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海見みみみさん

はじめまして。 時空モノガタリで修行させていただいています。 焼き肉が大好物。

性別 男性
将来の夢 プロ小説家になること!
座右の銘 焼肉定食!

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ヤオのはじまり

19/04/16 コンテスト(テーマ):第168回 時空モノガタリ文学賞 【 レシピ 】 コメント:0件 海見みみみ 閲覧数:36

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 昔々。中国の山奥で仙人と共に修行をしている若者がいました。
「今までこの辛い修行をよく耐えてきた。免許皆伝じゃ。このレシピを持っていけ」
 そう言って仙人が渡したもの。それは不老不死のクスリのレシピが記された書でした。

 修行を終えた若者、ヤオは早速不老不死のクスリの調合を始めました。
「月のしずくに黄金桃の果汁、それに砂糖とジャンとなにかステキなものアル」
 いよいよ不老不死のクスリが完成します。試しにクスリを捕まえたネズミに与えました。するとネズミはどうなったかと言うと……。
「わっ! ネズミが爆発したヨ!」
 結果は失敗。どうやらジャンの量が多かったようです。

 しかしヤオは諦めません。今度こそレシピ通りに不老不死のクスリを調合します。
「太陽の汗に仏の目くそ、あとはカエルとエスカルゴ、小犬のしっぽアル」
 今度こそ不老不死のクスリが完成しました。一応ネズミに試食させてみますが……。
「わっ! ネズミが風船みたいになったヨ!」
 結果はまた失敗。仏の目くそではなく、耳くそを入れるのが本当のレシピでした。

 もうレシピは間違えません。三度目の正直だと不老不死のクスリを調合します。
「今回は必要な材料を全部ぶちこんだアル!」
 不老不死のクスリは一応形になりました。ただ一応ネズミに試食させると、今回は……。
「ね、ネズミが泡を吹いたアル……」
 二度あることは三度ある。材料をテキトーにぶちこめばいい程、不老不死のクスリは簡単ではないようです。

 それからヤオは日々不老不死のクスリを調合しました。失敗続きでしたが、五十日目でようやくそれらしいものが。試しにヤオは調合したクスリをひとくち舐めました。
「……うん、甘くておいしいアル!」
 やっと完成した不老不死のクスリ。ヤオにはクスリを飲ませたい人がいました。
 ヤオにはピンと言う恋人がいます。ピンは幼い頃から病弱でいつも床に伏せていました。
 そんなピンを元気にするため、ヤオは山奥で仙人に弟子入りし、ようやく不老不死のクスリのレシピを手に入れたのです。
 クスリを持つと、ヤオはピンの家まで駆け足で向かいました。家の前につくと、一度深呼吸。
「ピン、ただいまアル!」
 そう声をあげると、ヤオはピンの家に入りました。ヤオはようやくピンと会えるのです。
 ところがピンの家はもぬけの空でした。ピンの姿はどこにもありません。ヤオはご近所さんにピンのことを聞きに行きました。
「あの、ここの家に暮らしていた女性は?」
「それなら三年前に亡くなったよ」
 三年前に亡くなった。飛び出した言葉にヤオは崩れ落ちます。仙人の元で修行したのは大変長い期間でした。まさかその間にピンが亡くなっていたなんて。ヤオは絶望しました。
「ピンのいない世界なんて……!」
 そう叫ぶと、ヤオは谷から身を投げてしまいました。

 数時間後。ヤオは意識を取り戻しました。
「なんで死ねないヨ? この高さから飛び降りたのにアル」
 そこでヤオは気づきます。ヤオは不老不死のクスリができた時、それをひとくち舐めていました。つまりヤオはもう死ねないのです。
「ピンのいない世界なんて意味がないのに、死ぬこともできないアルか」
 そうなげくヤオ。しかし同時に、ある感情が生まれてきます。
「……もうここまで来たら、破れかぶれアル。こうなったら今度は自分で、ピンを蘇らせるクスリのレシピを見つけてみせるヨ!」
 こうしてヤオの新たな挑戦が始まりました。

 ヤオは自宅で蘇りのクスリの研究を始めました。不老不死なので、時間はいくらでもあります。ヤオはさまざまなクスリを調合しました。
 するとその過程で、悪い病気やケガに効くクスリが開発されました。しかしそんなものはヤオの眼中にありません。ヤオはそれらのレシピをタダで人にあげました。
 こうして中国の医療は飛躍的に進化し、さまざまなクスリが使われるようになりました。中国でクスリのことを薬(ヤオ)と呼ぶのは、ヤオの活躍があったからかもしれません。


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