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凪野裕介さん

今日、尽きる命と想いこの瞬間を生きて 永遠に生きる想いで夢を描く

性別 男性
将来の夢
座右の銘

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B4N R.I.P.

18/07/16 コンテスト(テーマ):第1回 時空モノガタリ短編文学賞 コメント:0件 凪野裕介 閲覧数:279

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ー†ー
ある日、突然僕は死んだ。
交通事故で即死だった。
この話はそこから始まる!!
ー†ー



睦美にとって娘の凛は不思議な存在だった。
時折、誰も居ない道端で挨拶をしてみたり。
ひとりで部屋に居るはずなのにな会話が聴こえてきたり。
携帯電話も与えてはいないし部屋を覗いても他には誰も居ない。
育児本によると小さな頃の一人遊びで自分にしか見えないお友達が居る事もあるそう
なので気にしないことにした。
あんな事が起こるまでは・・・・



ー♪ー
わたしには死んだひとが見える。
でもそれを言うと、みんなが怖がるしママにはぜったいに言えない。
テレビで怖いばんぐみを、まちがえて付けるとさけんでしまうくらいだ。

でもある日、ママが事故をおこした。
車での事故だった。
おなじ頃からケガをしたお兄さんがママの後ろに見えるようになった。
ー♪ー

ー†ー
その日は朝から雨だった。となり街では大雨警報が発令し
学校は休校になる程だったがバイト先は24時間365日オープン。
休むことは許されず、僕は
来年の卒業と同時に、この施設を出ないといけないので
稼ぎも必要だった。進学だけはなんとかなりそうだったが、
学校には許可を申請しアルバイトをしていた。
店長は外国人ばかりのスタッフの中、少ない日本人の僕を
重宝して何かとシフトの融通を頼んで来る。
そのかわりに廃棄すべき賞味期限が近づいた商品を頻繁にくれた。
本当は僕はポテチが好きだったが何故か店長は甘いものが好きだった。
特にポッキーが好きで、やたらとポッキーをくれた。
僕はチョコレートはあまり好きではないがありがたいとは思っていた。
この日も学ランのポケットにポッキーを入れ。
レインコートを着込むと、傘を差してサドルにまたがった。
ハンドルが効かなくなって危険だが仕方なかった。
自転車を漕ぎながら”児童養護施設”の看板を後にする。
いつかここから自力で出て行く!そう思っていた。
それが数分後にあんな形で実現するとは予想もつかなかった。
ー†ー



それは激しい雨の降る日の出来事だった。
睦美はパートの帰りに運転する車で事故を起こした相手は、児童養護施設に籍を置く18歳の高校生だった。
置かれた境遇にも屈せずに奨学金を獲得しと学業を両立する優秀な学生であったらしい。
裁判では執行猶予がつき実刑は免れたが命を奪ってしまった後悔は残った。


ー♪ー
ママが事故をおこしてからは
”べんごしさん”とそうだんしたり、
けいさつに行ったり、とてもたいへんそうだった。

むこうがわにも”かしつ”があって
突然の飛びだしだったから、”しっこうゆうよ”というものがついたらしい。
ママは泣いてばかりいたけど
おじいちゃんもおばあちゃんは安心したみたいだった。
それから何日か経って、ママのパートの帰りが少しおそくなった。
そして、何故だかポッキーがはこ買いだめされるようになった。
わたしは食べたらダメだと言われた。
少し残念だったがママはいつも悲しそうな顔をしていた。

そんな中おじいちゃんがわたしを励まそうとしたのか

「来年は凛も小学生だね!何が一番愉しみ?」とたずねた。

私は一年生のかんげい遠足”だと答えた。
さいしょの遠足は6年生のおにいさん、お姐さん達と
手をつないで、サクラがキレイな公園に行くらしい。
わたしにはそれがとても愉しみだった。
ママの後ろにせい服を着たお兄さんが立つようになったのも同じ頃だ。
ー♪ー


ー†ー
視界は悪く1m先も見えなかった。
傘を差している意味は殆ど無かった。
それでも僕はよろよろとペダルを漕ぎ続けた。
アスファルトは水を吸いきれずに金属性のグレーチングからは水が溢れ出す。
突風が吹いて傘はこむら返りをおこしたように反転し
ふいに僕の手からさらって行った。
僕は傘を追いかけて道の真ん中に飛び出した。
次の瞬間、白い闇の向こうから二つの光が僕を通り過ぎて行った。
激しい雨で道行く車は殆どなく信号が赤なのに気付かなかった。

壊れた傘は中空に一旦舞い上がって壊れた花のように地に落ちた。
痛みは無かった。一瞬のうちに僕はバンパーに当たり、ボンネットに叩き付けられ
フロントガラスで頭を強打し、地面に落ちた。

これが死ぬということなのか?
瞬間のことだけど、そこまでの自覚はあった。
しかし、しばらくすると何も感じなくなった。
ドップラー効果のように音も景色も遠離っていく




