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笹峰霧子さん

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私の料理歴

19/04/26 コンテスト(テーマ):第168回 時空モノガタリ文学賞 【 レシピ 】 コメント:1件 笹峰霧子 閲覧数:197

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 最近は料理の本でもテレビの料理番組でもレシピなるものが表示されるので初心者でも巧く料理ができるようになった。
 私が一番最初に料理を作ったのは高校生の時で、たしか大根の煮物だった。レシピはあったと思うが、出来上がった代物は美味しいとはいえず、ペッと吐き出したのを覚えている。
 
 高校を卒業したとき、母は私に料理の本を買ってくれた。というのは卒業と同時に病で倒れた私は、入学した大学を休学して家でぶらぶらしていたのだ。で、たまにその料理本を見て料理を作るようになった。母が勤め先から帰るまでに夕食を作った。手垢のついたその本は今でも本棚にあるが、それを見ると懐かしい気がする。料理の先生の役目をしてくれたありがたい一冊だ。
 
 その後少し体調が良くなって身体を慣らす為に栄養士の免許がとれる地元の専門学校に入学した。学校では実習があって学生たちは先生の指導の元、配られたレシピを見ながら作り、料理が出来上がると皆で試食した。
 
 実習で毎日のように料理を作るのだから、全くできなかった者でも次第に巧くなるのは当然だ。二年後に卒業するとそれぞれが色々な職場で栄養士として指導をするわけだ。
 
 私は小学校の給食を任された。だがわずか二年の知識で給食婦の熟練した仕事に太刀打ちできるはずもない。大きな釜で作る給食の指導などできないにもかかわらず、立場として彼女らより給料は多い。彼女らの憎々し気な視線を浴びるのは当然であった。
 
 病院に就職した友人も大変だったようでノイローゼになったと、その兄に会ったときに言っていた。
 職場とはどんな職種であっても新米は大変な思いをするのだろうが、普通なら先輩より月給が安いのでいびられることはないだろう。
 
 栄養士というのは管理をする立場なので、本来はその指導の元に給食を作っている人達がいる。でも入り立ての若い栄養士が口出しできることは何もなく、給食婦にしてみれば役立たずの栄養士は実に歯痒い存在だったろう。

 私もその小学校は半年で辞め、その一年後に大学に入学した。
 学生食堂があったので朝昼晩と食堂で食べていたのはわずかな期間で、或るお婆さんの家に間借りしてから夕食は土間にある調理場で料理を作るようになった。

 その頃はレシピを見て作ることはなく舌加減で味付けをしていた。私が料理を作り始めると、お婆さんが傍を離れず分け前を寄こせと言わんばかりに圧力をかけてきたのはいうまでもない。そういう事情もあって、四年間の学生時代には間借りを探して二度変わった。

 最後に卒業するまで居たのは歯科医院の二階の一間。階段を上がった廊下にこじんまりした流し台があってガスコンロが設けられていた。
そこで私は料理を作っていた。のちに私の紹介した友達が隣の部屋に住むようになり彼女もそこで料理を作っていた。彼女は私より年下で料理の経験もないのに自炊していた。フライパン一つあれば肉入り野菜炒めぐらいは作れるので命は繋げるようだ。

 四年後に卒業した私は実家へ帰り、三年生から文通していた後の夫となる人と結婚した。夫はコロッケが嫌いだと思っていたのに美味しいと褒めてくれた。二人の子供が産まれ、お母さんの料理は旨いというのが家族の定評となっていた。その頃はレシピを見ることもなく毎日様々な料理を作ったものだ。

 或る時叔父の家でご飯を食べた時、叔母の料理がとても美味しかったので、料理を習わなくてもこんなに巧く作れるんだと意外だった。叔母曰く、テレビの料理番組は欠かさず見ていると言った。
 テレビではレシピが表示され、レシピ通りに作れば凝った料理も作れるようになるものだと改めてレシピの効力を認識した。
 
 叔母はそれを見て腕を磨いたのかと納得し、それ以後自分も栄養学校で習ったことで満足しないでもっと学ばなきゃという気になった。
 テレビで観る限り栄養士というのは栄養面のことを指導していて、料理は料理研究家や老舗の料理人が作っている。番組の最後にはレシピが表示される。見なくてもできると思ってメモも取らず見ていても後から作ると巧くできない。

 美味しい料理を作るにはやはり料理人のレシピ通りにやれば良いというのを感じているこの頃だ。
 今は母や夫も居なくなり子供達とも同居していないので自分の為だけに料理を作っている。
 孤食というのは侘しいもので料理といえるものを作る気がしない。簡単な惣菜を作って食べたり外食したり・・なんとか命を永らえている日々だ。
でもテレビの料理番組を観るのは好きでいつも熱心に見ている。


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19/04/26 笹峰霧子

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