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草愛やし美さん

時空文学コンテスト開催100回、おめでとうございます。思えば、初めて私が、こちらに投稿したのは2012年5月のこと、もう4年近く経ったのですね。時空モノガタリさまが、創作の場を与えてくださったお陰で楽しい時間を過ごすことができました。感謝の気持ちでいっぱいです。 また、拙い私の作品を読んでくださった方々に感謝しております。 やし美というのは本名です、母がつけてくれた名前、生まれた時にラジオから流れていた、島崎藤村作詞の「椰子の実」にちなんで……大好きな名前です。ツイッター:草藍やし美、https://twitter.com/cocosouai 

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宇宙船アカン号

13/01/27 コンテスト(テーマ):【 船 】 コメント:5件 草愛やし美 閲覧数:3100

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「おはようございます。宇宙光年▼○△☆年&月$日の朝のニュースをお伝えします」
 うるさいアナウンサーの声が宇宙ステに響いている。宇宙ステとは宇宙ステーションの略ではない。宇宙棄て、要するにゴミ棄てのための宇宙船だ。地球上がゴミの星に化してから、いったい何年経ったことか。ゴミは棄てても棄てても増え続ける。焼却にも限りがある。昔から存在するダイオキシンなどの有害物質より恐ろしいdai大キシンという化学物質が排出されてしまうのだ。焼却炉を高温にして完全燃焼をしても無理だったのだ。困った人類の出した結論は……。

「棄てるしかない、宇宙に!」
 捨て場としてまずどこか宇宙のブラックホールという提案がされた。そこならいくら投棄してもOKだろう、だが、急を要した人類は、そこへ行くより手っ取り早いゴミ棄てを選んだ。浮遊したゴミはどこかの星の引力に導かれて飛び去っていくはずだ。
 宇宙ステは次々と生産され、各国が所有するまでに至った。この事業は各国でてんでばらばらに行われていたのだが、ゴミ廃棄問題は、地球的規模の危機だという理由により、国際協定によって決められ、数年前よりスイスにあるアカン十字団によって全て一括管理されるようになった。

 ここ宇宙ステのアカン5号に乗船しているのはアランとイヤンの二人。宇宙ステは、地上からの指令でほぼ自動運転されているので二名で充分だ。乗船員の仕事は、ゴミ投棄の際に、回りを確認するだけ。他の星人に見つからないように、秘密裡にゴミを棄てるためで、ここだけは手作業になっている。辺りを確認し、ゴミ投棄ボタンを押した後、即刻帰路につく。地球上では逃げ帰ってきたロケットをすぐさま地下に格納する。宇宙ステの基地は地下に設けられているのは、地上が、ゴミで埋もれてしまっているため、基地を作ることが無理だったからだ。

 アランとイヤンは今日もまた地下基地からゴミ棄ての旅に出ていた。ロケットの軌道はいつもPCでランダムに選ばれる。同じ場所に不法投棄を続けていると他の宇宙人にばれることを恐れてランダム選択にされている。

「投棄されたゴミって、どこにいくんだろうなぁ?」
「知らない星よ、引力が強い星ってことはわかってるでしょ。でもそこって見るの怖いわぁ、きっと凄いゴミ星になってるかもだね。私たちの地球どころじゃないんじゃない」
「だけど捨てるのが僕らの使命だからそういうことは考えないのが一番さ」
「そうねまずは地球が一番だもんねぇ」
「そうだよ、地球に住めなくなるかもとわかってから、移住先としていろんな他の星を調べたけどどこも環境的に無理だったものなぁ」
「駄目だったから、地球を守るしかないのよ」
「そうだよ、この不法投棄は天命なんだよ」
「ねぇねぇゴミを減らそう作戦なんていって、地上ではずっとエコ、エコって叫んでいるけど、どれほどの効果をあげているのかしら?」
「さあ、宇宙ステの仕事が増えているところを見ると……」
 アランはそれ以上は恐ろしくって言えなくて黙ってしまった。
 
 アランは宇宙ステの開閉式窓を開けた。窓という窓は、船内を覗かれないよう通常はスモークがかけられている。投棄するため、アランは、スモークを解いた。窓に漆黒の宇宙が現われたの。しばらくあちこちの窓に移動して宇宙を眺めていたアランが言った。
「大丈夫、誰もいない。イヤン、今だ! 投棄ボタンを押せ」
 アランの声にイヤンはボタンを押した。とたんにサイレン音が鳴り響いた。
「しまった、宇宙警察だ。見つかったか、逃げろ」
 アランの声にすぐさまイヤンは逃走スイッチを入れた。宇宙ステは大きく傾くとヒューーーンと飛び去っていく。だが、宇宙パトが追いかけてくる。アランは操縦席に飛び込み、開閉式窓に再びスモークをかけると同時に叫んだ。

「証拠隠滅弾発射」
「ラジャー」
 イヤンは煙幕ロケットを噴出しアランたちは安心して地球への帰路についたのだが、逃走は失敗していた。宇宙パトは、銀河系宇宙全体を取り締まる本部に、地球の違反行為を報告し、ついに、ネズミ捕り号が、発進された。ネズミ捕り号の船内に、指令がマイクで伝えられ乗り組み員たちはそれぞれの配置についた。
「ワープ装置準備完了」
「ラジャー、ネズミ追放作戦開始」
 アナウンスが宇宙船に響き渡り、鋭い光線が発射された。シュバババーーン! とたんに、スッと地球が消え去った。乗組員たちは黙祷を捧げている。
「昔は美しかった永遠なる青い星、地球よさらば」
「二度と天の川銀河に戻ってくるなよ」
 ネズミ捕り宇宙船号は、地球を他の銀河系に、ゴミとして廃棄したのだ。

 基地の揺れの異変ににアランとイヤンは、驚いて外界を見た。
「アランここどこ? 何か変よ」
「イヤン、ここって……」
「アランイヤンここどこ?」


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このストーリーに関するコメント

13/01/27 草愛やし美

画像は、素材サイト、イラストACさんの、Nさんからお借りしてきたものです。http://www.ac-illust.com/

13/01/28 鮎風 遊

なるほどね。
こんな話しの展開もあるのかと、アランイヤンですわ。

童話のような、反省もさせられる面白い話しで、良かったです。

13/01/28 そらの珊瑚

草藍さん、拝読しました。

独特のユーモアのなかに
痛烈な社会批判を含ませたSFですね。

13/01/28 泡沫恋歌

草藍さん、拝読しました。

この話は遠い未来の話でもなくなりそうですね。

今でもスーパーのゴミ箱に自宅のゴミを捨てる人が居ますが
これって「宇宙ステ」の心理なんでしょうか?

反省しきりのお話でした。

13/02/10 ohmysky

発想が面白くて、一気に読めました。
地球ごと廃棄されるという展開は予想できませんでした。
素晴らしい!!
この位の発想展開力が無ければこんな面白い物は書けないんですね。

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