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戸松有葉さん

ショートショート:小説投稿サイト「小説家になろう」で1001作以上、本サイト「時空モノガタリ」で入賞複数。 他、長編ライトノベルやエッセイなども。コメディ得意。 Amazon Kindle(電子書籍)http://amzn.to/1Xau7kMで活動中。(←URLは、Kindleストアを著者名「戸松有葉」で検索した結果。)代表作は『ショートショート集厳選集』とラノベの『二次元最高美少女』。 ツイッターは@tomatuariha3lb

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将来の夢 積極的安楽死法案
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ミステリーサークルの真相

18/12/25 コンテスト(テーマ):第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】 コメント:2件 戸松有葉 閲覧数:58

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 いわゆる宇宙人が地球へ飛来していることが判明した。
 地球での反応は様々だったが、どんな世論や独裁者があろうと、地球各国の見解は、結局ひとつに行き着く。
 友好的であることを願うしかない。地球より文明が高度なのは確かなのだから、争えば一巻の終わりだ。地球人は未だ、地球外知的生命体の存在すら発見できない段階だったのに、向こうは地球を発見したばかりか、飛来もしているのだ。科学力の差は歴然。武力を背景に交渉を行える相手ではない。
 幸いなことに、宇宙人サイドに危険性は見られなかった。コミュニケーションが完全になるには時間を要するだろうが、ある程度の情報交換も可能になっている。
 その中に、意外にして、極一部では「やはりそうだったか!」という情報があった。
 ミステリーサークルの真相である。
 地球に残されたミステリーサークルには、この宇宙人由来のものがあるのだという。
 ミステリーサークルが地球のあちこちで見付かって騒がれた当時、人々は正直なところ、宇宙人などの得体の知れない存在由来か、プラズマといった科学的説明ができると信じていた。むろん真相は違い、ほぼすべてが人間による単なるイラズラ、稀に単なる風といった自然現象――プラズマ説はオカルトの理屈に近い――、そこにプラスしてマスメディアのヤラセや誘導があった。人々は後になってから「最初からわかっていた」という顔をしたが、世の常である。
 そうして真相が明らかになっていたと思っていたところへ、極わずかな例だが、本当に宇宙人由来のミステリーサークルがあったという告白が、宇宙人自身からあったのだった。
 ミステリーサークルは再びの流行となり、世界中で新しく生まれる事態にも陥った。農業への被害にもなるので、犯罪にもなるのだが、今や「宇宙人によるものかもしれない」が通るため、やりたい放題だ。
 そしてミステリーサークル宇宙人説をいつまでも唱え続けてきた勢力は、「極稀な例」という部分を都合よく無視して、自分たちが正しかったと吠え、更に「最初からわかっていた」の掌返しも激増した。
 安全保障を揺るがすほどではない、しかし無視できるほど小さくはない混乱が、世界中を覆ったのだった。
 地球サイドは、宇宙人にお願いをしてみることにした。ミステリーサークルを作らないで欲しいと。宇宙人由来が消えてくれれば、ややこしくなくなる。
 お願いはあくまでも「出来ることならば」という前提を強調して、恐る恐る行われた。まさかこんなことで機嫌を損ねられ、敵対するわけにはいかない。
 コミュニケーションは依然たどたどしいものの、何とか意思疎通は適った。
 宇宙人からの返答は、概ねこうだ。
『ミステリーサークルはやむなく残るものであるため、意図的に作っているわけではない。よって願いを聞き入れることは基本的にはできない。どうしてもミステリーサークルが迷惑だというなら、地球訪問を取り止めねばならず、それは互いに利益にならないはず』
 要は駄目だということだ。
 地球サイドもダメ元でのお願いだった、落胆は大きくない。
 しかし話を続けていくと――
『交流のある宇宙人文明は複数あるため、法が作られている。その法に、文明の低い星への訪問時、宇宙船を着陸させてはならないというものがある。余計な混乱を避けるためだ。法を厳守しつつ、星に降り立つには、上空から飛び降りるしかない。もちろん一方通行だ。地球が充分に発展するまでは、降り立った限、帰ることはできない。ただ、地球人と比較して寿命の長いこの宇宙人からすれば、長期出張のようなものである』
 ミステリーサークルが宇宙人由来だと聞いた地球サイドは、てっきり宇宙船の着陸かそれに近いことで生まれたのだと思ったのだが、違った。ではいったい、どうしてあんなものが誕生してしまうのか。
『上空から飛び降りているのだから、普通は死ぬ。そこで、宇宙人は特殊な訓練を受けている。高速で高度な回転技術を駆使し、空気抵抗を利用して、何とか大怪我程度で済む着地法を編み出した。この着地跡が、ミステリーサークル。これは宇宙人の身体だからできることなので、地球人は真似てはいけない』
 文明の低い地球人は、何も言わずそっと、パラシュートという文明の利器を渡してあげた。

(了)


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このストーリーに関するコメント

19/01/05 入戸月づきし

拝読しました。
『宇宙船を着陸させてはならない』という条文がマイカー規制のようで、なるほど、と唸りました。大怪我してでも降り立ちたい宇宙人はさすがですね。
読ませていただいてありがとうございました。

19/01/06 戸松有葉

コメントありがとうございます。

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