ー♪ー
時々見えるそのお兄さんはおでこから血がでて足をひきずっていた。
ママに見えていないし、おじいちゃんにもおばあちゃんにも
見えては居ないようだった。

わたしはできるだけ目をあわせないようにしていた。

あいつがママに何かしたらどうしよう・・と
それだけがしんぱいだった。

食べることが禁止され
戸棚に上げられていたポッキーはすこしづつ無くなっていった。

ー♪ー


ー†ー

最初は恨めしく思ったが、その女の人は来る日も来る日も事故現場にやってきて、
線香やお花、そしてポッキーを一つ備えて行った。
ただ、手を合わせひたすらに懺悔の言葉を口にしていた。
僕はだんだんと気の毒になって来た。

思えば、傘をさして自転車に乗るのも交通違反だし、
信号を見ずに飛び出したのも完全に僕の落ち度だ。
恨むのも筋違いかもしれない。
そう思うと、段々と自分の責任を感じ始めた。

そのうち死後の世界のルールが解って来た。

どうやら僕は未成年ということで、生まれかわる権利があるようだが
思い残した事をすべて片付けねばならないらしい。
殺されたりした場合、相手を呪うこともできるということだった。

僕が思い残した事、あの施設を出ていつかは外国にでも行ってみたい。
後は肩揚げポテチとピザポテトとコカコーラをお腹いっぱい食べてみたかった。

僕の夢なんてその程度のちっぽけなものだった。
何より、こんな人生から抜け出せた。
恨むつもりなんかない。

もう気にする事は無いと相手に伝える方法はないかと
後ろに付きながら思い始めたとき、思わぬ事が起こった。

彼女の娘が僕に気づいてくれた

ー†ー



ー♪ー

ある夜にわたしはママのうなされる声で目がさめた。
こわいゆめを見ているのか、ママはくるしそうだった。
まくらもとを見ると、そのお兄さんが立っていた。
そのときは少しこわかったけど、ママが死んじゃうんじゃないかとおもって

大きな声をだした

「ちょっと!!ママに何する気!!!」

お兄さんは私に気付いて言った。

「君僕が見えるの?」

そう言って、すこし嬉しそうだった。
マジックで書いたみたいな血と、ぷらぷらのひだりあしは
ようちえんでやったハロウィンみたいだった。
ー♪ー




警察によると、その男子生徒の学ランにポッキーが入っていたらしい
好物だったのかもとパートの帰り、事故現場に立ち寄り
花とポッキーを手向けるのが睦美の日課になった。
懺悔の自己満足でしかないとは解っていたがそうせざるをいられなかった。

箱買いしたポッキーの箱がなくなりかけたころ、娘の凛が妙な事を言い出した。

「ママ!お供えするならポッキーじゃない方がいいよ」

睦美は驚愕した。何故、そんな事を知っているのだろう?
子供心ながらに事故現場に立ち寄るのは感づいていたのかもしれない。
しかし、凛はさらに続けた。

「事故の時にポケットに入ってたポッキーは店長さんにもらっただけで、本当はチョコレートは
あんまり好きじゃないって」

事故の時にポッキーがポケット入っていたのは誰にも言った事が無かった。

「お供えしてくれるなら、肩揚げポテチとコーラが良いって。
そしてそれで許すから。あの事故は飛び出したのは自分にも責任があるって・・・」


「凛??なんでそんなことを?」

娘がなんでそんな事を知っているのか、
睦美は混乱したが凛が嘘を言っているようには見えなかった。

「私ね、死んだ人が見えるの。そしてあんまり生きてる人の想いが強過ぎると、天国にいけないんだって
だから、忘れちゃいけないけど、あんまり自分を責めないでと伝えて欲しいって」

睦美は涙が溢れて何も言えなかった。
ただ、泣きじゃくりながらいつまでも娘を抱きしめ続けていた。




ー♪ー

お兄さんのおはか参りに行った。

すこし迷ったけど
おにいさんが、手を振っていたのでみつけることができた。


そこにはアルファベットで

”R.I.P”と書いてあった。


「RIPってどういういみ?」
わたしは聞いた

「REST. IN .PEACE天国で静かに眠って下さいってことだよ」

「てんごくに行くの?」


「いや、生まれ変わる事になりそうだよ」

お兄さんは嬉しそうだった。

「いつ?」

「それは決めていいらしいよ」


「ことし中にこのへんで生まれかわったら、6年生のわたしと手をつないで遠足に行けるよ」

「そうか、じゃあ急いで生まれかわろうかな。」

おにいさんは笑っていた

「遠足はおやつが大事よ。500円以内で」
「君のママにもらったポッキーしかないな」
「わたしはポッキー好きだよ」

「じゃあ、持って行くよ。沢山もらったからね」
「じゃあ、さようならじゃないね」


「そうだね!英語ではね BYE for Nowって言うんだ」
「ばーいふぉなう??」

「BYE FOR NOW!」

「BYE FOR NOW!!」

そういうとお兄さんはいつの間にか居なくなってた。

R.I.P RN


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