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土佐 千里さん

とさちさとです♪田舎でのんびり過ごしています^^

性別 女性
将来の夢 安定した老後をおくること
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ニセン●年

18/08/22 コンテスト(テーマ):第160回 時空モノガタリ文学賞 【 伏字 】 コメント:0件 土佐 千里 閲覧数:165

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「太田さん、お誕生日おめでとう!」
今日は30回目の私の誕生パーティー!うちの会社は全従業員が10人でアットホームだから、社長も含め一緒にお祝いしてくれて、セレブになった気分。入社して5回目の誕生パーティーになるけど私にとっては、本当に毎年楽しみにしている行事の一つだ。
 今年も毎年恒例、それぞれが何か気軽なプレゼントを用意してくれた。入浴剤やタオル、スイーツまで小さくてもうれしいものばかり。でも、一つだけ私にとって、抵抗のあるプレゼントがあった。それは、社長がくれた…パッチリとしているがビー玉のような青い目は、ずっと見ているとなんだか吸い込まれそうで、真っ赤な薄い紅の唇、少し低めの鼻、金色のストレートへーアーの人形だった。
 「太田君、これは私からのプレゼントだよ。これは単なるお人形ではなく、今流行のAIだ。これに話しかければ何でもしてくれるぞ。しかも、太田君のようなかわいい女の子のお人形の外見をしている数量限定の貴重なAIにしたぞ。さらに技術革新の結果、動き回るし、予知能力もある。今後なにか気になることがあると教えてくれるそうだ。太田君の住所や名前登録は完了しているから、持って帰って、直ぐ君の為に動いてくれること間違いなしだ!さらに、電池は必要ないから電池切れの心配も無い。常に君のために動いてくれる」と社長は自信満々の笑みで言った。
(こ、これって人形だけじゃないの?AIとしての機能もあって予知能力まであるなんてなんだか不気味…しかも電池がないってことは動きっぱなしってことでしょ…いまさら断るわけにもいかないし…)こんな人形が一日中、私の側で動いていると思うとぞっとしたが、
「あ、ありがとうございます。こんな高価な素敵なものをいただき恐縮しております」としか声がでなかった。
「気にするな。気に入ってもらえればこちらもうれしい。では早速。この子が太田君だ。これから楽しく便利な生活を!」そういって社長は、私に人形を押し付けてきた。
「オオタクンデスネ、カオニンシキ、カンリョウシマシタ。キョウカラ、ヨロシクオネガイシマス」
(うわ。もう、顔認識されちゃった。逃げられないよ〜。どうしよう。)
帰宅後、この人形と毎日、恐怖の生活が始まったのである。
「オハヨウゴザイマス。キョウハ、ゴゴカラ、アメガフルノデ、カサヲ、モッテイッテクダサイ」
朝から人形に起こされる。予知能力とはこのことなのか。なるほどと思いつつ、まあ、仕方ない。もうこれはこの人形に甘えて全てやってもらおうと覚悟を決め、
「悪いけど、冷蔵庫のもので朝食を作ってくれる?」
「カシコマリマシタ」
そうすると約10分で朝食の準備ができた。
その間にメイクが完了し、こんな生活も悪く無いと思えてきた。
ところがある日、この人形が、私が出勤するときに言った気になる言葉がある。
「ミジカイアイダデシタガ、アリガトウゴザイマシタ。サヨウナラ。ニセン●ネンヨリ、ジツメイコウカイト、ナルデショウ」
どういうこと?二千●年?●の部分が、何年なのか余りよく聞こえなかったが、人形は1度しか言わなかった。
 謎めいた気持ちで出勤したが、仕事もいつもどおり特に変わったことも無く順調に進んだ。おかげで業務後は、彼氏と、遊園地デートができた。夕方だったのであまり時間が無かったが、二人とも好きなジェットコースターだけ乗ることにした。しかし、人気で1時間待ちだった。そろそろ終了とのことだったが、最後尾でギリギリ並ばせてもらえた。ところが、あと1時間で遊園地は閉園の時間だった。
 遊園地の人手は足りず、中学生の男の子がアルバイトをしていた。家庭の事情で中学からアルバイトをしないとやっていけないらしい。
 待つこと1時間。私達2人の順番が来た時、ちょうど、閉園時間になってしまった。中学生の男の子が、「すいません、閉園の時間なので帰ってください。」と、たどたどしい敬語でお願いしてきた。
すると私の彼が、
「バカなこと言ってんじゃねーよ、ガキ!俺たちは最後尾で並ばせてもらったんだから乗せろよ!一時間も待ったんだぜ。ムリなら最初から並ばせるな!」と怒鳴った。
「俺だって好きで働いてるわけじゃないから早く帰りたい。乗らせりゃいいんだろ。」
そう言うと私達をジェットコースターへ案内してくれた。
「乗れてよかった!」も束の間。カーブに来たとたんスピードが速くなり脱輪し、私達の前の車輌が落下した。
「止めて〜!」と叫ぶも、中学生は笑いながらジェットコースターの操作を緩めなかった。
「ざまぁ見やがれ!」
そのとき、支配人が急いで操縦室へ走っているのが見えたが間に合わず、私達のコースターも落ち、炎上し、あのAIに会う日もなかった。
 未成年を理由に罪を犯す者が増えている。出社前に言われた実名公開とはこのことだったのだ。


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