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海見みみみさん

はじめまして。 時空モノガタリで修行させていただいています。 焼き肉が大好物。

性別 男性
将来の夢 プロ小説家になること!
座右の銘 焼肉定食!

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いらないプレゼント

19/03/13 コンテスト(テーマ):第166回 時空モノガタリ文学賞 【 おくりもの 】 ※時空作者による選考回 コメント:0件 海見みみみ 閲覧数:78

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 クリスマスイブの朝。タクヲくんはボクを抱え走っていました。
 ボクはタクヲくんが買ってくれたプレゼント。今は鮮やかな包装紙に包まれています。
 タクヲくんが走って探していると、ようやく想い人であるコマチさんを見つけました。
「あら、タクヲくん。どうしたの?」
「これ、よければ受け取ってもらえますか!」
 ボクが差し出されると、コマチさんは笑顔で受け取ります。同じく笑顔のタクヲくん。
 これでクリスマスの小さなお話は終わった……はずでした。

 コマチさんは自分の通う高校に着くと、教室に入るなりツカツカと歩いていきます。向かった先は……えっ、ゴミ箱?
 そのままコマチさんは、中身を見ずにボクをゴミ箱にたたきこみました。
「コマチ、なに捨てたの?」
「前に話したストーカーがプレゼントを押しつけてきたの。気持ち悪いから捨てちゃった」
 えっ、タクヲくんがストーカー? あれだけ必死にプレゼントを考えて、うれしそうにボクを選んでくれた、タクヲくんが?
 頭の中が混乱して、わけがわかりません。なにより、いま自分がゴミ箱に捨てられている現実が、とても受け入れられませんでした。
「なんだよ、それ捨てちまうのかよ」
 コマチさんに男の子が声をかけます。コマチさんは「いらない」と迷惑そう。するとその男の子は思ってもみない事を言いました。
「それじゃあそれ、オレがもらってもいい?」
 そう言って男の子はボクをゴミ箱から拾います。予定は変わっちゃったけど、ボクはこの人、ユウくんに拾われることになりました。

 話を聞いていると、ユウくんには下にたくさん兄弟がいて、兄弟たちへのプレゼント用にボクを拾ったことがわかりました。
 放課後。イルミネーションが輝く街をユウくんと一緒に歩きます。もちろんほかの兄弟用のプレゼントを買うことも忘れません。
 ユウくんの家はすぐ近くにあり、玄関を開けると、兄弟が一斉に出迎えます。ユウくんがプレゼントを抱えているのを見ると、兄弟たちはおおさわぎしました。
 すぐにプレゼント交換が始まります。ボクをもらってくれたのは、次女で中学生のフタバちゃん。フタバちゃんは目を輝かせながら、包装紙を開きます。すると出てきたのは、クリスマスを題材にした児童書……ボクです。昔流行った本で、とってもステキなお話だったと、タクヲくんも語ってたっけ。
 ところが、ボクを見てフタバちゃんは急に顔をしかめました。
「児童書なんてガキの本、ワタシいらない!」
 そう言ってフタバちゃんはボクを放り投げました。
「本を投げるな! まったく、代わりに欲しいやついるか?」
 ユウくんの兄弟が口々にいらないと言います。ついにボクを受け取ってくれる人は、一人もいませんでした。
「仕方ない、明日古本屋にでも売りに行くか」
 それはプレゼントであるボクにとって、死刑宣告でした。ボクはだれにももらってもらえない、いらないプレゼントだったんだ! そう思うと涙があふれて止まりませんでした。

 夜、真っ暗な部屋でボクは一人シクシク泣いていました。いらないプレゼントである自分が悲しくて、涙が止まりません。
 そこに部屋の電気がつきます。ユウくんのお母さんが仕事から帰ってきたのです。
「ユウ、ちゃんとプレゼント配った?」
「配ったよ。一冊だけ本が余ったけどね」
 ユウくんがボクを手にします。するとお母さんの目の色が、急に変わりました。
「その本、余ってるの? それじゃあワタシがもらってあげる」
 そう言うと、お母さんがボクを手にして自分の部屋に向かいます。いらないプレゼントのボクが、受け取ってもらえた? それが信じられなくて、本当はいけないんだけど、ボクは口を開いてお母さんに問いかけます。
「ボクのこと、本当にもらってくれるの?」
「あら、あなたしゃべることができるのね。……小さい頃にあなたと同じ本を持っていたの。宝物だったわ。だからとても懐かしくて」
「でも、ボクいらないプレゼントなんだよ?」
 ボクがそう言うと、お母さんは首を横にふって静かにこう語りかけてくれます。
「いらないプレゼントなんて、この世には存在しないわ。現にワタシは、あなたをもらってとてもうれしいもの」
 お母さんの優しい言葉。ボクはプレゼントなのに、逆に自分がプレゼントをもらったみたいで、涙が止まりませんでした。


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