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戸松有葉さん

ショートショート:小説投稿サイト「小説家になろう」で1001作以上、本サイト「時空モノガタリ」で入賞複数。 他、長編ライトノベルやエッセイなども。コメディ得意。 Amazon Kindle(電子書籍)http://amzn.to/1Xau7kMで活動中。(←URLは、Kindleストアを著者名「戸松有葉」で検索した結果。)代表作は『ショートショート集厳選集』とラノベの『二次元最高美少女』。 ツイッターは@tomatuariha3lb

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将来の夢 積極的安楽死法案
座右の銘 常識を疑え

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冤罪のない国

19/01/21 コンテスト(テーマ):第165回 時空モノガタリ文学賞 【 弾ける 】 コメント:1件 戸松有葉 閲覧数:82

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「不当逮捕だ! 大使館に連絡しろ!」
 その国を訪れた外国人は、拘束されてからずっとそう訴えているのだが、勝手に国選弁護人が付くのみだった。
「なんて国だ。冤罪のない世界で唯一の国という話も聞いたのに」
「はい、我が国に冤罪はありません」弁護士は事もなげに言う。「あなたの覚せい剤所持や使用も冤罪ではありません」
「冤罪だ! 私はそんなことをしていない!」
「存じています。でも冤罪にはならないのです」
 訳のわからない外国人に、弁護士は説明した。
 かつてこの国では冤罪事件が多発していた。冤罪の理由が法の不備に起因しているのなら、法の整備で改善できる。しかし被害者側や捜査機関の悪意に起因するのなら、冤罪を減らすことはできない。
 いっこうに減らない冤罪に、国民の不満は溜まりに溜まり、ついに弾けた。
 暴力による反抗はまだ可愛いほう、一斉ストライキや脱税で、国民生活も経済も完全に麻痺してしまう。
 この事態に至ってようやく、司法行政立法は重い腰を上げ、画期的な解決法を考案したのだった。
 例えば痴漢が冤罪だと主張する被告には、件の事実・証拠の有無に依らず、痴漢を改めてしてもらう。これならば罰しても冤罪にはならない。当然殺人も覚せい剤も同様だ。

(了)


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このストーリーに関するコメント

19/01/25 イト=サム・キニー

拝読しました。
どうしてこの外国人は逮捕されたのでしょう。背景が気になりました。
読ませていただいてありがとうございました。

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