1. トップページ
  2. 父ちゃんの料理

風宮 雅俊さん

テーマに沿った物語を、どのくらいのレベルで書けるかな? と言う事で登録してみました。 アマゾンの電子書籍キンドルで作品出してます。こちらも宜しくお願いします。 ツイッター: @tw_kazamiya

性別 男性
将来の夢 世界一周の船旅で、船室に籠って小説を書く事
座右の銘

投稿済みの作品

0

父ちゃんの料理

19/04/17 コンテスト(テーマ):第168回 時空モノガタリ文学賞 【 レシピ 】 コメント:0件 風宮 雅俊 閲覧数:73

この作品を評価する

 風邪をひくと、学校を休まないといけない。友だちと遊べないし勉強も出来ない。身体も熱が出てふらふらするし、あちこちが痛くなる。
 でも、一つだけ良い事がある。この日だけは父ちゃんがご飯を作ってくれるからだ。

「どうした、学校いかないのか?」
 布団の中で丸くなっていると父ちゃんが様子を見にきた。たぶん、学校から電話があったんだと思う。
「ごめんよ父ちゃん。朝飯作れなくて」
 学校からの電話で父ちゃんは起こされたみたいだ。ちょっと不機嫌だったけど、オデコに手を当てると風邪をひいているのが伝わったみたいだ。
「熱があるな。ちゃんとに寝ていろ」
 と、言うと父ちゃんは出掛けて行った。

 窓越しに青空が見える。こんなに天気が良いのなら布団を干したい。掃除もしたい。カーテンも洗った方が良いのかな・・・、家の中も外も静かだな。学校行きたいな・・・、

     〜・〜

 学校から帰ると母さんと妹の三人でハンバーグの材料を買いに行った。今日の夕飯は手作りハンバーグだからだ。
 材料をカゴに入れる時に母さんが鮮度の見方を教えてくれた。
「ニンジンはね、ヒゲ根が出ているのは時間が経っているのよ。ヒゲ根を伸ばすのに、栄養を使うから味も落ちるのよ」
 僕と妹は、ニンジンを見比べていた。
「ホントだ。こっちのヒゲの生えているニンジンはシワシワだぁ」
「母さんすごい」
 僕と妹は大根とかも見て回った。


「はーい。二人とも手を洗って来たら、ボールの中の材料を良く捏ねてくださいね」
 妹はボールを抱えると、
「私が先にやるから、お兄ちゃんは見てて」
 一所懸命に捏ねていても、手が小さいから上手く出来てない。
「はい、お兄ちゃんにもやらせてあげるね」
「ありがとう」
 と、捏ねていると、
「こんどは、私の番」
 と、持って行ってしまう。妹とのやり取り見ていた母さんが、ボールを覗き込むと、
「そろそろ、良い感じかな? では、四個ハンバーグを綺麗に作ってくださいね」
 僕と妹は、「はーい」と返事をした。
「お兄ちゃん、綺麗に作ってくださいね」
 最近、妹は母さんみたいな言い方をするなと思っていたら・・・、ますます母さんに似てきた。

 四人分に分けると小判型に形を整え、
「これが、お父さんの分」
「これが、お母さんの分」
「これが、お兄ちゃんの分」
「これが、私の分」
と、お皿に並べていった。
 そうしたら、母さんが、
「ハンバーグは真ん中を少し凹ませると美味しく焼けるのよ」
と、次々と真ん中を押していった。
「お母さん、ズルイ〜」
 僕と母さんが笑うと、妹も笑っていた・・・・

     〜・〜

 夢を見ていた。一緒に夕飯の支度をしている夢だった。よく覚えていないけど楽しそうだった。

「どうだ、お粥を作ったぞ」
 父ちゃんが、枕元までお粥を持ってきた。
「父ちゃん、ありがとう」
 お粥にタンポポの葉っぱが刻んで混ぜて、タンポポの花を湯がいたのが載せてあった。父ちゃん自慢のお粥だった。
「風邪の時は、これが一番だ。なんと言っても父ちゃんの父ちゃんが教えてくれた粥だから」
 起き上がると食べた。苦みのないあっさりしたタンポポの葉っぱが、少し塩の効いたお粥と合ってとても美味しかった。
「タンポポと言っても、その辺に生えているのとは違って関東タンポポは苦味がなくて旨いんだ」
 去年も聞いたお粥の話だけど、何度聞いても嬉しかった。父ちゃんが僕のために作ってくれたからだ。お粥の炊き方から、関東タンポポと西洋タンポポの違いとか、最近この辺に白花タンポポが増えてきたとか色々教えてくれた。そして、父ちゃんの父ちゃんが教えてくれたと自慢するんだ。
 お粥は温かくて美味しい、父ちゃんの自慢話も嬉しい。
 聞いているうちに寝てしまった・・・。


 父ちゃんの手の温かさで目が醒めた。
「どうだ。調子は?」
 身体の痛みはなくなっていた。ぐるぐる回る感じもなかった。
「大丈夫だよ。学校に行けるよ」
「そうか、それは良かった」
 父ちゃんが頷いている。
「父ちゃんの作ってくれたお粥、美味しかったよ」
 父ちゃんがニヤリとした。
「また、食べたいよ」
 ペシッ
「イタた・・・」
「昨日は働き過ぎた。腹減ったよ」
 父ちゃんは発泡酒を飲みながら言った。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン