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3年ぶりのユウキ帰省

19/04/15 コンテスト(テーマ):第167回 時空モノガタリ文学賞 【 実家 】 コメント:0件 mokugyo 閲覧数:26

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3年ぶりに実家に帰って驚く。

実家は、郊外のみすぼらしい木造一軒家だったんだ。それがおぞましい外観に変貌していて。

キューブ状の建物に無数の配線が巻き付いていて、謎の研究所の様になってる。

目を疑うが、確かにここは実家だ。

その証拠に入口の門は昔のまま。標札の「高橋」も変わってない。

木の柵の小さい門を開けて、俺はおそるおそる玄関に向かう。

3年前引き戸だった玄関は自動ドアに改造されており、近づいただけで開く。

玄関入ってビックリ!

いきなりティラノサウルスが突進してきた!

なんで実家に恐竜がいるんだ?

俺はあまりに唐突な出来事に驚き、身動きがとれない。食われる!と思った次の瞬間、ティラノサウルスは首についた紐を引っ張られ動きをぴたりと止めた。

紐を持っていたのは、全身銀色のロボットだ。

「ユウキ!お帰りなさい」

声で分かったよ。母親じゃねえか!

「母さんなのか?なんで全身銀色のロボットになってんだ?」

「ああ悪い。標準の姿に戻しておかないとね」

銀色のロボットはそう言うと、見慣れた母親の姿に変化していく。うん、人間だ。人間に見えるが…。

「母さん、どういうこと?」

「ユウキには言ってなかったけど母さん2年前に火傷してさ。それを治療してたらサイボーグになったんだよ」

「火傷の治療で?有り得るのか?」

「あるあるー。ボディを銀色か肌色に切り替えられるようになったんだよ。銀色のほうが頑丈で力が出てジョンをおさえるにはちょうどいいんだけどね」

「ジョン?ジョンは犬だったよな?」

「ああ、この3年で育って恐竜っぽくなったね」

有り得るか?犬が育って恐竜になるか?

だが、言われてみれば確かにジョンの面影がある…。恐竜にしては、室内に入るぐらい小型だし…。

「ちょっと待ってくれ、母さん。あまりに色々と衝撃的で…」

「3年経てば多少は変わるよ。お前の卒アルはそのまんまだよ」

母がそう言って差し出してきた俺の学生時代の卒アルは確かに昔のままだ。

「俺、卒業後に実家を出て忙しく働いてたけどさ。変わりすぎ!年賀状の写真は普通だったはずなのに…。そうだ、父さんは?年賀状では大根持ってピースしてたけど」

「ああ、書斎にいるよ」

俺は急いで書斎に向かった。

以前は何も置いてなかった廊下も怪しい試験管や謎の端末が並んでる。3年ぶりの実家変わりすぎ!

俺はおそるおそる書斎のドアを開けた。

「おお、ユウキか」

父の声だ。声を聞くかぎりは普通だが…。

俺はドアを全開にして驚愕する。

かつては古い本棚と机が整然と並んでいた父の書斎は、複数のパソコンと無数の配線が絡み合う謎の研究室に変貌していた!

そして!

父の体は透けてる!

「父さん、なんか透けてるんだが?」

父の体をさわろうとするも手がすり抜けてしまう。

「ああ、父さんは幽霊体になったんだよ。ちょっと転んだはずみで肉体を傷つけちゃってさ。ははは」

「はははじゃねえよ!父さん、死んで幽霊になったの?」

「いやいや科学の力で肉体を捨てて幽霊体で生きられるようになっただけだ。幽霊体は便利だぞ!意思の力だけでパソコンの画面を操作することができる」

父さんがそう言うと、パソコンの画面がどんどん切り替わっていくんだよ。

「この家自体、意思の力だけで変形できるようなったんだ。懐かしい風景も取り出すことができる」

父がそう言うと、配線が組み変わって唐突に床が開き、かつて書斎にあった古い本棚が出現した。

驚きっぱなしの俺は質問ばかりする。

「父さんは電子部品の会社に勤めつつ趣味で小さい畑で野菜育てるような普通の人だったよな?」

「うん。まあ育てたのは野菜だけじゃないのさ。ユウキ、接客販売の仕事はうまくいってるか?」

「ああ、ちゃんとやってる。それより実家のこの変わりよう!」

「変わってないさ。前はカモフラージュしてただけだ。実の家の姿がラボなんだよ」

「何を言ってるんだ、父さん?」

そう言いつつ、俺は体が動かなくなっている。突然、床にあった配線が伸びて、先端が俺の右耳に刺さった。視界がぼやける。

「母さんは無機物メインで、肌の質を変えられるようになった。ジョンは犬から恐竜へ変化させることができた。ユウキは名前のとおり有機物メインで、普通の人間のように育っている。私は嬉しいよ。人間社会に溶け込んでいるお前を誇りに思う」

何を言ってるんだ…。父さん…。パソコン画面に俺が見た風景が映し出されていく…。

「3年後に帰省するプログラムも成功した。実の家を見て驚く様は人間そのもの。ユウキ、父さんが作った人造生命体の最高傑作がお前だ。さあ、記憶を更新しよう」

父がそう言ったのを聞いて、俺は気を失った。

(終)


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