1. トップページ
  2. 哀しい贈り物

デヴォン黒桃さん

「黒桃将太郎」名義でKindle作家として活動。「デヴォン黒桃」名義で猫面師としてアート活動も。人間ドラマや人の感情に興味があり、書きたい物をジャンル問わず書いております。「黒桃短篇集」発売中昭和浪漫のスコシばかり怪異なお話、アナタの脳髄へソット、注入サせて頂きます。 心の臓のヨワい御方は、お引き返し下さい。 精神に異常をキタしても、責任が取れませぬ故。http://amzn.to/2jPBe4m

性別 男性
将来の夢 りっぱなおとな
座右の銘 悔しいけど感じちゃう

投稿済みの作品

0

哀しい贈り物

19/03/07 コンテスト(テーマ):第166回 時空モノガタリ文学賞 【 おくりもの 】 ※時空作者による選考回 コメント:0件 デヴォン黒桃 閲覧数:105

この作品を評価する


 
 ──ただユックリと眠りたかった。脳内を駆け回る思考の種たちよ芽吹かないで呉れ──

 アナタと同じ速さで歩けたら、まだ側に居て呉れただろうか。

 ──傲慢──
 最後の夜に、罵倒を繰り返した、其れは胸が苦しかったから。自分の想いを伝えるのだけ必死で、愛したはずのアナタの心情を慮ることを置いてけぼりにして、劣情とも云える汚い言葉をぶつけた。ボクが求める台詞を引き出そうと、天の岩戸を叩き壊したみたようなのはボクでした。何故解らないのだと、コンナにシッカリと伝えているのに、と。何度も叩いて。

 ──暴食──
 アナタの想いを全て受け入れる、ダカラ優しくして呉れ、愛して呉れ、歌って呉れと、イツカはアナタの肉体と精神さえ喰い殺してしまおうかと、其れが美徳と想い違えて、ただただ飢餓感の赴くままに……ボクの求める言葉以外は喰わずに。

 ──嫉妬──
 人伝いに、ボクのことは恨んでないと聞いた。其れはボクの事を想って居ないということだろうか。此方は飯も喰えず、夜も眠れず、痩せ細っていくはかりのボクのことは、全て忘れて仕舞ったのだろうか。

 ──怠惰──
 アレから今日迄、何を悩むでもなく延々と時間が過ぎていくのだけを、身動ぎもせず朝晩を無駄にして居った。思い出す最後に云われた言葉の意味も解らずに、只、繰り返しボクを責め立てるようなアナタの影に怯えて、只、浅くて早い呼吸をしていた。朝も昼も、夢の中でまでも。

 ││色欲││
 今も尚、耳管にこびり着く美声は、ボクの情欲を擽る。癒やしを渇望する自分勝手な想い、眠れぬ夜はソンナ事ばかり考えている。只、側に居れたら良かった、否、そうすればモット求めたのかも知れない。底知れないのだ、欲と云うものは。

 ──憤怒──
 何故、ボクばかりが苦しみ悶えてアナタは楽しそうに跳ね回って居る。憎たらしいったらアリャしない……イッソ、其の羽根をもぎ取って二度と跳ね回る事が叶わぬようにしてやりたいと、ソンナ恐ろしい事も頭を過っていく。

 ──強欲──
 力尽くでも、側に。離れることを諦めて仕舞うように差し向ければ或いはボクの側で笑って居るだろうか。外堀を埋めて追い立ててやろうか、其れ共弱みの一つでもチラつかせて謝罪の言葉でも引き出してやろうか。言い成りにして、這い蹲らせて……


 ──ナンテ恐ろしい事を考えて居たのだと気付いたのは、全てを失ってからだった。人間とは、本当に大事なものを失ってから気付くと。ソンナ事は何度も経験してきたハズ。なのにバカは死ななきゃ治らないと……
 今思えば、優しい言葉も、ボクを想っていた事も、悟ったように全てが理解できる。ボクの犯した大罪を棚に上げ、我欲だけを追求して追い詰めた、下らない男から逃げていくのも無理はない。
 ……冷たい言葉にも温度は有った。其れは、コンナみっともないボクに呉れた想いの丈だったのだ。せめて、此の悲しい贈り物は、大事に孵化させてあげよう。イツカ卵を破り、芋虫に成って、蛹から成虫に変化して跳ね回るキレイな羽蟲に成るのだ。
 ボクも、アナタの事を想い乍ら、此のみっともない想いを昇華させて、一人前の立派な男に成るのだ。其れが、アナタの願いだったのかも知れない。
 
 シカシ……残念なことに……其れに気付くのが遅かった、後一日、否、半日、否、数時間早ければ……
 こうして、想いを遂げる事も無かったのに……可愛そうなアナタ。
 
 ボクの目の前にチミドロに成って横たわる……可愛そうなアナタ。

 ボクは、アナタの最後の言葉に秘められた、想いという贈り物に気づかない侭……

 冷たくなったアナタの黒髪を撫でながら、泣いて過ごしましょう。

 側でズット一緒に…………
 


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン