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風宮 雅俊さん

テーマに沿った物語を、どのくらいのレベルで書けるかな? と言う事で登録してみました。 アマゾンの電子書籍キンドルで作品出してます。こちらも宜しくお願いします。 ツイッター: @tw_kazamiya

性別 男性
将来の夢 世界一周の船旅で、船室に籠って小説を書く事
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シャボン玉 ♪♪

19/01/21 コンテスト(テーマ):第165回 時空モノガタリ文学賞 【 弾ける 】 コメント:2件 風宮 雅俊 閲覧数:213

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 ストローをシャボン液が垂れないように慎重に口に運ぶと、ゆっくり大きく息を吹き込んだ。

 みるみる、シャボン玉が大きく膨らんでいった。
 今までで一番大きく膨らんでいった。
「ママ。おっきいシャボン玉、できたぁ」
 娘の喜ぶ顔に、ママは笑顔で答えた。

     〜 ・ 〜

 大きな物の時間はゆっくりと流れ、小さな物の時間は早く進む。
 夜空の背景のように存在する天の川。その時の流れに比べれば、惑星は天馬の如く駆け抜ける。極小の世界、原子核を回る電子の動き。その時の流れは速すぎて人の目で動きを追う事は叶わない。ましてや、素粒子以下においては天の川が人の営みを見るが如し。


 宇宙は忽然と現れると膨張していった。まるで、神の息吹によって膨らんでいくシャボン玉のようだった。
 その宇宙に、色が生まれた。
 その宇宙に、渦が生まれた。
 その宇宙で、百億の昼が過ぎた頃、一つの命が生まれた。

 その命は、神の息吹そのものであった。
 その命は、器を替えながら
 その命は、器を増やしながら時を繋いでいった。

 時には、途絶える器
 時には、形を変える器
 時には、器に潜む器が現れた。

 しかし、器のあり様が変わっても、それは器でありそれは神の息吹そのものであった。

 千億の夜が過ぎた頃、器は宇宙の隅々まで増えていた。
 そして、命は器から離れると大きな命へと変わっていった。
 大きな命は、神の息吹であり、神の思いであった。

     〜 ・ 〜

 「エイ ♪♪」
 ママは中指をシャボン玉に突き刺した。

 娘は、凍り付いてしまった。大きく出来たシャボン玉を壊された事より、ママの目の奥の光に。
「ごめ〜ん。なんか、このシャボン玉が幸せそうに見えてェ〜」
 娘は、ママを見たまま動けないでいる。
「風が出てきたから、シャボン玉はお終いや。アパートに戻ろ」
 見下しながら言うと、娘の手を引っ張り歩き出した。
「ママの事、宇宙でいちばん大好き」
 娘はママの手を握り返すと満面の笑みを浮かべながら言った。
 ママに笑顔が戻った。
「そか。ママも嬉しいや。そう言ってくれるの宇宙に一人しかおらへんから」


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このストーリーに関するコメント

19/01/25 雪野 降太

拝読しました。
『凍り付』き、『動けないでい』ながらも、『満面の笑みを浮かべ』られる娘の芯の強さが感じられる作品でした。
読ませていただいてありがとうございました。

19/01/27 冬垣ひなた

風宮雅俊さん、拝読しました。

母子の楽しいひとときが宇宙の壮大な物語に膨らみ、あっけなく弾けてしまう。ママの無邪気な悪意に動揺しつつ、その関係性が変わらぬことにホッとしました。人はみな、自分の宇宙を持っているのかもしれませんね。

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