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つつい つつさん

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恋人の家はどこ?

18/10/20 コンテスト(テーマ):第161回 時空モノガタリ文学賞 【 伝言 】 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:133

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 大学に行こうと駅に向かって歩いていると鳩が飛んできて僕の肩に止まった。
「ボンジュール、○×□■?!」
 どうやらフランス語を話しているらしい。鳩をよく見ると身なりもきちんとしているし気品も漂っていて紳士的で由緒正しそうだったので、とりあえずフランス語がわかりそうな坂本君の家に行くことにした。
 坂本君は僕の知っている中で一番賢くて東大に現役で受かったのに春になっても東大どころか東京にも行かず、家か図書館にいるだけの変な人だ。坂本君の家に行くと案の定図書館の休館日の今日はちゃんと家にいた。
 坂本君の部屋にあがると、坂本君は鳩となにやら会話し始めた。
「君の言うとおり彼はフランス語を話してるね。それもかなり古風な文法を使っているよ」
 坂本君はそう言うと、再び鳩と話し込んだので、僕はスマホでお昼一緒に食べようと約束していた友達に大学に行けなくなったとラインしておいた。
「どうやら彼は一八世紀からやってきて、伝書鳩として貴族に仕えていたそうだよ」と、坂本君は興奮気味に言った。紳士的だと思った僕の直感は当たっていたなと改めて鳩を見ると、なんだか誇らしそうにしていた。
「で、なんで日本にいるの?」
 僕は貴族に仕えるりっぱな鳩が日本のただの地方都市を何故ふらふらさまよっているのか気になった。僕は時代を超えた大きな陰謀に巻き込まれたのかと心臓がドキドキした。
「道に迷ったらしいよ。主人が恋人に宛てた手紙を届けるために恋人の家をずっと探してるみたいだ」
 坂本君はあっさりと答えた。
「ここ日本だよ。それに二一世紀だよ。こいつ、どんだけ迷ってんだ」
 鳩は気まずそうに目をキョロキョロ、頭をキョロキョロして首をコクコクしていた。
「貴族に仕えてる割には、いい加減な奴だな」
 僕がそう言うと、鳩は日本語がわからないのか、それともニュアンスはわかっているけど、わからないふりしているのか変にとりすまして僕から目線をはずしてすっとぼけていた。
「あーでも、昔の貴族が恋人に書いたラブレターってどんなのだろう。見てみたいな」
 僕が聞くと、坂本君が鳩に聞いてくれた。
「とっくの昔に手紙はなくしたんだって」
「なにしてんだ。役立たずだな、こいつ」
 僕が思わずジロリと鳩を睨むと、鳩はバサバサと翼をはためかせ、僕の頭の上に止まった。
「つ、冷た!」
 僕が頭に手を伸ばすと、鳩はさっと飛び立ち、坂本君の机へと逃げた。頭を触るとネチャッとした。こんな最低な奴は初めてだった。人の頭の上でフンをするなんて。
 僕はカッとなり、鳩を追いかけ回した。鳩は掴みかかった僕の腕をヒラリと避けて坂本君の部屋中を飛び回った。
「あの、悪いけど、静かにしてくれない。あんまり騒がられると、僕がおかしくなったのかとママに思われるから」
 坂本君がびっくりするほど冷たい目で僕と鳩を見た。
「あ、そういうの気にしてたんだ」
 僕が聞くと、「一応、近所で学校にも行かず働かず何してんだって言われてるのは知ってるから」と、坂本君は冷静に答えてくれた。すると、鳩がなにやら坂本君に質問しだした。僕は二人のやり取りが終わるのをおとなしく待った。
「何話してたの?」と、僕が聞くと、どうやら鳩は僕たちが貴族かどうか聞いてきたらしい。そして、貴族じゃないのならちゃんと働けと怒られたらしい。
「自分の仕事もちゃんと出来ないくせに、偉そうに言うな」と、鳩に言い返すと、日本語もわからないはずなのに鳩はまた翼をバサバサさせると、僕に飛びかかろうとしてきた。
「だから、とにかく騒ぐのはやめてくれ」
 と、顔をしかめた坂本君が間に入ったので、とりあえず僕と鳩はその場に座った。すると、なにやらしんみりと鳩が話し出した。坂本君に聞くと、鳩は手紙もなくしたし、恋人の家もわからないし、これからどうしたらいいのか悩んでいるらしい。
「とりあえず、一度戻るしかないんじゃない?」
 僕が言うと、鳩は通じたのかどうかわからないけど、頭をコクコクと真剣にうなずくと、キリリとした顔で僕を見た。。
「○×□○???」
 僕が首をかしげると、「フランスはどっちだ」ってと、坂本君がすぐさま訳してくれた。そして、坂本君は顎に手をやり少し悩むと、東の方を指さした。鳩は一言お礼みたいなものを呟くと、東の空へ飛び立っていった。
 僕は今更帰れるのかなとも思ったけど、あの鳩のことだから帰れなくてもちゃんとやっていけるだろうと一人納得し、まだ昼前だったから大学に行くことにした。


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