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村沢走さん

村沢走と申します。現在、月に一度のペースで執筆中。

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将来の夢 恐竜になる事
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メザニン

18/12/26 コンテスト(テーマ):第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】 コメント:2件 村沢走 閲覧数:167

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 修学旅行の帰り道で、隣同士の席になった。
 オブリーク・トゥのクレープソールに、タイトなスカート。
 フライ・フロントなんて出で立ちの彼女は、冊子を片手に浮かれていた。
 アラビア語で御父さんを呼ぶ時は、ヤバイとか言うらしい。スワンプマン宜しく沼地を逃れた僕は、帰りの途を急いでいた。クローズド・サークルのじんわりとした暑さが映え、僕は独り身となった。大木楓は話し掛けて来る。嘘寝だという事はもうバレている。口気の届く距離迄追い詰めると、「ねえ頭城君、窓から見える景色は、絶好だよ」。とは詳述する。口跡の尾も切らぬ内、僕は僕が僕でなくなった様な気になる。シカトの語源が示す通りに、大木楓は、クラスの厄介者だった。時限爆弾をセットされた家の娘。というのが、クラスの一杯に広がっていた。一年の時より孤独だった大木は、其の足で通学を止めてしまうと思われた。然し、彼女は言った。「云。家の家、爆弾魔さんに狙われてるんだよね〜」なんて、覇気の無い笑顔で告げた。足取りは軽かった。大木楓は、良からぬ噂が付き纏っていた。曰く、隣町の学生を誑かしただの、三股掛けてるだの、読モの分際で生意気だの。最後のは寧ろステータスになりそうだが、此の子の場合は、勝手が違った。僕は、「う……ううん……」と、今起きた振りをすると、髪留めの映える紅閨を臨んだ。
 彼女の寝屋は澄んでいて、其れでいて、何処か空ろであった。僕は「嗚、嗚呼。御早う」とは、結んで、来宮の方へと目配せをする。
 シカト。
 此れも籤運の悪さだろうか。悪友の来宮は此方を眺めるでもなく、反対側を見守っていた。
 僕は大木の手招きに与り、窓際迄頭を垂れる。富士山は映えていた。絶景といっても良い景色だった。
 御弁当の時間になり、大木は風呂敷を広げた。イネファブルな陶器には、御結びが並んでおり、「一つ如何?」なんて結んで来る。御結びだけにか。いや。違うか。「嗚、嗚呼」と返して梅の握りを引き当て、序でに彼女へと詳述する。「あれ、御握りって苦手なんだよね〜。つうか汚いイメージない? 塩使ってりゃ消毒って訳じゃないし」「ラップで包んだよ?」。僕は、ビッグクランチを迎え、ヒップ・バッグの外れた、大木を振り返った。満面の笑みで嬉しがる大木は、何処か儚げで、其れでいて上品だった。僕は言った。「有体に言って、眠いんだ。放っといてくれるかい?」「駄目だよ〜。今寝ちゃ、起きれないよ〜?」。大木は淀み無い。流暢に横文字を繰ると、大袈裟な身振りで此方へと指示する。「ほら。今、大阪通過したって。後少しだね。頭城君」。もう手一杯であった。両手を取られ、僕は大木の対面で座った。彼女は言った。着地出来る内で、一番高い場所、ど〜こだ。僕は「ははあん」と結び、さては引っ掛けだろ? と、返す。空気より軽い気体でも使っていれば、話は変わって来るというヤツだ。然し、彼女は斯う告げた。「ぶぶー。正解は、此処でした〜」「其の心は」と結んで彼女の真っ直ぐな瞳を見る。話の矛先を逸らす様に彼女は先程のナレーションを繰り返す。英語で。すると、場内放送が流れ、モニターの前で先生が映える。僕は、ヘリウムを使って一体如何遣って気球を飛ばすのか、なんて考えていた。大木楓は、真摯に目録を賜った後、其れを見せて此方を臨んだ。「おい。何か御前、遣ったのか。違うんじゃないのか。クラスの一等賞だって?」。とは、結び、中身を取り出して杯だと知る。家の学校では、成績優秀者に毎年プレゼントが用意されており、其れでいて、僕の様な者には、縁が無かった。「着地って如何遣って決めるんだよ? 其の前に気球って如何なってるんだ?」と問うと、大木は此んな風に返した。「頭城君は厄介だねえ。思い付きよ。思い付き」。
「だから、其れは如何遣って……んぐ」。僕は、御結びを齧らされ乍ら、相手の出方を窺う事になる。
「大体、あれよね。此んな簡単な問題も解けないようじゃ、女の子にも、モテないわよね」。「悪かったな。モテたくなくて、モテない訳じゃ、無えよ」。
 そ。
 其れじゃ。と結んで、彼女は地元の土地へと着地するのであった。後、省みて、僕を臨んだ。其れだけの午後だった。


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このストーリーに関するコメント

19/01/05 雪野 降太

拝読しました。
『スワンプマン宜しく沼地を逃れた僕は、帰りの途を急いでいた』とあるので、修学旅行で主人公に一体何があったのだろうと気になりました。
読ませていただいてありがとうございました。

19/01/06 村沢走

 井渡月ヅキシ様。コメント有り難う御座います。其処は、既に相席が決まっていたヒロインからの居眠り逃れに掛かります。コメント有り難う御座います。

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