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mokugyoさん

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最上階の陽気な住人

18/12/24 コンテスト(テーマ):第163回 時空モノガタリ文学賞 【 504号室 】 コメント:0件 mokugyo 閲覧数:67

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12月の配達なんてのはやるもんじゃねえ。毎年やってるが、この時期の荷物の多さは尋常じゃねえんだ。宅配の仕事は辞めたいと思いつつも、なかなか辞められん。うちは給料がそれなりに良いからな。

それなり良い給料だけあり、妙な配達場所に行かされる。

今日はやたらとでかいマンションに来てる。廊下がいちいち広い。吹き抜け構造で、各部屋の間隔も広くて、1フロアに4部屋だけある。ドアは横だけでも2メートルくらい、縦は4メートルくらい。どの部屋もそれくらいなんだ。巨人でも住んでるのか?

そんなでかいマンションだから、移動だけでも大変だ。おまけに各部屋宛に荷物がある。

大きめの段ボールの荷物を各部屋の前に置いていくんだ。一辺100センチほどの段ボール箱が101、102、103と各部屋あてに来ている。

吹き抜け構造になってる1階から上の階を見上げた。

最上階の5階天井には妙に立派なシャンデリアが垂れ下がってるよ。

よりによって、最上階の一番端の部屋、504号室は立方体段ボールだけじゃねえんだ。さらに大小様々な大きさの段ボールが10個あるんだよ。勘弁してくれ。

まあ、文句言ってもしゃあねえから、俺はきちんと荷物を各部屋前に置いていくのよ。

なぜかこのマンションの住人はみんな同じ時間帯指定で荷物を頼んでる。そして部屋の前に同じ文言で貼紙がはってあるんだ。

「荷物は部屋の前に置いておいて下さい」

インターホン押しても出ないから、指示どおりに部屋の前に置いておくしかないよね。

ってか、住人マジで住んでるのか?廊下は薄暗くて、あちこちにツタがこびりついてる。そして妙に寒い。

やっと、504号室前に来た。

ここまで503号室まではずっと不在続きだった。どうせこの部屋も不在だろとインターホンをピンポンしてみる。

すると、俺の予想に反し返答が来たよ。

「ああ、配達の人?鍵開いてるから中に入って!」

おお、まさかの中に入っての指示だよ。まあ室内ならちょっとは暖かいかなと多少の期待。504の住人は老人っぽいが、妙にテンションが高い感じの声だ。

大きいドアは開けるのすら大変だ。頑張って、両手でドアノブをつかんで、巨大な扉を開く。

そしたらどうよ。504の室内、寒い!なんか冷気が吹いて来る!しかもおそるおそる部屋の中をのぞいてみたら、なんだこれ!部屋の中が真っ白の霧だらけでよく見えない!

部屋の中にも関わらず寒くてやたらと観葉植物らしきものが見える。部屋の奥の方は光ってるらしく、住人らしき人影がぼんやり見えた。

「配達の人、ご苦労さんです!悪いけどさ、段ボール開けてもらって、中に入ってるもの玄関に並べてくれる?」

玄関と言われても、霧が濃く、どこまで玄関なのかはっきり分からない。まあでも、指示どおり段ボールを開けていこう。

10個ある段ボールを次々と開けていく。

缶詰80個、ペットボトル飲料50本、ライター10本、マッチ5箱、携帯カイロ30個、タオル20本、そしてパンツと靴下の下着類が20着。靴のない玄関に次々と置いていく。

パンツと靴下は見たことないほどでかいサイズだ。やはり住人は巨人なのか?

「ありがとう!いやあ、自分はベテランなんで上の階なんだけどさ。慣れて油断してたら色々忘れてきちゃった。おかげで宅配で必要なもの揃える始末。直前であわてないようにしないとね!はっはっは!」

霧の奥から504の住人が豪快に笑う声が聞こえてくる。

「ちょうど時間だ!」

504の住人がそう叫ぶと、部屋の前に置いた段ボールが何やらもぞもぞ動き出す!

立方体の段ボールを蹴破って、中から小人が出てきた!

小人は、両手に持っているベルを勢いよく鳴らす。そのベルの音が合図になってるらしく、部屋の奥から住人が出てこようとしているのが分かる。

トナカイにひかれたそりに乗る504号室の住人が姿を現す。

クリスマスシーズンによく見るその姿。赤い服を着て白く長いヒゲをたくわえた恰幅のいい老人だ。

「今の季節は、専用のマンションで待機するんだ。配達の人、ありがとう!これからはうちらが世界中にプレゼントを配達する番だ」

そう言って住人は微笑む。

各部屋の前に置かれていた箱が開き、小人達が一斉にベルを鳴らす。

さっきまで薄暗かったマンションには明かりがともり、各部屋からそりに乗った住人達が飛び出してきた。

マンションの天井が開き、星空が見える。サンタ達は夜空にむかって次々と飛んでいく。

最後に504号室サンタが缶詰等の荷物をそりにめいいっぱい詰め込み、そりを走らせる。

「あわてんぼうと言われないように注意したいもんだね!では行ってくる!」

そう言って504号室サンタは、満天の星が輝く夜空に飛んでいった。

(終)


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