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ササオカタクヤさん

文章でササオカタクヤの世界を伝えられたらいいなと考えてます。 キャラクターたちがイキイキとした物語を書いて、読んだあと何か残れるような作品にしていきます。

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殺し屋が住んでいる

18/12/22 コンテスト(テーマ):第163回 時空モノガタリ文学賞 【 504号室 】 コメント:1件 ササオカタクヤ 閲覧数:183

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「ねぇ聞いたんだけど知ってるか?」
「え?なに?!」
小学5年生の将太は友達の智史に、最近学校で噂さている情報を自慢気に話す。智史は将太のことをリスペクトしており、この類いの話になると犬が餌を貰うように喜びながら話を聞く。
「あのボロ団地あるだろ?」
「第2公園の?」
「そうそう!そこのさ504号室なんだけど」
「え!なに!なに!」
「殺し屋が住んでいるらしいんだ…」
「えー!超怖いんだけど!」
将太の話し方の効果もあり、智史は身体全身鳥肌が立ってしまう。毎回将太の話を楽しみにしているが、智史は自他共に認める怖がりキング。必死に手で身体を摩りながら将太の話の続きに耳を傾ける。
「なんで殺し屋がいるのが分かった?って思うだろ?」
「うん。誰か見たのかな?」
「違う。実は504号室ってのがヒントなんだ」
「504…号室?」
やっぱり智史にこの話をして良かったと将太は思った。頭が良い奴はこの時点で馬鹿な話だと鼻で笑うはずだから。しかし智史は必死で504号室がどうしてヒントなのか考えている。
「教えてほしい?」
「うん!教えてよ!」
「仕方ねーな。まず5は【こ】って読むだろ?」
「こ…」
「そんで0は【ろ】と読む」
「ろ…ってことは4は【し】って読むんだね!」
「そういうこと!504は【殺し】って読めるんだよ。だからそこには殺し屋が住んでいるってこと!」
「まじかー!!怖すぎるー!」
思っていた以上に智史は怖がった。こんな噂話をここまで信じれる智史に将太は面白いことを考えつく。
「そうだ。実際に殺し屋だったら大変だから今から504号室に行って確かめてみようぜ!」
「無理無理無理無理ー!怖すぎるよ!」
「大丈夫だろ!ただの噂話なんだし!」
「でも本当だったら大変だよ!」
「もし本当だったら俺らの手柄になるじゃん?そしたら学校で表彰してもらおうぜ!」
こんなくだらない噂話を信じ込む智史が面白くて仕方がない将太は、嫌がる智史を無理矢理ボロ団地の504号室に連れ出した。
実際にボロ団地に着くと、噂話と馬鹿にしていた将太も少し怖気付いてしまう。それほど外観といい雰囲気といい殺し屋がいてもおかしくなさそうな団地だった。
「じゃあ行こうか」
「本当に行くの?」
「ここまで来たし…行ってみようぜ?」
将太も緊張していたが智史が腕にしがみ付いてくるほど怖がっているため、平気な素振りをして団地に踏み込む。
カサカサカサカサと将太たちの横を黒い何かが通る。それに驚く智史、その智史に驚く将太。二人とも怖くて会話もできなかった。
殺し屋がいると噂されている504号室はもちろん5階にある。将太たちは一歩ずつ504号室に近づいていく。昼間なのに薄暗く、黄ばんだ蛍光灯が辺りを照らす。この雰囲気は殺し屋がいるというよりはゾンビが出てきそうな雰囲気かもしれない。そう将太は思っていたが、ビビりまくる智史には言えなかった。
重い足取りでようやく5階に着いた2人は504号室を探す。しかしここで異変に気付く。
「あれ?504号室がないな」
「503号室の隣は…あれ?505号室でって」
「あっ。そうか、4ってのは【死】って読めるから無いのかもな」
「なるほど!じゃあその噂話は嘘だね!」
噂される504号室はこのボロ団地には存在しなかった。この噂話が嘘だと分かった途端、智史は和かな表情になる。しかし将太は何か引っかかっていた。
「悪い!ちょっとここで待ってて!」
将太は何かを確認するために智史をその場に残して6階に上る。
「601、602、603…604」
将太は6階に604号室があるのを確認し、今まで感じた事がないほどの恐怖が襲い掛かる。急いで505号室の前にいる智史のもとへ掛けつけ事の重大さを伝える。
「504号室がないのに604号室があったんだ!」
「どういうこと?」
「この階だけ4を飛ばすって変だって話!」
血相変えて慌てる将太を見て、よく理解していないけどヤバいということだけは分かった智史。とにかくこの場から離れようと思ったが、将太があることに気付いてしまう。
「ちょっと待って。これ…」
「ヤバいよ!そんなことしない方がいいよ!」
表札のところに505号室と書かれたシールが少し取れかかっていた。この時、将太は恐怖よりも好奇心の方が勝ってしまいシールをペリペリと剥がしてしまう。
「504…」
将太たちが真実を暴いた時、504号室のドアがガチャっと音を立てる。二人は縺れそうになる脚で必死にその場から逃げ去った。

「…また剥がされてる」
子供の声が聞こえて外に出てきた504号室の住人は剥がされた505号室と書かれたシールを見つける。そのシールをキレイに伸ばしてまたセロハンテープで付け直した。


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このストーリーに関するコメント

19/01/02 イト=サム・キニー

拝読しました。
文字にすると本当に馬鹿馬鹿しいとすら思える噂話に盛り上がることができるのは、子どもか酔っ払いの特権かもしれません。小学生らしい話題がおもしろかったです。504号室の主は結局、何者だったんでしょうね。
読ませてくださってありがとうございました。

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