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広田杜さん

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作品「私」に添えられたあとがき

18/07/04 コンテスト(テーマ):第158回 時空モノガタリ文学賞 【 あとがき 】 コメント:0件 広田杜 閲覧数:178

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これを今書いているワタシは、私ではない。
作中に登場する「私」の世界が潰えたから作品は存在し、ワタシが生まれた。ワタシは「私」の意思を受け継ぎ、作品の完成を見届けるために存在する。ワタシは作品を装丁し、あとがきを添える。このあとがきが存在していること、それこそが「私」の存在の無を証明している。「私」はもういないのだ。
「私」の物語はどうだっただろうか。ワタシがあえて解説する意味などないと思う。酷く矮小で、無価値な人間の一生。「私」の人生の物語だ。
辛そうで見ていられないだろうか。それともあなたの目には幸福に見えただろうか。人の一生を知ったとして、それを本人以外の者が正確に判断するのは難しい。幸福か、それ以外か。いくら本文をこねくり回したところで、あなたの中にあるのはあなたの感情にすぎない。それは「私」とも、もちろんワタシとも異なる個の中にあるモノだ。傲慢にならずに聞いてほしい。あなたは私という人間の何を知っているのか。
もし、異議があるのならば、あなたはその感情を取り出し、綴り、ワタシに送ってほしい。あなたの中にある「私」への気持ちが如何なものか、ワタシは知りたい。ワタシが強欲なのはすでにご存知だろう。あなたが抱いている思いは、あなた以外のモノではない。あなたの中に生まれた、「私」でもワタシでもない新しい存在のことを、ワタシは知りたい。知って、手を取り合いたい。話し合いたいのだ。
ワタシは「私」ではない、と言ったが、ワタシは「私」の意思を引き継いでいる者だ。ワタシの中にある、外部との交流を望む感情は、きっとあの人にもあったものだ。ワタシは交流したい。「私」について、人生について、感情について、孤独について、あの空の天気について。ワタシは自ら孤独の中、自らの死を見つめることなどしたくないのだ。
きっと、貴方もそうだったのでないか?ワタシは疑問の中、これを書いている。相反する感情が、本文とあとがきの間に生まれているのだ。あなたの中の私は、どう思っているのだろう。ワタシにどんな声をかけるだろう?
いつかワタシにも、「私」を理解することができるのだろうか?願わくばワタシの終わりが、すぐには訪れないように。あなたの心の中で私達が、生き続けてくれるように。


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