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蹴沢缶九郎さん

どうもはじめまして、蹴沢缶九郎と申します。暇つぶしに読んで頂ければ幸いです。「小説家になろう」でも同ニックネームで掌編小説を書いてます。http://mypage.syosetu.com/707565/ よろしくお願いします!!

性別 男性
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ある方法

19/01/04 コンテスト(テーマ):第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】 コメント:5件 蹴沢缶九郎 閲覧数:108

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ある男が、ビルの高層階からエレベーターに乗り込んだ。男は自分の降りる階である一階のボタンを押し、自分以外に誰もエレベーターに乗り込んでくる者がいない事を確認すると、『閉』ボタンを押した。ドアが閉まり、完全に密室となったエレベーターは、男一人を乗せ、ゆっくりと下降を始めた。
ドアの対面が外の風景を見渡せるガラス張りになっている訳でもないエレベーター内で、男は何をするでもなく、暇潰しにドアの右側上部にある、階の位置を示すデジタル表示器を見た。表示器の示す数字は一定の速度で減り、それはエレベーターが下降している事を表していた。
「早く着かないものか」、男がそんな事を考えていた矢先だった。ガクンと大きな揺れが室内に起こり、突然エレベーターが下降速度を早めたのだ。自身の身に何が起きたのか、あり得ない重力を体感しつつ男はすぐさま悟った。

「エレベーターが落下している」

エレベーターに何が起こり、何が原因でそうなったのか、エレベーターついて詳しい知識を持ち合わせていない男に到底わかるはずもなかったが、ただ一つ言える事は、このままでは助からないという事実だった。
階の位置を示す表示器は、「30…27…24…」と数字を減らし続け、それはさながら死へのカウントダウンのようだった。
そんな最中、男の脳裏にふとある妙案が思い浮かんだ。それは、以前どこかで聞いた、

「もしエレベーターが落下したら、着地の瞬間にジャンプすれば助かる」

という方法だった。そんな方法で果たして助かるのか、男は半信半疑だったが、その間にも表示器は、「15…12…」と確実に一階に迫り数字を減らし続け、自身の置かれた状況、助かる為に他に案も浮かばない男にとって、迷っている時間はなかった。

「やるしかない」

男は決意を固め、手すりを握って立ち上がると、じっと表示器を見つめ、その時が訪れるのを待った。

「9…7…5…」

(まだだ。まだ早い)

「4…3…」

(…あと少し)

「2…」

(今だ!!)

表示器の数字が「1」に変わるかという瞬間、男はありったけの力を足に込め、重力の鎖を断ち切るかの如くエレベーター内をジャンプした。男のタイミングは申し分がないほど完璧だった。
だが、現実は冷酷だった。デジタルの表示器が示す数字は「1」で止まったまま、エレベーターは落下を続けていたのだ。
ジャンプし終えた男は何が起こったのか理解出来ぬまま、エレベーターを轟音と衝撃が襲い、男の意識はそこで途絶えた。

エレベーターの表示器は不具合から誤った数字を表示し、表示器が示す階数を信じた男は、それに従いジャンプしたのだった。
しかし、実際に男がジャンプした階は五階付近であり、仮に男が、エレベーターが一階に着地するタイミングでジャンプ出来ていたとしても、そんな方法で助かるはずもなく…。


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このストーリーに関するコメント

19/01/06 

面白そうなお話だったので拝読させて頂きました。
急降下をはじめたら「無重力状態では?」ということと「なぜ五階?」というのが疑問でした。
五階までは本当に落下していたのであればそれでも助かりにくいし、仮に少しも落下していなかったのであればあり得ない程の重力を感じたことが疑問でした。

19/01/06 蹴沢缶九郎

どうもはじめまして、コメントありがとうございます。

質問ですが、「なぜ五階?」かに、特に深い理由はありません。

「表示器の故障を知らない男は、表示器の示す一階でジャンプをして助かろうと思った。だが実際のエレベーターは五階付近であり、五階以降も落下は続いていた」

どの道助からないというのがオチで、エレベーターが落下をしていれば、それが他の階でも良かったというのが自分の考えです。

「無重力状態では?」

これに関しては完全に自分の知識不足でした。すみません(>_<) もう少し設定を固めてから書くべきでした。

ご指摘して頂き、ありがとうございました!!m(_ _)m

19/01/07 64GB

拝読させて頂きました。最後の「そんな方法で助かる訳もなく」といわれているので慣性の法則とかをちゃんと理解したうえで書かれていると思いました。むしろ無重力になることはないでしょう。同じスピードで落ちているワケですから……。この作品はそう楽しむものではないと思います。緊急ブレーキはなぜ作動しない?など言えばいろいろ出ると思いますが、エレベーターが落下は電球ジョークのようにオチを楽しむものだと思います。できれば違うオチ の作品も読んでみたいです。

19/01/07 蹴沢缶九郎

64GBさん

コメントありがとうございます。この話は自分にとって色々と勉強になった話でした。また違うオチの話を書けるように努力する次第です。

ご感想、読んで頂きありがとうございました!!m(_ _)m

19/01/07 入戸月づきし

拝読しました。
エレベータの突然の急降下。心臓が凍りつくような体験ですね。普通に考えれば男性は助かりそうにもない。ところが起死回生のアイデアらしきものが思い浮かぶ。一か八かやってみる。助かるのかしら、と思いながら読み進めると、やはり男性は助からない。最後は、こういう理由で男性は助かりませんでした、と解説が付く。そうですか、という感想がわきました。
読ませていただいてありがとうございました。

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