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せーるさん

クリエイティブなことは、なんでも好きです。

性別 男性
将来の夢 学校をつくりたい
座右の銘 八百万の国らしく、八百万の方法論を持ちたい。

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叶うはずがない初恋

18/08/20 コンテスト(テーマ):第159回 時空モノガタリ文学賞 【 片想い 】 コメント:0件 せーる 閲覧数:278

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ぼくが好きになった人は、男の子に興味がない娘だった。

最初はその娘の笑顔に見惚れるところから始まった。
どこか不思議な雰囲気を纏うその娘の笑顔は、どういう娘なんだろうという興味を刺激された。
学校で授業をうけるたびに、その娘がとても頭の良い娘なんだとわかった。
問題をスラスラとけるわけではないけど、自分で考えて試行錯誤しながらに答えにたどり着くその姿は、ただテストで点数をとった人よりも、よほど、魅力的に見えた。

なんと、その娘を含めた数人のグループで、遊びに出かけることになった。
とってもドキドキした。そして、とても楽しかった。
ボーリングで投げる姿がかわいい。
ぼくがもっとボウリングをやってたら教えることができたのに。
カラオケで英語の歌を歌う姿は、すごくて、かわいくて、また好きになった。
ぼくはカラオケが苦手だった。なんで、ぼくはカラオケ苦手なんだろう。
色んな場面で、楽しい半面、いいところを見せられない苦しさがあった。
それでも、がんばって楽しませようと笑わせようと、自分を良く見せようとしながらがんばった。
変なこと言ってないかな? いつもより、早口になってるよね? なんで、あの男と笑い合ってるの?
そんなことばっかり考える。
楽しかったその日も終わり、やがて皆それぞれ家路についた。

帰って冷静になると、自分がとてもみっともなく思えた。
でも、やっぱり一緒にいられただけでとてもとても楽しかった。
帰り際に連絡先を交換したぼくは、帰ってからずっと彼女とのチャット画面を見つめている。
「お疲れさま」
ぼくが送ったそのひと言に
「お疲れさま〜、今日は楽しかったね」
返信をくれたその画面を見るたびに、どうしようもない嬉しさが体全体を覆う。
最初は画面を直視もできなかった。こんなに嬉しいことは無いとも思った。
それから、彼女に頻繁に連絡をするようになった。
ちょっとでも、彼女が好きそうなものに関連する話題を、インターネットで探したり、なんでもいいから話しかける口実を探した。
いっぱい話した。楽しかった。
徐々に、彼女はぼくのことを信頼してくれたのか色んなことを話してくれた。
そのひとつひとつが、宝物のように思えた。

そのうちに、なにがキッカケだったか、ある秘密を教えてくれた。
『私は女の子が好き』
それを聞いて驚いた。だけど、実は今までの話の節々からそんな気はしていたのだ。
「あの娘かわいい」「こんな女の子いいよね」
そんな話をよくしていて、ただのかわいいもの好きな女の子と違う目線だということを感じ取っていた。
だから、驚きよりもむしろ、秘密を教えてくれたという信頼の証に喜んだ。
失恋だとも気持ち悪いだとも思わなかった。
ぼくは自分の心のうちにあるものが恋愛感情だと気づいていなかったから──
彼女の、好きになった娘のエピソードをきいた。親友の話をきいた。家族の話をきいた。
心を許してくれていると感じると、とても幸せな気分になった。

時がたち、どうしても自分の気持ちを抑えられなくなっていた。
もっともっと、話したい。友人という立場では聞けないことも聞きたい。頼られたい。
だから、告白することを決心した。
うまくいかないのは、最初からわかっていた。
そもそも【恋愛対象ではない】のだから。
それに加え、ぼく自身、自分の持つ感情が恋愛感情なのか断定できてはいなかった。
『付き合いたい』ではなく『もっと話したい』という感情で、それらは全く別のものだと思っていたから。
それでも、告白するしかなかった。これ以上この気持ちが膨れ上がったら大きな迷惑をかけるようになると予感がしていたから。

なかなかタイミングが合わず、告白する時期はズレていったが、なんとか時間を合わせてもらった。
ごめんね、これでもう話しかけることはなくなると思うから。
そんな気持ちで話し始め、そして告白した。

ぼくの初恋はこうして終わったのだ。


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