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黒江 うさぎさん

はじめ、まして。くろえ、うさぎと、もうし、ます。 なんでも、かきます。 けっこう、ほんとうに、なんでも、かきます。 あと、おしゃべり、にがて、です。 よろしく、おねがい、します。 Twitter→@usagi_kuroe いろんな、ところで、しょうせつ、かいてて、それを、かえんに、てつだって、もらって、ほうこく、しています。 よかったら、みて、ください。 あ、かえんは、わたしの、しんせき?きょうだい?そんな、かんじ、です。 たくさん、たくさん、てつだって、もらって、います。

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拝啓、喜次郎様へ

18/08/20 コンテスト(テーマ):第159回 時空モノガタリ文学賞 【 片想い 】 コメント:0件 黒江 うさぎ 閲覧数:333

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 拝啓、喜次郎様へ。
 私から突然の手紙が来た事、さぞ驚いておられる事でしょう。
 …だって貴方は茶屋の店主で、私はその客というだけなんですから。
 その貴方に、どうして私がこうしてお手紙をお出ししたのか。
 …私は明日、婚礼致します。
 相手は、名立たる華族の、長男様。
 私の家と比べる事すら烏滸がましい、とてもとても…とても高い、雲の上にいる御方です。
 それでいて、彼は決して偉ぶらず、心優しく、私を第一と考えて下さる方です。
 私の家も、私も、彼との結婚を、とても喜ばしく思っています。
 …それに、貴方には既に妻子がいる身。
 …だからこそ。
 私の、心も体も、あの人の物になる前に。
 …貴方に、告げておかなければならないのです。
 …貴方が、好き。
 心の底から。
 貴方を、慕っているのです。
 …心の底から。
 私は、貴方を、慕っているのです。
 …さぞ、驚いた事でしょう。
 ただの常連だった私が、貴方にこんな想いを抱いているなんて。
 …でも、私は、
 貴方の煎れてくれた緑茶が、
 貴方の出してくれた三色団子が、
 貴方の仕草が、一挙一動が、
 貴方の心の、温かさが、
 …私は、大好きだったのです。
 その大好きは、やがて愛しているになって。
 貴方に妻子がいると分かってもなお、愛しているは止まらなくて。
 …でも私は、結局その愛しているを伝えられなくて。
 …貴方が楽しそうに、妻や、娘さんの話すその姿が、
 私の愛した、貴方そのものでしたから。
 …だから私は、この婚礼の話が来た時、正直、ほっとしたのです。
 もう、貴方への想いで、苦しまなくて良いのだと。
 私は、ほっとしたのです。
 …それまでの私は、愛を知らぬ、家の為に動くだけの、絡繰人形でした。
 それが、私の在る理由だと思っったのです。
 …貴方なのです。
 貴方が私を、絡繰人形から人間にして下さったのです。


 ありがとう。
 貴方を愛する事が出来て、
 私は、とても、
 とても、幸せでした。


 次に私が貴方に会う時は、
 私が貴方から授かった愛を沢山捧げた夫と、
 私が貴方から授かった愛を沢山注いだ子と一緒に、
 貴方に、会いに行きます。


 さようなら。
 どうか、お元気で。


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