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紅茶愛好家さん

他所でも別名義にて活動中です。 作品書いては毎度家族に読んでもらってます。面白い作品が書きたいなあと試行錯誤中。作風は真面目なのからふざけたのまで色々書こうと思っています。

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謝罪会見

18/09/24 コンテスト(テーマ):第160回 時空モノガタリ文学賞 【 伏字 】 コメント:0件 紅茶愛好家 閲覧数:164

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十月某日、○×食肉の食品偽装の謝罪会見が行われた。
大勢のマスコミとたかれるフラッシュ。まぶしい会場には○×食肉の上層部が計五人立っていた。
「まずは弊社の起こした行為により被害を被られた皆々様に心よりお詫びを申し上げます。誠に申し訳ございませんでした」
マイクを持った代表取締役社長がマイクを降ろし頭を九十度下げる。他の幹部たちもそれに倣う。長い沈黙の後、失礼しますと言って○×社側が腰かけた。
座ると同時に記者たちの質問が押し寄せた。
「具体的にどういう偽装が行われていたのでしょうか?」
「国産牛肉コロッケと表示していましたが実際は一部○○○産を使用していました」
「どのくらいの割合で混入されていたのでしょうか?」
「えー、○○○産が九五%、国産は五%の割合です」
会場がどよめく。
「ほぼ外国産と言っても差し支えないと思いますが。かなり悪質なケースではないでしょうか?」
「毛頭そのつもりはございませんでした」
「偽装はいつから行われていたのですか?」
「平成××年の秋頃からだと思います」
「だれの指示で行われていたのでしょうか?」
「全て私の指示によるものです」
多くのカメラが社長を捉える。
「すでに流通したものは自主回収をしており一般家庭に回ったものを覗いて回収できています。食べても品質に問題はありませんが代替品の送付及び返金に応じますのでお気づきの方がおられましたら購入店舗に持っていくか弊社まで送付ください」
すぐさま手を上げたのはベテランレポーターだ。
「社長、今ね、日本全体で食の安全性が揺るいでいるんですよ。消費者は少々高くても美味しくて安全なものを食べたいわけです。そんな消費者の心を逆手に取ったかなり悪質なケースではないでしょうか?」
「はい、本当にお詫びの言葉もございません」
「謝って済む問題じゃないでしょう。正直ね、私は怒っているんですよ。去年もね、△△社で賞味期限の改ざんがあったばかりでしょう? おたくまでとなるとそりゃあ黙ってはいられませんよ!」
怒り心頭のベテランレポーターをよそに他社の記者が手を挙げる。
「事態発覚前に消費者から味がおかしいだとか風味が違うといったクレームが寄せられたということはなかったのでしょうか?」
社長の顔に少し笑みが浮かぶ。
「まあ、一部味が変化したのではないか、との問い合わせはありましたが概ねは好評のお便りをいただいておりました」
「味の変化とは具体的にどのような変化ですか?」
「ええと……」
そう言いながら社長は手元の資料を繰る。
「少し脂っぽい、□□□臭い、牧場の臭いがする……といったところでしょうか」
「牧場の臭いがするというのは非常に想像しにくいのですが」
「恐らく輸入肉特有の草臭さだと思います」
「御社でも品質管理部門があると思うのですがそれは問題にはなりませんでしたか?」
「社員によっては気になるという者もいましたが、まあ、そこは堪えて貰いました」
「そこは一番譲れない部分ですよね? 美味しさにこだわるのは食品会社にとって基本理念だと思うのですが」
「正直それはコストとの兼ね合いだと思っています。我々は美味しいものを作りたい。その精神で日々切磋琢磨してやっています。しかし、実際はそうはいかないんです。それは一流の物を使えば美味しいに決まっている。けどそれじゃ会社としてやっていけない。採算というものが取れなければ会社として意味がないのです。そのことを考慮したうえでの行動でしたが今は浅はかであったと猛省しております」
「社長、コロッケが□□□臭いなんてトラウマですよ。もしお子さんが食べてね、コロッケを嫌いになったらどうするんです? 社長責任とれますか?」
「誠に申し訳ございません。重々反省しております」
社長が頭を下げると同時に大声が矢継ぎ早に飛ぶ。
「それじゃ答えになってないですよ」
「答えてください社長! コロッケの未来をどうお考えなのですか!」
「社長!」
「社長!」
激しくフラッシュが瞬く中、社長がマイクを震わせた。
「……さっきからキミたちは何なんだ!」
フラッシュはより一層激しくなる
「マスコミだからと偉そうに! コロッケが嫌いになったら何なんだ、今は飽食の時代だ。美味しいものならいくらでもある! 好きなだけ他の物を食べればいいじゃないか! このクソ××が!」
「あんた、何のつもりだ! ○○で△△△するとどうなるか分かってるのか!」
「キミは○○と言ったかね? 今すぐ出ていきたまえ!」
「報道の自由を規制するつもりですか! あんたの会社はつぶれるぞ! ×××!」
「こっちこそ××××だ」

以上は夕方のニュースで放送され、伏字の箇所に全てピーという音声が入り――

『一部放送に適さない内容でしたので○×を含む伏字でお送りしました』
とのテロップが流れた。



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