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越百まひろさん

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着地狩り

19/01/04 コンテスト(テーマ):第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】 コメント:1件 越百まひろ 閲覧数:120

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 着地狩りがまず基本だ。
 最初にも言ったように移動にはブーストを消費する。そして着地時にブーストゲージは回復する。
 ブーストを消費すればするほどゲージの回復に時間がかかり、着地した時の隙が大きくなる。だから相手が着地する瞬間に合わせて射撃武器を撃ったり、近ければ格闘武器を振ったりしてダメージを取る。それが着地狩り。
 そこで問題、どうやって相手にブーストを消費させるか。
 簡単なことでこのゲームは二対二だから、自分が誘導の強い武器で牽制して相手にブースト消費を強要させたところに、相方がダメージの高い武器をぶつける。そう役割を分担させなくても、二人で攻めて取れるほうが取るっていうのもある。まあコストの問題もあるから体力には気を付ける必要もあるけど基本はそれだ。
 牽制と着地狩りを一人でもできる機体も多くあるけど、相手も二人だから連携しなければ勝負には勝てない。
 いろいろ教えたけどとにかく、射撃武装をばらまくのも相方を使うのも全部着地を取るための牽制だ。これはそういうゲーム、着地を狩るゲームだ。

 人型ロボットアニメが原作のこのアーケードゲームは、オンライン対戦で誰とでも対戦ができる。また階級と勝率でマッチングするため、初心者は初心者同士で戦えるし、猛者は猛者同士で戦えるから安心して百円を投入することができる。
 ということで初心者な自分もこうして対戦をしているわけだが、なるほど確かに着地を取るために相手を動かすと考えれば、自分も動きやすい。逆に相手に追われて着地が取られそうでも、ガードでごまかしたり、相方がいる方向に逃げて助けてもらったりとスムーズに対応ができる。
 「よお、やってんな。調子どうよ」
 ちょうど負けたところで声をかけられた。このゲームのアドバイスをくれた友人だ。
 「四割くらいは勝ててるよたぶん」
 「おーやるじゃん。始めたばっかりの初心者でそこまで勝ててりゃ十分でしょ」
 「いやでも半分は勝ちたいね」
 「じゃあ次のステップいくか。ちょっと見てろ」
 と言って友人は筐体に百円を入れた。彼が選んだ機体は今までの対戦では見たことがない低コストの機体だ。どちらかといえば可愛らしいマスコットキャラのように思える。正直勝てそうに見えない。
 マッチングが決まる。相手は原作で人気な格闘機と飛行機型に変形する機体だ。ちなみに相方はよく見る高コストの強機体だった。
 ”よろしくお願いします”とお互いに通信し、対戦が始まった。
 低コストが高コストよりも先に落ちるとゲームはかなり不利になる。だから相手は一直線に友人を狙ってきた。
 飛行機の機体が誘導の強いミサイルをばらまいて、格闘機が上下左右に跳ねながら近づいてくる。
 これはまずいのでは、と思う自分の気持ちとは裏腹に、友人のマスコット機体はバルカンを撃ちながらジャンプ攻撃で上下に飛び跳ね、着地すると同時にどういう武装かしらないけど何か可愛いポーズしてブーストゲージ回復して、またバルカンやミサイルをばらまいている。
 そうやって逃げながら牽制している間に相方が敵に攻撃を当ててどんどん体力を減らしていく。
 「いやいやいや……」
 試合終盤、友人側がかなり優位に立っており、相手をどちらかあと一回落とせば勝ちという状況まできた。ここで、ある違和感に気が付く。
 「なんか相手全然攻めてこなくね? てかずっと逃げてるような……」
 だが感じた違和感はそういうことではなかった。
 飛行機の機体はさっき1からずっと空中にいる。ブーストがなくなったら移動できず、地面に着地しなければならない。そしてそれを取るのがこのゲームの基本だってのに。見える限りではミサイルを出して照射ビームを出してくるくる回ってそういう感じのループを空中でずっとしている。
 格闘機のほうもジャンプする技でずっと空中を飛び跳ねている。まったく降りてくる気配がない。
 「勝ち目ないからってタイムアップ狙いかよ。つまんねーことすんなよなー」
 そういった矢先に相方の機体が空中にいる敵を打ち抜いてフィニッシュした。
 「うわそれ当たるんだな。相方やるねえ」
 友人は満足げな顔をしているが自分は納得がいかなかった。
 「いや、お前これどういうことだよ。相手はずっと空中にいて降りてこないし、お前はお前で着地してもすぐブースト回復して全然隙ないじゃん!最後もアレ当たんの? 着地狩りが基本だって言ったよね!?」
 「基本だよ。でもこれは応用。てかほぼ応用。ブーストがなくなっても動ける奴は動けるし、そもそもブーストがなくならないやつもいる。だから相方の機体みたいに着地時じゃなくても撃ちぬける強武装を使う。着地狩りは基本。でも誰も簡単に着地しないから強い武装を押し付ける。これはそういうゲーム」
 「いやクソゲーじゃん」


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このストーリーに関するコメント

19/01/11 入戸月づきし

拝読しました。
熱中しているゲームにも理性的である主人公の落ち着きが興味深い作品でした。
読ませていただいてありがとうございました。

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