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とむなおさん

とむなお――です。 ちょっと奇妙な小説を書きます。どうぞ宜しく!

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上だけの世界 〜いつ着地するのか?〜

19/01/15 コンテスト(テーマ):第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】 コメント:2件 とむなお 閲覧数:218

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 ウツウツ……とした気分で、僕は目を開けた。 
 すると僕は、どこかの建物の外に設置された階段の踊り場に倒れていた。
 フラフラ……建物の壁をはうように、僕は体を起こした。
 手擦りは無いが、上の階の踊り場には黒いドアが見える。
 そのまま視線を外にやると、遥か向こうに、エベレストのような高山が見えた。
 次に真下を見ると、雲海のように遥か遠くまで雲がつづいている。
 そして真上を見ると、普通の青空が広がっていた。
 ふと僕が、
「ここは、何処なんだろう……?」
 と、つぶやいた。すると下から、
「えっ、下に誰かいるの?」
 若い女の声がした。
「えっ? こっちは上だけど……」
「えっ? こっちが上よ。でも声の感じだと、すぐそこって感じね……?」
「それに僕は、階段の踊り場に座ってるんだよ」
「えっ、あなたも踊り場に座ってるの? 私もそうよ。嘘でしょう? どういう事なの?」
「それは僕にも分からないけど……君がいる階段の上の階に、ドアって見える?」
「そんなの無いけど……」
「こっちは黒いドアが見えてるんだ。だからあのドアまで行けば、どうにかなるかも知れないよ」
「なるほど……」
「だから、こっちにこない?」
「どうやって?」
「そっちからは下になる。だから踊り場の端から、ぶら下がってみてよ」
 すると、やがて僕のいる踊り場の端から、その女が逆さまになった状態で現れた。
 なかなかチャーミングな子だった。
「で、どうすればいいの?」
「そのまま、こっちに倒れるんだよ」
「ダメ、手がもたない……。落ちるー! 助けてー!」
 そのまま彼女は、僕から見て真上の空へと、吸い込まれるように行ってしまった。
「キャ――!!」

 すると、しばくして上の階の黒いドアが開き、黒いスーツ姿で長髪の人物が現れ、僕に近付きながら、
「よくやったわね」
「あっ、誰だ……? 女か……?」
 僕は、呆然と立ち上がり、
「なぜ、あの子は、空へ?」
「この世界には上しかないからよ。つまり貴方から見れば上だけど、彼女は下に落ちていったことになるのよ。さー、中に入って。貴方はこのゲームの勝者よ」
 しかし、その女を良く見ると、アンドロイドだと分かった。
 アンドロイドの女と共に上の踊り場まで行き、アンドロイドの女がドアを開けると、中から、
「もうすぐ、モルモットが来るわよ」
 僕は急に怖くなり、アンドロイドの腕を引っぱって踊り場から外に落とした。
 ところが、その反動で、僕も踊り場から外に落ちてしまった。
「うわ――!!」

 僕は、白い雲の中を落ちていった。

 もう、さっきの青空も見えなくなっていた。

 果てしなく落ちていきながら僕は、つぶやいた。
「どこまで落ちるのかな……? 本当に着地するのかな……?」

 ――終――


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このストーリーに関するコメント

19/01/15 雪野 降太

拝読しました。
謎の踊り場。不気味な黒いドア。反転した世界に生きるチャーミングな女性。黒スーツ姿のガイノイド。そして主人公の転落――各要素が次々に登場する展開が興味深かったです。
読ませていただいてありがとうございました。

19/01/16 とむなお

入戸月づきし様、評価コメントを頂きまして、どうも有難うございますー! m(__ __)m

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