紅茶愛好家さん

他所でも別名義にて活動中です。 作品書いては毎度家族に読んでもらってます。面白い作品が書きたいなあと試行錯誤中。作風は真面目なのからふざけたのまで色々書こうと思っています。

性別 女性
将来の夢 長生き。これ大事。
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遺言

18/09/24 コンテスト(テーマ):第160回 時空モノガタリ文学賞 【 伏字 】 コメント:0件 紅茶愛好家 閲覧数:128

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ある日、発明家のじいちゃんが死んだ。
とにかくユーモアがあり朗らかな人柄で人に好かれ、葬儀には生前のじいちゃんを慕う多くの人々が参列して別れを惜しんだ。
葬儀のあと、火葬場でじいちゃんが焼けるのを待っている最中、じいちゃんと同居していた和彦伯父さんがスーツの内側から一通の封筒を取り出した。なんとじいちゃんは財産がないにも関わらず遺言を残していた。皆、金もないくせにと笑ったがじいちゃんは至って真面目だった。
以下はその一部を抜粋したものである。

皆へ

オレがいなくなり皆、大いに悲しんでいることかと思う。財産も無いオレだがせめてもの感謝の気持ちにこれまで発明してきた数々の傑作を皆に分け与えたいと思う。
まず、長男和彦には○○覗き双眼鏡三号を与える。これは開発品の中でも一、二位を争う傑作で、○○を覗き放題という代物だ。日常で○○を覗く必要性はほとんどないかもしれないがいざという時には使ってほしい。かなり役に立つ。
次に長女初枝には楽々○○○○ワイパーを与える。○○に置いて普段使いして欲しい。日頃、子育てや家事に忙しいことと思う。その一助になれば幸いだ。
次男圭介にはモロ出し○○○ハイパーX−1を与える。パッと見、ただの○○○にしか見えないと思うが実は○○○じゃない。要は心の持ちようだ。実際にこれを使いこなせるのは三人の兄妹のなかでお前だけだろう。大いに期待している。
残りの発明品は四十九日が過ぎたら葬儀の参列者に配ってほしい。皆、日の目を見なかったガラクタばかりだが、愛着のあるものばかりだ。時々見てはオレのことを思い出して欲しい。
P.S.○には適当に言葉を当てはめてくれ。創造は自由だ。

「何だこりゃ? ぜんぜん分んねえな」
和彦伯父さんが笑うと、どっと笑いが起きた。
「父さんのことだから何かあるんじゃないかと思っていたけどこうきたか」と圭介叔父さんが。
母、初枝も「何だか父さんらしいわ」と涙ぐむ。

後日、四十九日が終わり、じいちゃんの遺言通り発明品は参列者のもとに送られ、もちろん僕の元にも一品やって来た。

宛名には僕の名前、僕は送り物を受け取るのはこれが生まれて初めてだった。綺麗な包装紙をビリビリと破くと段ボールが覗く。中に入っていたのは傘に犬の首輪とリード、豆腐のパックがたくさんついた何とも形容しがたいものだった。
一目では何かわからない謎の発明品に気色悪ささえ覚える。
一緒に入っていた添付文書を見て僕は愕然とした。

『○○○○ブラスターゼロ』
これは○○○の時に○○と一緒に使って欲しい。まず、傘を開いて○○と○○を空に向けてかざす。そうすると豆腐のパックがクルクルと回り始める。その後、○○が開くので一周回ってワンと鳴く。そうすると○○○が走り回るのでそいつを可愛がってほしい。オレの分身のようなものだ。
P.S.○○○はイヌじゃない。繰り返すが○には適当に言葉を当てはめてくれ、創造は自由だ。

じいちゃんこれじゃ何がなんだか分からないよ。思わず肩を落とす。
天国でじいちゃんがカッカッカと笑った気がした。


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