俺はそれから長らくこの仕事を続けることになった。俺が作った人間が生まれ、そして死んでいく。はじめのうちは自分の作りたいように作っていった。こんな人間がいたらきっと面白くなる。そんなことを考えながら作っていたが、それにも飽きてしまい、同じような人間を量産してしまう時期がくる。真面目な性格ばかりしたら、地球も良い方向に進むだろう。俺は人間を作るにあたって、正解かもしれない答えを見つけ出す。動物だって多少性格が違えど、ほとんど同じようなもの。人間だって同じようにしてしまえば、自然のサイクルを壊さないようになるんじゃないか。
ただ俺が掲げた理想とはかけ離れていく。真面目な人間が真面目な人間を傷つけていく。そして自分たちのために争い、戦いを始めていく。どうしてこうなってしまうのか俺には理解できなかった。
そして俺は人間を作ることを止めてしまった。人間の手で自然が壊滅的になっていく。生きている人間がどんどん減っていく。
なんとなく引き継いだ神様という仕事をここまで滅茶苦茶にしてしまったことに俺は深く反省した。
「人間って多ければ多いほど揉める。でも少なくなってもまだ揉め続ける。これは性格とかの問題じゃない。君も気付いちゃったのかな」
長らく姿を消していた神様が俺に話しかけてくる。今までどこに行ってたのか質問は山ほどあるはずなのに、俺は不安から解消されるかのように大粒の涙を流しながら神様に質問した。
「あなたが作っていた時代に戻したい!力を貸してくれ」
「もう後戻りはできないのです。あなたがすべて壊してしまったのですよ」


はっ!と目を覚ます。壮大な夢だけど人間をレシピに沿って作るなんて馬鹿げた夢を見てしまったと俺は笑った。
何気なくテレビをつけるが、どこのチャンネルもニュースしか放送されていない。仕方なくニュースを眺めているとキャスターの七三に分かれた古臭い髪型に違和感を覚える。
「現在日本軍は世界大戦で優秀な成績を収めています」

まだ俺は悪い夢でも見続けているのだろうか。


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