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海見みみみさん

はじめまして。 時空モノガタリで修行させていただいています。 焼き肉が大好物。

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将来の夢 プロ小説家になること!
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ふせ字解読下じき

18/09/01 コンテスト(テーマ):第160回 時空モノガタリ文学賞 【 伏字 】 コメント:1件 海見みみみ 閲覧数:347

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 放課後。カタルくんは近所に住む、いとこのチエミお姉さんの家へ遊びに行きました。しかしこの日のカタルくんはどこか変で、デレデレとしまりのない顔をしています。
「どうしたの? そんな面白い顔して」
「面白い顔とはなんだ。……実は今日小学校でラブレターをもらったんだ」
「あら、よかったじゃない」
 チエミお姉さんがお祝いのはくしゅをすると、カタルくんはさらにデレデレとしました。
「『ずっとあなたを見てました。愛しています』だって! でも名前がふせ字になってて、だれがくれたのかわからないんだ」
「それならこれを使えばいいわ」
 そう言ってチエミお姉さんが取り出したもの。それはとうめいな下じきでした。
「なんだいそれ?」
「ふせ字解読下じきよ。この間マンガを買ったらふろくでついてきたの。ほら、ラブレターを貸して」
 チエミお姉さんにしたがい、カタルくんがポケットからラブレターを出します。ラブレターを受け取ると、チエミお姉さんは差出人のところにふせ字解読下じきを当てました。
「こうするとふせ字の内容がうかんでくるの。『悪井セイ』変わった名字の女の子ね」
「悪井セイだって!」
 ラブレターの差出人を聞いて、カタルくんの表情が一変し、顔が真っ青になりました。
「悪井はクラスメイトの男だよ! それも大のイタズラ好きの! うわーんだまされた!」
 声をあげ泣き出すカタルくん。これにはチエミお姉さんも困ってしまいます。
「イタズラするなんてひどい子ね」
「許せない、こうなったら仕返しする!」
「仕返しってなにをするつもり?」
「ボクも悪井にニセのラブレターを送るんだ。当然名前はふせ字でね」
「そんなことしてもむなしいだけよ」
「ボクの気がおさまればいいの。それよりボクの字だとバレちゃうから、チエミお姉さんがラブレターを代筆してよ」
「私が? やっかいなことになったわね……」
 そうボヤくと、チエミお姉さんは困ったように頭をかきました。

 それからチエミお姉さんに代筆してもらい、ニセのラブレターを複数用意したカタルくんは、毎日悪井のくつ箱にそれをしこむようになりました。かくれて様子をうかがっていると、悪井はラブレターを見つける度に顔を真っ赤にし、デレデレしています。そんな悪井を見てカタルくんはかくれてゲラゲラ笑っていました。

 一週間後の放課後。カタルくんは他にもクラスメイトがいる公園に悪井を呼び出しました。
「どうしたカタル。オレになんの用だ?」
「お前、最近ラブレターをもらっただろう?」
「なんでそれを!」
 大声を上げる悪井。当然公園にいるクラスメイトたちの視線が集まります。
「でも差出人の名前がふせ字になっているから、相手がだれかわからずドキドキしてる。そうだろう?」
「うっ……その通りだ」
 悪井は顔を真っ赤にしています。そんな悪井の顔を見てカタルくんはニヤリ。続けてカタルくんはチエミお姉さんから借りたふせ字解読下じきを取り出しました。
「これで差出人の名前を見てみろ。だれが書いたかわかるから」
「わ、わかった……」
 ふせ字解読下じきを受け取りラブレターに当てる悪井。するとふせ字だった部分にカタルくんの名前がうかび出てきて、悪井は目を丸くします。
「そう差出人はボクさ!」
「本当に? 両思いなのか? うれしい!」
「そうだそうだ両思いだ……って両思い?」
 そうカタルくんがたずねると、悪井ははずかしそうに耳うちしてきます。
「えっ、実は悪井は本当にボクのことが好きで、あのラブレターも本物だったって!」
 真っ赤になり照れる悪井。この様子はクラスメイトにばっちり見られていました。

 翌日。カタルくんが遊びに行くと、チエミお姉さんが一枚のチラシを取り出しました。
「見てこれ。近所で小学生が配ってたんだけど『熱愛発覚! 小学生K&S秘密のこい!』だって。ふせ字がだれか気になるから、ふせ字解読下じきを返してよ」
「ふせ字なんてそんな気安く解読するもんじゃない!」
 ぷりぷりおこるカタルくん。そんな様子を見てチエミお姉さんはくすりと笑いました。

おわり


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このストーリーに関するコメント

18/09/16 hayakawa

軽い感じがしましたが、文章力は素晴らしいです。

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