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うたかたさん

どこにでもいる高校生です!

性別 男性
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この世界の真理とは

18/09/08 コンテスト(テーマ):第160回 時空モノガタリ文学賞 【 伏字 】 コメント:1件 うたかた 閲覧数:153

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 とある場所でとある人物が本を読んでいる。
 その本には一体何が書かれているのであろうか。感情が不図揺らいだ、かと思った瞬間、夢が覚めた。
 白く凹凸のある天井。小鳥のさえずり。全身を包む布の柔らかさ。布団の暖かな香り。これらを認知した僕は一体どういう仕組みでこれらを捉えているのだろうか。
 或いはこれらが存在していて、自らも存在し得るのであろうか。
 そのような自分の最も近くにある不思議にも気づかず奇妙にも思わずただ当たり前に受け入れてきた自分が僕はとても恐ろしく思う。

「おはよう!」
「あ、うん、おはよう」
 君は突然挨拶をしてきた。場所は高校。普段は何か用が泣ければ話などしないはずなのに、なぜが毎日会話を重ねてきたかのような感覚だ。
「なんか君っていつも眠そうだよね」
「うん、だって眠いから」
 朝日に充分に暖められ、熱気がこもり始めた校舎の階段を上っていく。
 そうだ、今日見た夢のことを考えていたのだった。夢の中で見た人物はどこかで見覚えがあった。というよりかは、顔の記憶はないのだが、『どこかで見たような気がする』というだけの感覚が残っていた。
 不思議だ。たった一、二時間前のことであるのに、ここまで忘れてしまっているのだから。これは、誰かが或いは何かが僕の記憶を強制的に消してしまっているのではないだろうか。そんなことまで考えてしまう。
「今日も遅いなお前」
「いつも通りだろ、全然オーケーだ」
 前の席の奴と軽く挨拶を交わし、席に着いた。最高列から見る教室の景色は壮観である。そして、一人ひとりが意識をもって動いている。はずだ。
 目の前で動いているこの人たち、言ってしまえば自分以外の人間はみな他人に分類されるわけだが、この他人が意識をもっているのとなぜわかるのだろうか。自分が意識をもっているから他人も同じように意識をもっているに違いない、そう考えているからであろう。しかし、実際、他人の意識を感じたことはないし、その方法も知らない。
 他人はみな、何かに制御されただ決まったように動いている機械的なものにすぎないのではないだろうか。それは動物、植物、自然環境、その他この世のすべてに適用される。大体、この世が全てだとなぜわかる。この世が存在していれば他の世だっていくらでも存在し得るだろう。

「今日も疲れたねー」
「それな、頭逝きそう」
 テスト前の自主的居残り勉強を終えた君と僕は、いつも通りの家路につく。自転車を漕ぐ速さを微妙に調節しながら、周囲に配慮して安全運転を心がける。
 また夢のことを思い出した。夢を見ていた時間はとても長かったように思えてきた。なぜあの人物があの場所にいて本を読んでいたのかは知らないが、あの場面に至るまでの経緯さえつかめれば何かがわかるような気がする。
「なに朝から考え事してるの?」
「え、なんでわかった……」
「そりゃわかるよ、すごい深刻そうな顔してるし」
 そう微笑みながら前方からの風に吹かれる君の髪を見ていると、その崩れそうなモーションに不思議を感じざるを得ないのである。
 この世界は自分の意識で確定され、認識しているのだとしたら、僕が見ている君は一体何者なのだろうか。いや、はっきりとここに存在してる君に違いないはずだ。
「とりあえず、早く寝たい」
 そう告げた僕は君と別の道に進む。この世とは別の世への潜入を宣言して。


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このストーリーに関するコメント

18/09/16 hayakawa

僕は意識とは脳内イメージだと思っています。なので他人も動物も持っているものだと思ってます!

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