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ササオカタクヤさん

文章でササオカタクヤの世界を伝えられたらいいなと考えてます。 キャラクターたちがイキイキとした物語を書いて、読んだあと何か残れるような作品にしていきます。

性別 男性
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炭酸飲料飲んでくれない!

19/02/11 コンテスト(テーマ):第165回 時空モノガタリ文学賞 【 弾ける 】 コメント:1件 ササオカタクヤ 閲覧数:106

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こんなチャンスこれから何度訪れるか!きっと数えるほどしかないはずだ。でもこのチャンスが失敗に終わったら二度とチャンスはやってこないだろうし、後戻りができなくなる。このまま今の状態を保った方が幸せなのかもしれない。しかし僕は考えがまとまらずに口走る。
「もう少し!…もう…少し話さない?」
僕の頭上に神様と悪魔がいたとしたら、きっと神様は「あー!それはダメー!」と言っているだろう。チャンスと言えど、こんな勝算のない一世一代の大勝負は神様じゃなくても止めたはず。きっと悪魔でも。
「うん。いいけど」
そんな勝算のない僕のお誘いに君は「うん」と頷いた。チャンスは継続したのだ。いや、これはチャンスじゃない!大チャンスだ!
僕はこの大チャンスをどうにか物にしようとあらゆるパターンを考える。とにかくこの状況を長く続かせたい。そのためにはどこかゆっくりできる場所が必要と考え、僕は公園のベンチに座ってもらうことにした。そして君を満足させるために僕は君をベンチに置いて自動販売機に飲み物を買いに向かう。
君は以前、運動会の打ち上げで炭酸飲料を飲んでいたはず。つまり炭酸飲料を買っていけば君は喜ぶに違いない!僕は炭酸飲料、しかもペットボトルではなく炭酸が強い(僕はそう確信している)缶の炭酸飲料を買い、君の座っているベンチに急いで向かう。
「おまたせ!これ飲んで!」
「あ…ありがとう」
君は僕に感謝を告げると早速炭酸飲料を飲み始める。君の口の中で炭酸が激しく弾けているのを僕は横目で密かに眺める。しかしその一口以降君は炭酸飲料を飲もうとしなかった。そして僕は君の行動を見てハッと驚かされる。君は手を口元に持っていきハァーと息を当てていたのだ。そして君は手をポケットに入れて暖を取る。またハァーと吐いた息はモクモクと白い煙のようになる。
「寒いねー」
僕はやってしまった。季節は12月半ば。テスト期間も終わりようやく冬休みという時期だったことをうっかり忘れていたのだ。こんな寒い日に炭酸飲料なんて!
「さ、寒いのにごめん」
「ん?なにが?」
僕が謝ると君は不思議そうにこちらを見てくる。初めて見るその表情に僕は吸い込まれてしまったかのように魅入ってしまう。
「あ、いや、こんな寒い日なのに冷たい飲み物って」
僕はふと我に返って君に謝った内容を伝える。すると君は首を横に振り「そんなそんな」と言ってくる。しかしそうは言っても君はやっぱり炭酸飲料を口に運ぼうとはしなかった。君は大丈夫と言ってくれたけど、きっと気を遣って言ってくれただけなんだ。この大チャンスを逃したくない僕は君に声を掛ける。
「温かい飲み物買ってくるよ!何がいい?」
この時間が未来永劫続いてくれるなら、僕はいくらでも自動販売機に足を運んで君に飲み物を与え続けたい。だから僕は君が今、欲しい飲み物を買ってこようとした。しかし君は「いらない」と言った。
僕は頭を悩ませる。君が好きなはずの炭酸飲料なのに一口だけしか飲まないし、寒いのが理由ではないって言うし僕はもう君に直接聞くしかなかった。
「どうして飲まないの?」
すると君は足下を見て黙り込んだ。君の表情は伺えないがこの時、僕は大きな問題に気付いてしまったのである。君が炭酸飲料好きという理由が運動会の打ち上げで飲んでいたという薄い情報でしかないことに。もしかしたらあの時、誰かに無理矢理飲まされてたのかもしれない。はたまた炭酸飲料に見えただけで違ったのかもしれない。もし仮に君が炭酸飲料が嫌いだとしたら、僕はこの大チャンスを棒に振ってしまったことになる。嫌いな炭酸飲料を渡してきた奴という悪いイメージだけが残ってしまう。これは大変な事態だ。
僕はこの問題の真相を突き止めるべく君に問いただした。
「もしかして…炭酸苦手?」
君は顔を赤らめ、首を横に軽く振った。あれ?苦手じゃない?僕の推理は的を得ていなかったのだ。
「じゃあどうして…?」
僕はさらなる真相に首を突っ込もうとする。その時、君は突然立ちはじめ
「女の子にそんなこと聞いちゃダメ!」
と恥ずかしそうに僕に言った。何のことか分からない僕は立ち上がった君をただただ見つめている。
「私は死ぬほど炭酸飲料が大好きなの!こんな寒い日でも飲みたいぐらい大好き!でも君の前で炭酸飲料なんて飲めないよ!炭酸飲料好きって思われたくないし、飲んでるとこなんて見られたくないもん!」
僕は意味が分からず君に質問する。
「なんで僕の前で飲めないの?」
「…す、好きだから。ゲップしたりしたら最悪じゃん」
僕は頭が真っ白になった。想いを寄せる君から突然の告白。そしてとても可愛い理由で飲めなかったという真実。弾けそうなぐらい僕は嬉しかった。
ただ僕にとっては最高でも君にとって最悪なら、今度は微炭酸の飲み物をあげようと僕は密かに考えた。


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このストーリーに関するコメント

19/02/12 イト=サム・キニー

拝読しました。
『この時間が未来永劫続いてくれるなら、僕はいくらでも自動販売機に足を運んで君に飲み物を与え続けたい』という箇所から主人公のパニックぶりが感じられる作品でした。
読ませていただいてありがとうございました。

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