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田辺 ふみさん

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エッセイ あとがき紹介

18/07/22 コンテスト(テーマ):第158回 時空モノガタリ文学賞 【 あとがき 】 コメント:0件 田辺 ふみ 閲覧数:133

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 あとがきっていうと、本の後ろに載っている短い文章で、作者が制作秘話を書いたり、裏話を書いたりっていうのがよくあるパターンですよね。
 そのパターンを裏切ったというか、心に残ったあとがきを少し紹介したいと思います。

 まずはスレイヤーズシリーズ。富士見ファンタジア文庫のライトノベルで少し前にヒットした作品ですが、アニメにもなっているので知っている方も多いのではないかと思います。
 この作品のあとがきの基本は作者の神坂一と作品の登場人物L様が対談するというもの。対談といっても、内容はパターン化されていて、どつき漫才と言った方が正確かもしれません。
 今では登場人物が出てきても、普通ですが、広めたのはこの作品ではないかと思います。

 あとがきは普通は作者が書くもので他の人が書いた場合は解説と呼ばれると思います。
 その解説の中で一番、インパクトがあったのは、藤沢周平の「秘太刀 馬の骨」文春文庫の解説です。
 この時代小説は家老の暗殺に使われた幻の剣「馬の骨」をたずね歩くという話です。その秘剣がどの剣客に伝授されたのかというのが、最後に明らかになるわけですが、これに対し、解説が大胆にも真の犯人はこれだと断言するのです。
 解説は直木賞をとった作家でもある出久根達郎さん。
 読者の大半が間違えていたと指摘される、その真犯人の意外なこと。
 その解説を読んだ後、思わず、もう一度、本を読み返してしまいました。
 いや、出久根さんの指摘する真犯人は違う、作品の指摘する犯人を素直に受け止めたのでいいのではないかと思うのですが、解説でドンデン返しをされたのは本当にこの解説だけだと思います。

 さて、海外の作品だと、訳者あとがきというのもよくあります。
 翻訳をした苦労や次の翻訳予定の作品紹介などが多いのですが、その最後に思いがけない情報がのっていたのが、アレステア・レナルズの「量子真空」ハヤカワ文庫です。訳者は中原尚哉。
 このSF作品はとりあえず、分厚い。面白いのですが、それでも分厚い。作品の最後のページは1208。
 で、そのせいか、訳者あとがきの最後に書いてあったのが、「レナルズの千ページ本はこういう技術革新にささえられているわけです。」
 技術革新っていうのは何かというと、製本用の新しい糊だそうです。従来より柔軟性が高められているとか。
 糊の話で締めくくられるあとがきって、すごくありませんか?

 最後に紹介するのは泡坂妻夫の「生者と死者」新潮文庫です。
 又吉さんが紹介したことで大反響を呼んだ作品です。
 これは袋とじのまま、短編小説を読み、その後、袋とじを全て切り離すと長編小説として読めるという前代未聞の仕掛け本です。
 そして、袋とじの状態ではあとがきはありません。袋とじを切ると、あとがきが現れるのです。ただ、現れるのではありません。
 短編の一ページとあとがきの一ページが同じなのです。
 こんな手品は泡坂妻夫さんしかできないでしょう。

 さて、いろんなあとがきを紹介してみましたが、どれも小説自体もおもしろい作品でした。作品がおもしろいからこそ、あとがきが映えるんですよね。
 また、予想を超える作品とあとがきに出会えますように。


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