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壬生乃サルさん

性別 男性
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カエルのミドリ

19/01/21 コンテスト(テーマ):第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】 コメント:1件 壬生乃サル 閲覧数:85

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ボク、カエルのミドリ。トノサマガエルに憧れている、アマガエルなんだ。トノサマガエルってカッコ良いよね。なんたって、トノサマなんだから。間違ってもウシガエルだけにはなりたくないなぁ。
ミドリって、メスみたいな名前でしょ? でも、ボクはオスなんだ。名付け親は、ボクの飼い主であるご主人様なんだけど、感性を疑っちゃうよね。きっと、白いイヌにはシロ、黒いネコにはクロって名付けちゃうんだよ。
あ、思い出した。ボクの前に飼われていたカメレオンがカメって名付けられていたんだ。種族変わっちゃってるしー。ケロケロ笑っちゃうよねー。
そんなボクが住んでいるところは、二十七階建て高級マンションの十三階。十三って、なんとなく縁起の悪そうな数字な気がするけど、ご主人様の好きな数字らしいから文句は言えないよね。
でも、どうして真ん中の階にしたんだろうね? どうせなら最上階にすれば良かったのに。値段の問題?
ちなみに、ボクのご主人様は都内に高層ビルを複数所有していて、なかなかのお金持ちなんだよ。ボクにとってはマンションだろうが、一軒家だろうが、ビルだろうが、どれも「建物」という認識しかないけどね。
ただ、エサだけは話が別さ。ボク、こう見えてかなりのグルメ通だからね。というのも、ご主人様のおかげなんだけど。なにしろ、ペットショップにいた頃には、見た事も食べた事もないような、すっごいモノをくれるんだから。良いでしょ。欲しい? あーげない。
とにかく、僕はご主人様に飼われて幸せものなんだ。お外に出られないから、ちょっぴり退屈といえば退屈なんだけどね。楽しみ、というか暇つぶしはベランダから外の景色を眺める事くらいかなー。十三階から眺める景色は、それなりに良いものだよ。最上階だったら、もっと良いだろうけどね。
そうそう、今日は珍しくご主人様が家にいるんだ。いつもは、仕事仕事でほとんど姿を見ないからね。
ほら、ベランダに布団を干しているでしょ? これはご主人様の彼女が来ている証でもあるんだ。ご主人様は自分で布団なんて干さないからねー。
今、ボクは太陽のニオイがしている、フカフカの布団の上に座って、外を眺めているよ。
今日は穏やかで、心地の良い風が吹いていて、とっても眠いや。
ん?
あー、ご主人様の彼女が来ました。見て見てー。どう? 美人さんでしょ? ご主人様はカッコ良いし、お似合いカップルだよね。彼女さん、布団をといれるみたい。

「キャッ! カエルッ!」

しまった。彼女さん、ボクが苦手なんだった。眠くて少しぼんやりしていたから、隠れるの忘れていたよ。
彼女さん、ボクを見て叫ぶと同時に、手に持っていた布団叩きを振るってボクをパパンッとしちゃった。
これは「布団が吹っ飛んだ」と言わんばかりの「カエルがひっくり返った」だねー。
おっと、呑気な事を言っている場合じゃないや。今、ボクの体は宙を舞っている。でも、大丈夫。ボクはこう見えて身軽なんだ。体操は得意。ピタッ、と着地を決めてあげるよ。見てて。
あれ? 体が……重い、ぞ。ほとんど運動もしないのに、良いエサを食べ過ぎちゃってたかな? あはは。参ったねー……。


……グゥェッ。


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このストーリーに関するコメント

19/01/23 イト=サム・キニー

拝読しました。
最後の一文に、13階の高さから路面に叩きつけられた太ったアマガエルの凄惨な姿が思い浮かび、思わず身震いしてしまうほどの作品でした。
読ませていただいてありがとうございました。

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