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ササオカタクヤさん

文章でササオカタクヤの世界を伝えられたらいいなと考えてます。 キャラクターたちがイキイキとした物語を書いて、読んだあと何か残れるような作品にしていきます。

性別 男性
将来の夢 自分の作品を多くの人に読んでもらうこと
座右の銘 生きているだけで幸せ

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続きが気になる。

18/07/16 コンテスト(テーマ):第158回 時空モノガタリ文学賞 【 あとがき 】 コメント:0件 ササオカタクヤ 閲覧数:843

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新鋭漫画家として注目を集めていた桜田ラクサ先生が、42歳という若さで突然この世を去った。訃報は瞬く間に知れ渡り、多くのファンが悲しみに暮れていた。

「それにしても『悪魔コレクション』の続き見たかったよねー!」
桜田ラクサ先生の遺作となった『悪魔コレクション』の最終巻が発売された。亡くなる直前に完結した作品で、きっと先生は作品の完結まで力を振り絞って描いたんだと思う。そう考えると、本当に素晴らしい終わり方だった。
「そうだね。あんなカッコイイ終わり方だと桜田ラクサ先生の次回作に期待しちゃうもんなぁ。本当残念だよ」
「いや、次回作も見てみたかったけど『悪魔コレクション』の続きが見たいんだよ?」
最終巻が発売された一週間後、私は友人と先生の話で盛り上がっていた。私の勧めで友人も先生の作品を読むようになり、今では立派な桜田ラクサ先生のファンである。
そんな友人が不思議なことを言い出した。キレイに完結を遂げた『悪魔コレクション』の続きを待ち望んでいるのだ。
「いやいや、あの話はあれで完璧でしょ」
「私もそう思う。でも先生が続きを気にしてたからさ」
私は耳を疑った。先生の発言したコメントを全てチェックしている私だが、友人がサラッと言った「続きを気にしてた」という内容は全く知らなかった。
「えっ!なにそれ!知らないんだけど!」
「珍しいね!週刊誌もコミックスも事細かに確認してるのに、見落としちゃったの?」
友人は私の重大なミスを鼻で笑う。確かにファンなら一番に知りたい情報。それを逃すなんて私は愚か者だ。ただコミックスを私から借りてる友人にそれを指摘されると少し苛立ちを覚える。
「教えてあげようか?」
とても自慢気な顔をしながら、私の知らない情報を教えたがっている。ものすごい癪に触るが、ここはひとつ黙って教えてもらうことにする。
「この前出た『悪魔コレクション』の最終巻に載ってたよ?最後のページに」
ちょっと待って!最後のページはあとがきだったはず。だとしたら私はしっかり読んでいる。それに毎巻先生のあとがきが載っていたが、今回だけは先生が亡くなってしまったため担当スタッフがあとがきを書いていた。だから『悪魔コレクション』の続きを匂わす発言は無かった。
「ビックリしたよー。最後のコメントにさ先生の「あとが気になる」って書いてあって!最後まで粋なことするよね!」
友人はとっても勝ち誇った顔をしながら話してくる。友人が言葉にした「あとが気になる」はどこかで見覚えのある言葉だった。私はその大事な言葉を見たのにも関わらず、華麗にスルーしていたんだ。
「帰って最終巻読み直す。教えてくれてありがとう」
悔しくて悔しくてたまらなかった。桜田ラクサ先生への熱い情熱は誰にも負けないと思っていたのに、こんな形で負けを認めなくちゃいけないなんて。
正直この話以降、友人との会話は覚えていない。頭の中でひたすら早く家に帰って最終巻を読みたいと願っていた。

家に帰り、手も洗わず着ていたコートも脱がず愛読用の『悪魔コレクション』の最終巻を開く。
私はあとがきに目を通す。スタッフが書いたあとがきは主に先生との思い出が書かれている。どれも先生の懐の深さを感じさせるエピソードに何度読んでも酔い痴れてしまう。
最後の最後に先生がよく口にしていた言葉が載っている。
「明日はもっと面白いものを描こう」
そしてその言葉の最後に
「この言葉が桜田ラクサ先生最後のあとがきになる。」
と付け加えられている。
スタッフみんなで先生のあとがきを考えたんだと考えると涙無しでは読めない言葉だ。しかし、やっぱり何度読んでも先生が続きを描きたがっていたと書かれていない。
しかし友人はあれだけドヤ顔を私にしながら言ってきたんだ。絶対どこかに書いてあるはず。そう私は考え、今度はゆっくり声に出して読んでみた。
「桜田ラクサ先生最後のあとがきになる。ん?…あとが…きになる。あとが気になる!」
私は驚きのあまり1人でいるのに大声で叫んでしまった。そして私は先生の大事な思いを見逃してしまう愚か者ではないことを再確認でき安心することができた。これは友人の勘違いだった。私はまたファンでいることに誇りを持てる。
「ちょっと驚かさないでよー!これは先生の最後のあとがきって意味だよ?確かに変な書き方してるよねー!」
私は友人に電話を掛ける。すると友人は何とも言えない声で返事をする。
「そうなんだ。ごめんねー」
とんだ勘違いのせいで私は1日不安にさせられたが、特に文句を言わず電話を切る。



5年後、衝撃のニュースが流れる。
「亡くなられて5年、桜田ラクサ先生が描き残した『悪魔コレクション』の続きが愛蔵版に収録」
そしてネットでは5年前に発売された最終巻のあとがきがメッセージになっていたのでは?と話題になっていた。


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