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土佐 千里さん

とさちさとです♪田舎でのんびり過ごしています^^

性別 女性
将来の夢 安定した老後をおくること
座右の銘 ありがとうという感謝の心

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気付き

18/10/08 コンテスト(テーマ):第161回 時空モノガタリ文学賞 【 伝言 】 コメント:0件 土佐 千里 閲覧数:52

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 なんとなく種まきが終わって今日も仕事に取り掛かる。種まきとはラジオ局にメッセージをおくることだ。メッセージが採用されると、なにかプレゼントが当たるかもしれない。その楽しみがあり、今日も仕事前に、番組表をながめ、複数のラジオ局に種まきをするのである。
 帰ってきてからの楽しみは、ポストを開けることだ。
もしかしたら、種まきの種がどこかの局で採用されて花開いたかもしれないからだ。
どこかの局から封筒がはいっていると、どんな景品が入っているのか、いつも楽しみに開封する。
局から郵便物が入っていた日は大喜びで、一日の仕事の疲れもとれるってわけだ。
これまでに番組からのステッカーがいくつか届いた。時にはオリジナルのボールペンや商品券のときもあった。
この楽しみを味わってしまったから、仕事前に今日のメッセージテーマを調べてメールすることが日課となってしまった。
 ある日、ポストにまた1つ封筒が入っていた。しかし、この封筒はなにも記載されていなかった。
インターネットで様々な都道府県のラジオ局のメッセージテーマをランダムに応募していたから、どんな番組に応募していたか正直覚えていないが、またなにかのメッセージが採用されたのかと思い、この大きめの封筒をわくわくしながら開封した。
 すると手書きのメッセージが書かれていた。
「ご当選おめでとうございます!いつも当局を愛聴していただき、まことにありがとうございます。なんてね!どこかのラジオ局からのお楽しみだとおもった?残念でした。私からです!私の誕生日に、また仕事いれちゃったの?あなたが休みだって言うから、私、わざわざ有給休暇をとったのに!しばらく帰りません」
それは妻からの伝言だった。結婚して1ヶ月もたっていないのに妻とケンカした。付き合っているころから、いつも、妻の約束はないようなものだったが、また今回も仕事を優先してしまった。私は、完全な仕事人間なので、妻も半ばあきらめてはいるが、1ヶ月前からディナーを予定していた妻の誕生日まで仕事を入れてしまい、妻は新婚早々ショックだったに違いない。私は、いつも自分が悪くても絶対に非を認めない。そして、自分が責められると一方的にキレる。以前からの悪い癖だ。だから、仲直りするには、妻が謝らない限り、絶対に仲直りしなかった。
 今回も、自分が悪いのはわかっている。でも、正直、妻と過ごすより、仕事をしている自分のほうが輝いている。だから予定を変更したくなかった。

 それから2週間がすぎたが、だんだんと妻が恋しくなり、日々のありがたみに気付いてきた。妻は今、一体どこにいるんだろう。
 なんとなく、ふといつものAMラジオをつけると、聞き覚えのある声が流れてきた。
「私の主人はいつも私の予定はないようなもので、必ず仕事を入れるんです。今月末の私の誕生日の先約さえ、仕事をいれてしまい一人で過ごすことになりそうで本当に辛いです。私が悪くないのに、いつも謝るのは私。子供はいません。まだ新婚1ヶ月ですが、こちらをむいてくれなければもう限界です。どうすればよいでしょうか」
人生相談のコーナーに妻が電話で相談していた。
「本日の回答者は心理学について詳しい、戸部信二先生です。ひどい旦那さんですね。先生、アドバイスの程よろしくお願い致します。」
「はじめまして。お辛いでしょう。あなたの旦那さんは勝手すぎますよ。でも、お子さんもいないのにどうしてすぐ離婚されないのでしょうか。あなたが離婚しない理由はなにかあるんですか?」
「はい、私は30半ばなので、将来子供がどうしても欲しかったんです。だから結婚も焦ってしまったというか、またこれで離婚してしまうともう子供はあきらめたほうがいいのかとおもって。すぐによい縁があればよいのですが、とくに相手もいないし、このまま子供の産めない歳を迎えることが怖いんです。」
「まだすぐに産めなくなるわけではないのだから新しい縁を探してもいいと思いますけどね、私は。今の時代、離婚なんて珍しいものではないですし、こんな勝手な旦那さんなら子供ができたあとも協力も得られないと思いますし、私は別れたほうがいいと思います。」
「主人が自分の非を認めてくれれば一番なのですが。でも誕生日までになんの連絡もなければ離婚も考慮したいと思います。先生、今日はありがとうございました、相談できて少し心が軽くなりました。」
「がんばってくださいね。幸せをつかまれることをお祈りいたします。リスナーの皆様からもメッセージやアドバイスがあれば、どしどしご応募下さい!」
 私は仕事で、妻と向き合ってあげる時間がなかったことに気付いた。そしていつも自分のことしか余裕がなく妻の本音をきいてあげることもできなかった。私は急いでパソコンへ向かった。


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