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とむなおさん

とむなお――です。 ちょっと奇妙な小説を書きます。どうぞ宜しく!

性別 男性
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実家が――大変な事にー!

19/03/25 コンテスト(テーマ):第167回 時空モノガタリ文学賞 【 実家 】 コメント:0件 とむなお 閲覧数:92

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 四月中旬のこと…… 
 東京アーティスト大学2年生の田村フミヤは、ゴールデンウイークを利用して、千葉県にある実家に帰省することに決めていた。

 以前から電話で母に、
『そんなに遠くないんだから、一度は帰ってきなさいよ!』
 と言われていたためと、今年のゴールデンウイークは4月28日から5月6日と長かったからだ。

 4月28日――快晴の昼前に、フミヤは東京駅で弁当を買って列車に乗った。
 その弁当を食べながらフミヤは、走る列車の窓外の景色を楽しんでいた。
「こういう旅も、いいもんだな……」

 そして、千葉県花見市にある実家に着くと、母が笑顔で迎え、父や姉のミキも歓迎ムードだった。
 フミヤの実家は、数ヶ月前にリフォームしたということで、モダンな二階建てとなっていた。
 食堂での夕食時は、東京でのフミヤの生活状況の報告で、爆笑の場となった。
 そして、やがて、それぞれの自室で就寝となった。

 翌朝……
 顔を洗おうと、2階の自室から出たフミヤは、愕然(がくぜん)として、
「なんだこりぁー!!」
 その声に、1階から顔を出した両親と、3階から姿を見せたミキは、やはり愕然として叫んだ。
「なんだこりぁー!!」

 自宅の構造が変形の三階建てになっていて、ミキの部屋と階段が移動していたのだ。
 2階から1階に設置してある2本の階段も、ユニークな曲線を描くように曲(ま)がっていて、1本の階段は新たに出現した3階に伸びていた。
 さらに1階にあった玄関は、あろうことか天井に移動していたのだ。

 母とミキは、あまりのショックで倒れでしまった。
 それを見た父は母をベッドに運び、フミヤは、三階まで行ってミキをベッドに運んだ。
 元々は、両親の部屋は1階だったが、ミキの部屋は2階のフミヤの向かいに在ったハズだった。
 父とフミヤは、1階のリビングのソファーに座ると、
「どうして、こんな……?」
「まったく……訳が分からないよ……」
「誰かのイタズラにしてはな……」
「とにかく何か食べないと……」
 フミヤはキッチンへ向かった。
「お前は、さすがに若いな……」
 父は頭を抱えてしまった。
「父さんは、どうする?」
「私はいいよ」
 そして、つぶやくように、
「よく三階建てはいいな……と言っていたためか……」

 その日の昼前になっても、母とミキはベッドで寝たままだった。
 父は、リビングのソファーに座って考え込んでいた。
 フミヤは、変形した階段を何度も上り下りして、色々な箇所(かしょ)を調べていた。
 が、やがて父のことが気になったのか、リビングに下りてソファーに座った。
 リビングは、その変形した家の中央に位置していたため、見上げれば異世界――の状況だった。
 フミヤは、その状況を見上げながら、
「ナゾは……どうして2階の姉貴の部屋があった所が穴になって、三階建てのようになったのか……? そして何故、最も高い天井に、玄関が移動したか――だよ……。あれじゃ、外には出れないからね……」
「つまり私たちは、この家に閉じ込められた――という事か……」
「しかし、この階段のネジレは凄(すご)いね……。1本は3階に移動した姉貴の部屋の前から、1階の親父たちの部屋の前まで。もう1本は2階の僕の部屋の前から、1階のトイレの前まで――だもんね……」
 その時に、ようやく母が顔を見せ、
「あっ、まだ直ってないのね……」
 そしてミキも出てくると、
「なーんだ……まだ直ってないんだ……。困ったものね……」
 その変形した階段を下りてきた。
 こうして、ようやく4人がリビングに集まると、母とミキが、
「お腹へったわー……」
「あたしも……」
 フミヤと父は笑い、
「やっと元気になったね……」
「私も朝から食べてないんだ……。フミヤ、何かあるよな……?」
「ん、適当に……」
 すると母が、
「私、まだ気分が悪いすら……代わりに作って……」
「あー、いいよ。この家の問題は……まぁ……なんとか……」
 父は苦笑しながら、キッチンへ向かおうとした。
 その瞬間、大きな地震が起きたので、4人は急いで奥の食堂に逃げた。
 そしてテーブルの下に入ると、身をひそめていることにした。
 色んな物が落ちているような、ものすごい音がつづいていた。
 ようやく静かになったので、4人はリビングに戻ってみた。
 すると母とミキは、
「ありぁー!」
「まぁ……なんと……!」
 父とフミヤは「おー……」と溜め息をついた。
 自宅は、完全に元に戻っていたのだ。
「なんと……地震が直してくれるとは……」
「地震も、たまには役に立つか……」
 そして父とフミヤは笑いだした。

 ――終――


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