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ササオカタクヤさん

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着地地点を設けない星

19/01/20 コンテスト(テーマ):第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】 コメント:1件 ササオカタクヤ 閲覧数:222

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Mr.ホースは怒っていた。
「もう本当にこれだから!」
そんな彼を見兼ねたMr.スポークはなだめる言葉を掛ける。
「しょうがないよ。彼らは私たちと違って文明が発達していないんだから」
その言葉を聞いてもホースは未だ怒っている。部下からも慕われる優れた上司のホースがここまで怒り狂うなんてスポークは思いもしなかったので驚いている。
「あいつらはいつだって私たちを呼んでいる。それなのに毎回着地地点を設けないなんておかしいだろ!」
スポークもこの言葉には返す言葉が見つからなかった。

ホースたちは宇宙に数多ある星の調査を行う作業員。多くの星は生物が存在しないが、中には生物が存在し文明を築き上げている星もある。基本的に生物が存在しない星を調査しているが、召集がかかるとどんな星でも調査する規則になっている。
ただホースたちは今まで一度も生物が存在する星の調査をしたことがなかった。生物のいる星を調査することがホースが率いる千人を超える作業員みんなの夢だった。
ある日、本部からの連絡を取ったスポークは今まで見たことがないほど嬉しそうな表情を浮かべ
「本部から調査依頼が来た!その星はなんと生物が存在する星だそうだ!」
と作業員全員に伝えた。今まで味わったことのない調査にホースたちも心から喜び合った。
「とうとう生物が存在する星に行くんだな!どんな星なんだ?」
「ここから150億光年離れた地球と呼ばれる星だそうだ。大体10日ほどで着くぞ」
文明が発達しているためホースたちの宇宙船は何億光年離れていてもワープ機能を駆使して数日で向かうことができる。それでも遥か先にある目的地に向かうには莫大な食料、燃料を用意しなくてはならない。さらに宇宙船が飛び交っているため、運転も数十人体制で慎重に行われる。とても容易なことではないのだ。だからこそ一回の調査にホースたちは目一杯全力を注いで対応する。
本部からの連絡の後、ホースたちはすぐに地球へ向かう準備を終え出発した。それから10日過ぎた時、とうとう目的地の地球が見えてくる。
「みんな!地球に着くぞ!」
作業員のみんなは10日間の移動で疲労が溜まっていたが、ホースの一言で活気を取り戻す。やっとの思いで辿り着く地球にみんな希望に満ち溢れていた。
しかし地球に着地しようとした時、ホースは異変に気付く。
「おい!着地地点が見当たらないぞ?」
地球に住む生物からの発信は受け取れているのに、肝心の宇宙船着地地点が見当たらないのだ。すぐにスポークは地球に連絡を掛け合うが返答がない。
「このままじゃ宇宙船ごとぶつかってしまう!残念だが引き返す」
地球の生物が着地地点を用意していなかったため、止む終えず調査を中止することをホースが決める。この時はまだ地球との連携ミスだからとホースたちも前向きに考えることができた。
ただそれ以降、何度も地球から召集で呼ばれても着地地点を設けてくれることはなく、ホースたちは憤りを感じていた。

「何度も何度も私たちを呼びつけといて!地球に住む生物たちはどうかしてるぞ!」
「Mr.ホース。ちょっと提案があるんだ」
怒り狂うホースにスポークはある提案を持ち掛ける。
「地球に無理矢理着地してみないか?」
「…うーん。そんなことしたら宇宙船が壊れてしまう恐れがあるぞ」
スポークの提案を聞いたホースは一度試してみてもいいかと考えた。しかしそれでは上手く着地できないリスクが付き纏ってしまうことに懸念して提案には乗らなかった。
「いや、実際は着地しないんだ。ギリギリのところまで行けば、私たちが着地したいってことに気付いてくれないかもしれない。今回はそれを伝えるだけでもやるべきじゃないか?」
スポークの考えた提案はかなりリスクはある。それでも今まで何度となく裏切られてきたホースはやってみる価値があると思い、実行に移すことにした。
「みんな聞いてくれ。今回今までと違い地球にギリギリまで近付いてみようと考えている。リスクは高いが成功した際は、次回着地地点を設けてくれるだろう。意義ある者はいるか?」
部下から慕われるホースに反対する作業員はいなかった。
宇宙船は一気に地球に近付いた。作業員全員が息を飲むように事故が起きないことを願った。緊迫とした状況の中、スポークはある異変に気付く。
「Mr.ホース!大変だ!引き返さないと!」
「どういうことだ!」
「私たちの宇宙船の大きさが地球の大きさ12,742キロよりも上回っている!このまま近付いたら地球は木っ端微塵だ!」
ホースたちは地球から何とか離れることができ事無きを得ることができた。

「あれほど小さい星で生物が文明を築いていることが奇跡だ」
ホースは本部に調査報告としてこのように告げる。そして小さな小さな星、地球は今後も継続して調査する方針に定められた。


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このストーリーに関するコメント

19/01/20 雪野 降太

拝読しました。
念願が叶ったかと思ったら予想外の展開。主人公達の失望を思うと切なくなります。
彼らを地球から呼びつけていたのは一体誰だったのでしょうね。
読ませていただいてありがとうございました。

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