1. トップページ
  2. ドゥ・ジ・エヴォリューション

村沢走さん

村沢走と申します。現在、月に一度のペースで執筆中。

性別 男性
将来の夢 恐竜になる事
座右の銘 石の上にも三年

投稿済みの作品

0

ドゥ・ジ・エヴォリューション

19/01/23 コンテスト(テーマ):第165回 時空モノガタリ文学賞 【 弾ける 】 コメント:2件 村沢走 閲覧数:95

この作品を評価する

 大食い選手権なんて、出れるだけ凄いと思うが、家の彼女は格が違った。エビチリ四人前を完食しデザートにパフェを食べる。其れも一人で。僕は、隣で「凄いな」と述べると、自分のパフェを注文した。鍋奉行なんて流行らないと思うが、其れでも千穂は熱心だった。「嗚呼。tv出る様な人はね……格が違うのよ。格が……っ!!」とは、彼女の弁である。僕はパフェを食べ終えると、其の足で会計を済ませ、金額に仰天した。モツ鍋って此んなにするのか……が、率直な感想である。千穂は足早になって言う。「大槻君。私と付き合うっていうのは、斯ういう事よ――……」。躊躇いはなかった。カウンターパートの両端で、其れを認識し、僕等は街の一角へと消えた。
 週末の忙しい時期、僕等は出会った。弾ける千穂。出品する僕。二人の間に忌憚はなくって、其れで僕等は交際した。二日目の或る日、千穂は告げた。「焼き肉パーティーを遣ろう。大槻君と私で」とは。告げて、業務用スーパーへと買い出しに行く。グレイシャの様なコーナーを抜けると、其処に精肉は鎮座していて、其れで僕等は5000円程爆買いした。完食だった。グルマンだった。健啖家だった。千穂は恥ずかしげもなく平らげると、其の足で僕へと斯う告げた。「毎週遣りたいね――……そうだな――……週に一回は大食いが良いな――……」シングルノートの香水で臭いを消し乍ら、臆面もなく言い放つ。
 辟易として、僕は帰りの途に着いた。
 翌週、クラスの子から、此んな噂を聞いた。――……千穂がtvに出るらしい。大食い選手権の予選の様な物で、其れで、僕は一気に血の気が引いた。付き合っている事は周知の事実であったが、其れを機に、一気にファンが増殖するかも知れない――……焦りと後悔が同居する中で、千穂へと仮説を繰ってみる。「なあ。僕以外に、千穂を容認する奴が出て来たら、如何する?」。言に、千穂は返す。「何言ってるの――……大食いの女の子なんて、モテないよ――……知ってるでしょ? 大槻君が、唯一の拠り所だよ――……」。自分の彼女がtvに出るなんて、複雑極まりない物であったが、僕は安心して、其れを臨んだ。tvで見た事が有る有名選手も居て、彼女の出番となった。千穂は、予選を二位で通過すると、本戦でも順当に勝ち上がって行った。
 果たして――……決勝の舞台は、ハワイだった。サーベイランスに因れば、日本の観光客が多いという此の地では、五人の選手が覇を競っていた。観客として同行した僕は、千穂の懸命な追い上げに、何時しか、心奪われていた。いや。其の前から、彼氏ではあったのだけれども――……ともあれ、準々決勝で、千穂は敗れた。涕を滲ませ、「もっと――……もっと、強くならなくちゃ――……」と、述懐する千穂。僕は、感けている自らを嗜めると、其の足で千穂へと、此んな風に告げた。「千穂。千穂は良く遣ったよ――……だから、恥じる事なんて、ないんだ」。大泣きして、撓垂れ掛かる千穂。僕は、抱き締めると、ハワイの地を後にした。
 翌週。千穂の戦闘心には火が付いた。大食い専門店へと足繁く通い、大食いレシピを書き留めて帰った。同棲生活に移行していた僕等は、食費だけで月十万を支払う羽目になった。千穂は言う。「大槻君。何時も私を支えてくれて有り難う――……優勝賞金獲ったら、ハワイに連れてって上げるからね――……」。もう嫌だった。月十万とは言ったが、一年で百二十万。バイト代を合わせても、足が出る金額である。僕は言った。「千穂――……千穂の気持ちは嬉しいよ――……でも、駄目なんだ――……家賃も光熱費も逼迫してるんだ――……此れ以上、無駄金に費やす余裕は、ない」。此方の言に、又も涕目で応える千穂。其の姿にフォルスネームは無くて、其れで、僕等は別れ話を切り出した。「でも斯う考えてみて。大槻君。私と一緒に居ると、幸せでしょ?」。二人の間に清福が流れ、此れで僕等は快諾した。もう一度、プランを練り直してみよう、という事になり、僕等は御蔭で天手古舞いであった。もう一度――……ハワイへ――……。其んな風に希望が映える日常であった。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

19/01/25 イト=サム・キニー

拝読しました。
『エビチリ四人前を完食しデザートにパフェを食べ』ているものの、食後の会計では『モツ鍋って此んなにするのか……』と驚かれていますので、モツ鍋はどれほど召し上がったのかと興味がわきました。また、二人の馴れ初めである『弾ける千穂。出品する僕。』という部分も言葉の意味がわからず気になりました。
読ませていただいてありがとうございました。

19/01/26 村沢走

 火奈樋 ソギ様。コメント有り難う御座います。千穂は爆食、主人公はバイト先での出品です。有り難う御座いました。

ログイン