1. トップページ
  2. あとがきのバラ

ぜなさん

性別 女性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの作品

0

あとがきのバラ

18/06/27 コンテスト(テーマ):第158回 時空モノガタリ文学賞 【 あとがき 】 コメント:0件 ぜな 閲覧数:232

この作品を評価する

 ”看護師の礼奈が、最期に読んだ本には薔薇が散らばった”

 本が大好きな友達から借りた推理小説だけど、推理小説なんて今まで読んだことがなかったから、物語の結末には、そう終わっていた。意味がよくわからなかった。最期というのは、死に際だから、看護師の礼奈は、死にそうになった時に本を読んでいたということなのだろうか。薔薇が散らばったということは、血を表しているのだろうか。

「結局、礼奈はどうなったんだよ」

 その小説には、あとがきが最後の頁についていた。
 僕は読み進めていると、頁の本当に最後の頁に何かが付いていた。
 真っ赤のそれは、ある花のようだった。

「薔薇? なんでこんなものが」

 頁についたそれを取ろうとしていると、ガラガラビッシャンと大きな雷の音が部屋に響いた。
 
「うわ、こりゃあ土砂降りだな」

 部屋の鎧戸が開いていたので、降る前に閉めた。
 そして、さっきの本の続きを、へばりついた薔薇を取ろうとしてみた。
 一枚の薔薇は、取るのに時間がかかった。やっとの思いとで取れた薔薇に達成感を感じていると、背後から冷たい風が入って来た。閉めたはずの鎧戸が、強い風によって開けられたようだ。

「なんだよ、せっかく閉めたのに。雨が入って来ちゃうじゃん」

 僕は急いで閉め直した。

「ふう、これでいいな」

 そう思った矢先に、僕の頬に冷たい水が一粒落ちる。

「ほら、やっぱり雨が……」

 違う。雨じゃない。これは、雨じゃない。
 気づいた時には、僕の意識は朦朧とし、身体が自然と倒れていく。

「”ちょうだい”」

 朦朧とした意識の中で見たものは、白い天使の服を着た細い彼女が、沢山の薔薇に囲まれていた。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン