1. トップページ
  2. 未来が見えたくない。

ササオカタクヤさん

文章でササオカタクヤの世界を伝えられたらいいなと考えてます。 キャラクターたちがイキイキとした物語を書いて、読んだあと何か残れるような作品にしていきます。

性別 男性
将来の夢 自分の作品を多くの人に読んでもらうこと
座右の銘 生きているだけで幸せ

投稿済みの作品

0

未来が見えたくない。

18/08/19 コンテスト(テーマ):第159回 時空モノガタリ文学賞 【 片想い 】 コメント:0件 ササオカタクヤ 閲覧数:283

この作品を評価する

私は生まれつき変わった能力を持っている。それは《手を触れるだけで相手の未来が見える》能力。
子供の頃はなんとなくしか分からなかった能力だけど、高校生になった私は能力が高まり凄まじい情報を得ることができる。それが故に、簡単には人と触れ合うことができなくなっていた。
「美咲自身が背負いこむことないからね?普段はこの手袋をつけておきな?」
私は大事な友達の未来を見て傷つけてしまい、落ち込んでしまったことがある。そんな私を見たママは優しく声をかけてくれた。それから普段はいつも手袋をつけて過ごしている。

私が友達の未来を見てしまったことで仲が悪くなってしまった。そしてその友達が私の能力のことを言いふらしたことで、みんな私に関わろうとしなくなっていた。そんな私のことを気にしないで関わってくれる人がいた。それがマモルくんだった。
「美咲!お前も同じ高校だったんだな!早く教えろよー」
私が落ち込んでいた頃、中学の同級生だったマモルくんが話しかけてくれた。今まであまり関わったことがなかったけど、私はこの言葉に救われた。「高校の中に中学の同級生がいることは本当に心強いから」とすぐに連絡先を交換してくれるマモルくん。
私が今みんなから避けられてることを知らないのかな?だとしたら気づかれるまでは黙っておこう。
そう思っていた矢先、マモルくんは私に
「なんか悩みがあるなら相談乗るからな?」
と声をかけてくれる。私はその時、マモルくんの優しさに気付かされた。初めて連絡先を交換した日からずっと私がみんなから避けられてることを知っていたんだ。その優しさを知った日、私はマモルくんに恋をした。

マモルくんはきっと良心で私に関わってくれている。それは分かってる。これは私の片思いなんだ。

今までも好きになった人は何人かいた。その人たちと手を繋ぐ度に未来が見えた。しかしその人たちの未来には私の姿はいなかった。すると次第に好きという感情は薄らいでしまう。だからマモルくんとは手を繋ぎたくなかった。しかしそんな想いは一瞬にして打ち砕かれることになる。


ある日、日直だった私は先生に職員室から教室まで資料を運ぶように言われた。思っていた以上にある資料の量、そして滑りやすい素材だったため私は手袋を外して素手で運んでいた。
「美咲重そうだから手伝うよ」
私が重そうにしているのをたまたま通りかかったマモルくんが助けてくる。
「ありがとう」
私がマモルくんに資料を渡そうとした。その時、私の手がマモルくんの手に触れてしまう。
「あっ」
私は手が触れてしまったことに驚き、持っていた資料をばら撒いてしまう。どうしよう、見たくない未来が見えちゃう!
「大丈夫?何かあった?」
私は見たくない未来を避けたくて、膝を抱え込むようにうずくまっていた。そんな私を心配してくれるマモルくん。
「保健室に行こうか?」
そう声をかけてくれるマモルくんは、私の手をしっかり握る。
あれ?未来が見えない。マモルくんの未来が見えない。どんなに手が触れ合っていても、マモルくんの未来は見えなかった。どうしてだろう。

今までも好きな人はいた。でもその度に未来は見えた。なのにどうして見えないんだろう。

保健室に着いた私たちは椅子に座った。しばらく黙っていたマモルくんが口を開く。
「落ち着いた?」
「ごめんね」
「いや俺こそお節介だったかも。ごめん」
マモルくんは何故か謝り出す。どうして謝るの?と尋ねると意外な言葉が返ってきた。
「つい手が触れちゃったからさ。触られたくないのかな?って」
「違うの!これは…」
私はマモルくんに嫌われたくない。だけどやっぱりちゃんと言わなきゃいけないんだ。マモルくんが知ってたとしても、私の口から伝えなきゃ。
「私、相手の手を触れるとその人の未来が見えちゃうの。だからマモルくんの未来が見えないように触らないようにしてたの」
マモルくんは静かに頷いた。やっぱり私が未来を見れることに気づいてたんだ。
「でもね、私マモルくんの未来見れなかった。見えなくてよかった。本当に」
私がそう伝えるとマモルくんは真剣な表情で私に質問してくる。
「未来が見えてたら?」
私はマモルくんに嘘をつきたくない、ここまで優しくしてくれるマモルくんに本当のことを伝えたい。
「マモルくんの横にいたい。なのに私じゃない人がいるんだと思ったら」
私は取り返しつかないことを言ったと思った。しかしマモルくんは笑いながら
「俺も今、俺の横に美咲がいたらいいなって思った」
私はその言葉の意味を聞き返すことができなかった。それでもすごく幸せな気持ちになった。

どうしてマモルくんの未来は見えなかったんだろう。できればこれからもこの手を繋いでいたいから、未来は見えないでほしい。そう私は心の中で願った。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン

ピックアップ作品