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とむなおさん

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真上の異界 〜上の階に行ってはいけない〜

18/11/23 コンテスト(テーマ):第163回 時空モノガタリ文学賞 【 504号室 】 コメント:2件 とむなお 閲覧数:265

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 それは、12月24日――クリスマス・イブのことだった。
 都立W大学2年生の、和也、正治、弘司の3人は……

 ――どこか変った所で、クリスマスしようぜ――

 という勝手な計画を立てた。
 3人は昼食後の講義をサボり、ホームセンターで買ったハンディライトを、それぞれオーバーのポケットに入れた。
 駅前のの専門店で、それぞれ好きなショートケーキを買い、コンビニで缶コーヒーを買った。
 JR東京駅で、お茶付き駅弁を買い、G線の各駅停車で西に向かった。
「ミスマッチが面白いよなー」
「古い都市伝説に『きさらぎ駅』っていうの、あったじゃん」
「だけど、あれは都市伝説だから『きさらぎ駅』なんて無いだろう」

 駅弁を食べ終えた頃、ちょうど停車した『ききらぎ駅』で3人は、気まぐれに下車した。
 そこは、G線にはめずらしい、さびれた無人駅で、下車したのは3人だけだった。
「イメージ的にはOKだね」
「で、どこでする?」
「やっぱり、屋内がいいよな……」

 ぶらぶら歩いて行くと、二階建ての廃アパートが目に入った。
「ここなら邪魔は無いだろう」
「電気も無さそうだね……」
「ライトはあるからいいじゃん」
 表札は、くすんでいたが『栄荘』と読めた。
 表には、ミスマッチな美しい花々が咲いていた。
 3人はライトをつけると左寄りの玄関から入った。
 が、各ドアを照らして、あれ? と思った。
「なんで1階なのに『504号室』なんだ?」
「その隣も『504号室』だよ。どうなってるんだ?」
「まー、大家の自由ではあるけどな……」

 3人は、そういうツッコミを言いながら廊下を進み、
「このドアが、一番キレイな『504号室』だよ」
「そうだな、ここにしよう」
「ちなみに隣も『504号室』で、やっぱりユニークだね」
 中に入ると、やはり荒れ放題で畳も無かった。
 が、何故か壁に5月のカレンダーがあった。
「そーか、ここの大家だったヤツは、かなり変ったヤツで、あれは5月4日ってことだよ、多分」
「ということは、二階は4月で、4月4日とか……?」
「そう言えば、カレンダーの日付をシャレた記念日……あったよな」
 3人は、それぞれ好きなショートケーキを出した。
「それって、イチゴショートの日――だろう」
「そうそう。確か……22日だよな」
「上に15日――つまりイチゴがあるからー」
 それぞれの缶コーヒーも出すと、ジングルベール、ジングルベール! と歌い、ショートケーキを食べ始めた。
 周りは、とっくに真っ暗で、ともっているのは3人が持っているライトだけ……という感じだった。
「1階が5月4日なら、二階は4月4日……つまり404号室ばかり――とか?」
「なら、超ユニークだよな」
「よし、オレ、確認してこよう」
 和也は、食べ終えたケーキのゴミをそのままに、部屋を出て行った。
「いや、ちょっと待てよ……もしカレンダーを使ったダジャレなら……」
「504の上は……?」

 階段を見付けた和也が上を見ると、不気味な霧のようなものがあった。が、和也は、かまわず登って行った。
 その頃、残った2人は、
「5月4日の真上は……4月27日……『しにな』?」
「おいおい、それはマズイかもー!」
 2人も、ケーキのゴミをそのままにして、部屋を出ていった。

 2階に上がった和也の前には『427号室』が付いた部屋が並んでいた。
「なーんだ、そうくるのか……」
 そのまま和也が適当な部屋に入ると、1階の部屋と同様に何も無かった。
 彼は、ふと開いてる窓へと進んだ。
 外は、不気味なほど真っ暗で、ライトの灯りも届かない感じだった。

 1階の階段の下まで行った正治と弘司は、その踊り場の『上は6F』を見て、
「このアパート、変だよ……。もう帰ろう!」
「えー! ダメだよ。和也を置いて行くのか!」
 2人は、オドオドしながら階段を登っていった。

 廃アパートの上空には、不気味な黒い雲が広がっていた。
 それは、まるで異界が開いた証(あか)しのようだった。

 2階に到着した2人は、窓のところにいる和也を見付けた。
「良かった……和也」
「和也、ここは変だよ。早く出よう」
「分かった、行こう」
 しかし3人が振り向くと、無数の悪魔がいて襲ってきた。
「うわー!」
 和也たちは、その窓から落ちていった。

 翌朝……
 都内に在る、7階建てのMビルの表通りで、つぶれている和也、正治、弘司を通行人が発見し、通報した。
 が、到着した捜査員たちは不思議そうに、
「この3人は、何処から落ちたんだろう……?」
「えー。どう考えても、5階以上の高さから落ちてるんですがね……?」
 何故なら、Mビルに屋上は無く、表通りに面した側には窓も無かったからだ。

 ――了――


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このストーリーに関するコメント

18/12/02 雪見文鳥

拝読しました。
不気味な雰囲気漂う、良質なホラーでした。
主人公たち、馬鹿だなーとは思いましたが、死んでしまったのはさすがに気の毒でしたね……。

18/12/03 とむなお

雪見文鳥さん、読んでいただいた上、ptと高評価をいただきまして、どうもありがとうございますー!!
この作品はホラーのため、主人公たちには死んでもらわないと仕方ありませんでした。。

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