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写真の赤ん坊

19/04/13 コンテスト(テーマ):第167回 時空モノガタリ文学賞 【 実家 】 コメント:0件 ハッギー 閲覧数:86

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 母が4年前に亡くなり、実家は住人のいない状態が続いていた。
 退職し時間に余裕が出来たので、遺品の片付けに自転車で10分くらいの実家へ足繁く通うようになった。
 約五十坪ある各部屋を整理していった。埃まみれになって整理したが、結局ほとんど捨てることになった。最後は、倉庫の整理に取りかかった。
 倉庫の中から、ホコリを被ったいろいろな物が出てくる。大抵は木箱や段ボールの中にしまわれており、ダメージの少ない状態で保管されていた。母も、かなり前に亡くなっていた父も、両親そろって几帳面で整頓好きであった。
 50センチ四方位の段ボールから、数冊の古いアルバムを発見した。その中に私の生まれた頃から3歳位の写真が貼られてあるアルバムがあった。まるまると太った赤ん坊だった。子供の頃には何度も見た写真だったが、成長してからは全然見ていなかったものだった。
 しばらく、写真を眺めながら、思い出にひたった。例えば、背景に写っている裏庭は今と変わってないなとか、今更気付いたりしながら。
 家内にも、初めて私のまん丸い顔の赤ん坊時代の写真を見せた。
 「今の顔と、そっくりやん」家内の最初の言葉だった。本人の写真だから、そっくりなのは当たり前なのだが。
 若い頃の私は非常にやせて頬がげっそりして面長で、特に大学生の頃はビートルズやウッドストックなどの欧米文化の影響なのか当時の流行でロングヘアにしていた。たぶん、たいていの人がこの写真を見ても、その頃のスリムな自分と、この写真の丸顔の赤ん坊が同一人物とは想像できないだろう。
 ガリガリだった私なのに、中年になって徐々に太りだして、40代半ばくらいから髪の毛も薄くなり出し、60を越えた今では、小太りの坊主頭である。
 1歳を過ぎたくらいの赤ん坊の自分の写真と、60過ぎの小太りで坊主頭の自分が、同じ顔をしているのだ。
 すでに還暦を過ぎている。還暦とは、60年で干支が一回りして再び生まれた年の干支にかえるという意味があるらしい。
 生まれた頃の自分に戻って、新しい人生を過ごしていこうと、この赤ん坊時代の写真に言われたような気がした


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