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つつい つつさん

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僕の好きな青い花

18/08/18 コンテスト(テーマ):第159回 時空モノガタリ文学賞 【 片想い 】 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:281

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 ティティオは今日も空を見上げました。でも、亜銀星を見つけることは出来ませんでした。
「ティティオなんて嫌い!」
 風藍妹(フウアイメイ)から言われた言葉がもう何百回も頭の中でこだましていました。ずっと仲良く遊んでいたのに、いつ嫌われたのかティティオには全く理由がわかりませんでした。それも、お別れの時にそんなこと言われるだなんてティティオは悲しくてしかたありませんでした。
 ティティオの住む星、ソーリア星と亜銀星は年に一度すれ違います。星々の距離が縮まる十日程の間、二つの星の間で交易や人々の交流が行われます。でも、ティテイオの住む村はソーリア星でも田舎なため、あまり亜銀星の人が訪れることはありませんでした。でも、今年は珍しく亜銀星の商人一家がこの村にやってきました。
 あまり同じ年頃の友達のいないティティオは商人一家の娘の風藍妹のことを一瞬で好きになりました。サラサラの黒髪にクリッとした大きな目、ティティオはすぐに風藍妹と遊ぶのに夢中になりました。
 近くの湖で水遊びしたり、お店を見てまわったり、野原で花を摘んだり、風藍妹と一緒にいる時間はティティオにとってすごく貴重でやわらかい時間となりました。特に風藍妹は、村のはずれに咲く深い透き通る青色をしたスロヲリムの花を気に入り、よく眺めていました。でも、ティティオの家の周りにはあまりスロヲリムの花は咲いていなかったので、村のはずれまで歩くのに必死な風藍妹のために、次来るときはきっと家の周りいっぱいにスロヲリムを咲かせてあげるとティティオは約束しました。
 それにしても風藍妹は不思議な子でした。一緒に遊んでいてもすぐに帰ってしまいます。朝に散歩に行って二、三十分もしないのに「眠くなった」って帰ったり、それなのにお昼になったら「また遊ぼう」って戻ってきて、でも、また二、三十分もしないうちに「疲れた」っなんて言って帰ってしまいます。それに二、三時間も歩けばすてきな滝が見える場所に行けるのに、「そんな遠いところまで歩けない」と行こうとしません。その上、まだこの村に来て三日くらいしか経ってないのに「ここにもずいぶん慣れてきたわ」なんて言うし、体が弱いのか、ちょっぴりわがままなのか、とにかく不思議な子でした。それでもティティオは風藍妹が大好きだったし、十日しか一緒にいれないことがすごく悲しくて、「風藍妹、ここに残って」なんてお願いしたけど、風藍妹は「ティティオはずっと子供だからダメ」なんて、よくわからないことを言ってティティオをはぐらかしました。
 ソーリア星に十日滞在した後、風藍妹達は自分の星に戻ることになりました。ティティオが風藍妹と離れたくなくて泣きじゃくっているのに、風藍妹は目を真っ赤にして怒ったような顔で「ティティオなんて嫌い!」と言って帰ってしまいました。ティティオは風藍妹も悲しんでくれるに違いないと思っていたのに突然嫌われてしまってショックを受けましたが、それでも風藍妹に会いたくて風藍妹のいる亜銀星を見上げ続けました。
 もう見上げた空に亜銀星が見えなくなった頃、ティティオは家の周りにスロヲリムの球根をいたるところに植えました。風藍妹には嫌われたけど、きっと一年後、またソーリア星と亜銀星が近づく頃、機嫌を直して自分に会いに来てくれると信じてせっせと植えました。その甲斐もあって、一年後また亜銀星が接近するとティティオの家の周りはスロヲリムの深い青色に染まっていました。
 その年、また亜銀星からお客さんが来ました。でも、ティティオが会いたかった風藍妹の姿はなく、ひとりのおばあさんがやって来ました。風藍妹が来なくてティティオはひどく落ち込みましたが、亜銀星のことが知りたくておばあさんにいろいろ聞きました。おばあさんはやさしくティティオに亜銀星のお店や食べ物や花や動物のことをたくさん教えてくれました。そんなおばあさんはスロヲリムの花を見ると涙を流しました。ティティオはいろいろ教えてくれたお礼におばあさんにスロヲリムの花束をプレゼントしました。十日後、おばあさんが帰ることになると、やっぱりティティオはさびしくなって泣きながらおばあさんに抱きつきました。おばあさんはティティオの頭をやさしくなでると、「ありがとう」と言って悲しそうに微笑みながら帰っていきました。
 結局それから風藍妹が再び訪れることはなく、大人になったティティオはソーリア星と亜銀星では流れる時間が全く違うことを知りました。亜銀星の人々はソーリアの人の何倍も早く年を取ることを知りました。そして、ティティオは再び自分に会いにきてくれた風藍妹に深く感謝しました。
 あれから何年も過ぎティティオもすっかりおじいちゃんになりましたが、今でもスロヲリムの咲く季節になると家の外に出て青く咲き誇るスロヲリムの花を見るのを楽しみにしています。


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