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柳瀬さん

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人型恋愛ロボット

18/07/16 コンテスト(テーマ):第1回 時空モノガタリ短編文学賞 コメント:0件 柳瀬 閲覧数:313

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もう少しだ、もう少しで完成する。
アキラ博士の長い研究の成果によって、もうすぐ人型恋愛ロボットが完成する。
これで、僕にも彼女が....いや、そんな卑猥な事を考えてはダメだ。
僕は人付き合いが苦手で彼女が出来ない不器用な男子の為にこの研究を成功させるんだ。
あとはこのロボットに声を吹き込むだけだ。
どうせだったら本物の女性の声を吹き込みたいな。
そう思った博士は、高校の頃の同級生で、この前の同窓会で連絡先を交換したカンナに電話をかけた。
「もしもし」
昔からカンナの事が大好きだったので、声を聞いただけで緊張する。
「もしもし、久しぶりですね」
「えっ、誰ですか?」
自分の名前を連絡先登録されていなかった事に気付き少し悲しくなる。
「僕ですよ、アキラです」
「だから、誰ですか?」
連絡先を登録されていないどころか、名前すら忘れられていたとは。
「ほら、同窓会でいきなり泣いて家に帰った情緒不安定な、あのアキラだよ」
「あぁ、泣き虫のアキラね」
カンナは面倒くさそうに相づちを打っている。
「カンナちゃん、この前の同窓会で枝豆ばかり食べていたよね」
「うん、大好きだからね、それがどうかしたの」
「いや、それだけだから、じゃあまた」
博士は電話を切ってさっき録音したカンナの声を確認する。
「アキラ」
よし、録音出来ている。
これと、
「大好き」
これを、さっきの声を繋ぎ合わせてロボットに吹き込み、再生スイッチを押す。
「アキラ、ダイスキ」
人型恋愛ロボットがカンナの声で喋っている。
「カンナちゃ〜ん、僕も、大好きだよ、大大大大好きだよ〜〜〜」
博士は歓喜した。
よし、もっとこのロボットのボキャブラリーを増やそう。
博士はもう一度カンナに電話をかける。
「もしもし」
「もしもし、アキラです」
カンナは何回も電話してくる僕の事を気持ち悪がっていただろう。
「さっきからどうしたの」
「ごめんね、ちょっと聞きたいことがあって、タケシ君とカンナちゃんって付き合ってるんだよね」
「うん、付き合ってるよ」
やっぱりそうか、タケシの奴め、俺の大好きなカンナを。
こいつらが同窓会中にイチャイチャしていたからムカついて、軽く睨みつけてやったんだ。
そうしたら、何ジロジロ見てるんだよ、殴るぞ、なんてタケシが怒鳴ってきたから僕は涙して同窓会を途中で抜けたんだよ。
けど、いつまでもくよくよしても仕方ない。
このロボットを完成させて、僕みたいにイケてない男達に希望を与えるんだ。
「へぇ〜、そうなんだ」
「用もないのに電話してこないで下さい、さようなら。」
まだ会話の途中なのに、カンナに怒られ電話を切られた。
また泣きそうになったけど、素材は沢山集まった。
「アキラ」
これと、
「付き合って」
これと、
「下さい」
これを繋ぎ合わせて、ロボットに吹き込み、スイッチを押す。
「アキラ、ツキアッテ、クダサイ」
「僕なんかで良かったら、付き合ってあげてもいいですよ〜。」
博士は歓喜した。
気がつけば、自分の欲求を満たす為に、再びカンナに電話をかけていた。
「もしもし」
「もしもしマイハニー、調子はどうだい」
博士は我を忘れてしまい、勝手にカンナと付き合っていると妄想している。
「キモチ悪っ、さっきからどうしたのよ」
「そんな事言わないでくれよ、君の可愛い笑顔が崩れちゃうじゃないか」
「すっごく、キモチ悪いよ、様子おかしいって」
「しょうがないな、カンナは照れ屋さんなんだから」
「もう、勘弁して下さい」
また、カンナに怒られ電話を切られた。
よし、沢山素材が集まったぞ。
「キモチ悪っ」
これの頭文字と、
「すっごく」
これの頭文字を、
「勘弁して下さい」
ここの後半の文章に引っ付けて、再生スイッチを押すと。
「キス、シテクダサイ」
「キスくらいなら、いくらでもしてあげるよ〜」
博士は自分が作ったロボットにキスをした。
唇の感触は人間味が無く、少し鉄の味がして我を取り戻した。
しまった、取り返しのつかない事をしてしまった。
今すぐカンナに謝らないと。
博士は急いで電話をかけた
「もしもし」
あれ?いつもと違う声がする。
「もしもし、カンナちゃんですか」
どこかで聞いた事のある男の声、嫌な予感がする。
「カンナの彼氏のタケシですけど」
嫌な予感は的中。そういえば、カンナとタケシって、同棲してたっけ。
「いや、違うです、違うんです」
タケシの男らしい声に焦ってしまい、ロボットの再生スイッチを押してしまった。
「カンナちゃ〜ん、僕も、大好きだよ、大大大大好きだよ〜〜〜」
やばい、自分の声も録音されていたのか。
「僕なんかで良かったら、付き合ってあげてもいいですよ」
「キスくらいなら、いくらでもしてあげるよ」
僕の人生は終わった。
「今から殴りに行くから」
タケシはそう言い残して、電話を切った。
僕はロボットを抱きしめ、産まれたての赤子のように泣き喚いた。


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