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霜月秋旻さん

しもづきあきぞらと申します。 日々の暮らしの中からモノガタリを見つけ出し、テーマに沿って書いていきます。

性別 男性
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迷ったあげく

19/03/18 コンテスト(テーマ):第166回 時空モノガタリ文学賞 【 おくりもの 】 ※時空作者による選考回 コメント:1件 霜月秋旻 閲覧数:170

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 私の部屋のすみに墓石が置かれていた。
 仕事から帰ってくると、私が住むアパートの一室に、誰が置いたのか知らないが、高さ一メートル半はあるだろう、見るからにズッシリとして立派な、黒色の和型墓石が置かれていたのである。何が起こったのかわからなかった。そういえばこのところ忙しく、夜もよく眠れていない。幻覚でも見ているのかもしれない。しかし、何度まばたきしても目の前にある墓石は消えてくれない。消えるどころか、部屋の電灯に照らされてピカピカに輝いている。
「気に入ってくれたかい?」
 背後から聞きなれた声がした。振り向くと、つい最近私と同棲を始めたタケシが後ろに立っていた。この墓石は彼の仕業らしい。そういえば今日はホワイトデー。タケシ曰く、ホワイトデーのお返しに何がいいかと店を色々とまわったがどの品も決め手に欠け、迷った挙句にこうなったらしい。
「びっくりしたわ。え、ええと、その、なんで墓石?ホワイトデーに?クッキーとかプリザーブドフラワーとかじゃ駄目だったの?バレンタインで渡したハート型のチョコが、こんな墓石になって返ってくるなんて思いもしなかったわよ?しかも部屋の中に運び込まれるなんて…」
 私自身、ホワイトデーに墓石をプレゼントされたのは今まで生きてきて初めての経験だ。うろたえてる私の表情を見て、タケシは不安そうな顔を浮かべている。
「ごめん、なんか、あまり嬉しそうではないね」
「うん、ごめん。嬉しいとかがっかりとか通り越して、もうね、頭の中でクエスチョンマークがゲシュタルト崩壊してるの…ねえ、なんで墓石?」
「ごめん。これ、洋服ダンスなんだ」


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このストーリーに関するコメント

19/04/09 滝沢朱音

冒頭の一文、いったいどういうシチュエーションなんだろう…と読み進め、えええええ……!!!タ、タンス〜?!
私の頭の中でも?がゲシュタルト崩壊してます。面白かったです!

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