たい焼き好きさん

何が言いたいかっていうと和菓子が好きです。 特にたい焼き。 初心者なんでお手柔らかに…

性別 女性
将来の夢
座右の銘 キャラ崩壊はこの世で最も恥ずべき悪徳である

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18/09/19 コンテスト(テーマ):第160回 時空モノガタリ文学賞 【 伏字 】 コメント:0件 たい焼き好き 閲覧数:72

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「かーけーなーいー!」
不意に目の前の友人Tが叫んだ言葉は、もう既に何度となく聞いた言葉であった。
「はいはい。書けない書けない。で、今日は何書いてるの?」
そう言って手元のスマホを覗き込むと、Tは私に画面を見せながら、説明を始めた。
「今回は『伏せ字』をテーマに書かないといけなくて、ここまでは書けたんだけどオチをどうするか決まらなくて…」
「『伏せ字』?」
見る限り、その文面に伏せ字のようなものは見つからない。疑問に思っていると、Tは私の心を読んだかのようにこう続けた。
「そ。一応ほら、人の名前とかをアルファベットで表すのも伏せ字って言いかたするらしいし。テーマっていうには弱いかもだけど、まあ使ってるしいいかなーって」
彼女の説明に納得しつつ読み進めていくと、たしかに話自体は完結してしまった。が、どうやら彼女はここに一捻りのギミックを入れたいらしい。文章自体は彼女にしては悪くないが、たしかにこれでは、少し面白みがない。
「ここにギミックを、ねぇ…もういっそこの文で話終わらせちゃえば?そこそこのギミックにはなると思うけど」
読んでいて気になったところを指すと、Tは意外そうな顔をした。
「この文…って、『そう言って、Mは笑ったのであった』?」
「そうそう」
私がそう言うと、Tは黙り込んでしまった。多分だが、この後の文をどう繋げるか、考えているのだろう。
「…よし、多分これでなんとかなる」
そう言うと今度は、スマホの画面顔を向ける。こうなると暫くは周りの音が耳に入らない。
それなら私も自分の作業に戻ろうと、手元のノートに目を落とした。





「やーっと書けたぁ!」
そう言ってスマホから目を上げ、背伸びをすると、目の前の友人Mはゆっくりと顔を上げた。
「よかったじゃん。どんな感じになった?」
「はいどーぞ!」
自分の書いた文章を人に読まれるのは、やはり緊張する。何度も書けば慣れるのか。
「面白いと思うよ。でも、確か短編小説応募してるんだよね?文字数制限に引っかからない?」
「まあそれは、引っかかったらこの辺消せばいいかなーって」
「ああ、確かにほとんど会話文だし、必要な部分ではないからね」
「そうそう!」
そんな会話をしているうちに、外は暗くなって来た。
「あー、もうこんな時間か。そろそろ帰ろうか?」
そう言うと、Mは立ち上がって片付けを始めた。
「そうだね、今日はありがとう。アドバイスから添削までしてもらって」
私もそれに習い、手元にあるものを鞄にしまう。
「大丈夫だよ、面白かったし。次も期待してるね」
そう言って、Mは笑ったのであった。


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